第37章
二度目の診察から四日後、シアナは魔法の使用を許可した。
全面的に、ではない。
もちろん、全面的になど許すはずがなかった。
彼女は朝、二枚の金属板と三冊の本、測定用の印章一式を抱えてやってきた。その顔には、今から彼に危険なことを許し、その結果のすべてを前もって嫌っている、と書いてあった。
「少しずつです」
彼は横目で見る。
「もう俺が何かやらかしたような言い方だな」
「おそらく、これからなさいますから」
右に立つリラは、わずかな興味を隠そうともしなかった。
朝の噂を届けに来たマルヴェインは、扉の前に居残っている。
「私も残りましょうか?」
「いいえ」
リラとシアナが、同時に答えた。
彼は笑いを堪えられなかった。
「側近たちが一枚岩とは、実に喜ばしい兆しですね」
「出ていけ、マルヴェイン」
「仰せのままに」
退出はしたが、そう遠くへは行っていないだろう。あの悪魔は、そこにいなくても、いないこと自体を計算に入れさせる男だった。
シアナは彼の回路図を広げた。
「主要な回路は安定しています。玉座とのつながりも、通常の接触で急激に跳ね上がることはなくなりました。翼の順応は予想以上ですが、飛行に関しては別です。身体能力の制御も許容範囲。尾の扱いも改善しています」
「ありがとう。自分の尾を誇りに思うよ」
リラが静かに言った。
「実際、家具にぶつける回数は減りました」
「今日は二人して俺を励ます日なのか?」
シアナは赤くなったが、説明を続けた。
「魔法は、もっと複雑です。潜在力があまりにも大きい。ケイル・ノルの身体は、融合前から並外れた伝導性を備えていました。印は回路を強化し、影への接続を広げたうえ、測定結果を見る限り、個人の蓄えだけでなく城塞の深層に流れる力とも、あなたを結びつけています」
図は相変わらず、何もわかりやすくしてくれなかった。
「訳してくれ」
シアナはため息をついた。
「力が多いのです。あまりにも。問題は呼び出せないことではなく、少しだけ呼び出すのが難しいことです」
「つまり、『少しずつ』か」
「そのとおりです」
「どのくらい少しだ?」
彼女は指で二センチほどの幅を作って見せた。
「このくらいです」
彼はその指を見る。
「魔法の単位か?」
「今は、そうです」
リラが一瞬、目を閉じた。
「シアナ」
「何です? このほうが伝わります」
「残念ながら、そのとおりだ」
彼が認めると、シアナは自信を得たように頷いた。
「最初の訓練は中庭だけで行います。生きた標的は禁止。周囲に起動中の魔道具を置くことも禁止。ケイル・ノルの身体に残る記憶を頼りに、戦闘魔法を再現しようとするのも禁止です。身体がもっとできると勝手に感じても、すぐ止めてください」
「俺の身体のほうが、俺より賢いかもしれない言い方だな」
「影の魔法に関しては、その可能性があります」
「素晴らしい」
「それから」
彼女は付け加えた。
「飛ぼうとしないでください」
彼は顔を上げた。
「まったく?」
「最低でも、あと一週間は」
「シアナ」
「だめです」
「まだ何も言ってないぞ」
「言おうとなさいました」
リラも彼を見る。
「言おうとなさいましたね」
彼は二人を見回した。
「包囲された気分になってきた」
「包囲されています」
リラが言った。
「今のところ、味方にですが」
「安心していい話なのか?」
「いつもとは限りません」
その隙にシアナが早口で続けた。
「翼そのものは使える状態ですが、魔力による連携、平衡感覚、空中での反応、着地の本能は、まだ一度も確認していません。東塔から飛び出し、身体が何とかしてくれるとお考えになった場合、本当に何とかなるかもしれません。ですが、下の岩場から影の君主を拾い集めることになるかもしれません」
「暗いな」
「現実的です」
「わかった。一週間だ」
彼があっさり折れるとは思わなかったらしい。
「本当に?」
「本当だ。予言にも融合にも国庫にも耐えたのに、せっかちだったせいで墜落死した君主として歴史に残りたくない」
リラが淡々と言った。
「史家はその劇的な結末を高く評価するでしょう」
「史家には失望してもらう」




