第36章
その夜のリラは、いつもと違っていた。
冷たいわけでも、腹を立てているわけでもない。あからさまに嫉妬しているわけでもなかった。
それでも、何かが違った。
いつもより早く部屋を訪れ、書類を閉じ、至急の案件三件と急がない案件五件を一息に報告した。夜を空けたいのだと、すぐにわかった。
彼は邪魔をしなかった。
「シアナから、何か注意事項はありましたか?」
最後にリラが尋ねた。
彼は彼女を見る。
リラは目を逸らさない。
「影の放出を抑える件です」
「まだだ」
「承知しました」
その気配に、鋭い暗色の糸が走った。
これか。
愚かな形の嫉妬ではない。他の女に向けられていた彼の関心を、自分へ取り戻したいという欲求だ。相手の立場を否定したいのではない。ただ、自分の分を取り戻したい。
彼は立ち上がった。
「リラ」
彼女はもう寝台へ向かっていた。
命じてもいないのに。
今日の仕草には、以前にも見た、恥じらいを捨てた率直さと、挑発するように自らを差し出す気配があった。ただし今夜は、さらに鋭い。シアナには、繊細な葡萄酒のような味も、羞恥も、研究台もあるだろう。けれど、ここは彼が夜を過ごす場所。慣れ親しんだ近さがあり、抗えないほど自らを開く術を知る女がいる――そう見せつけたがっていた。
リラは寝台へ上がると、肩を低く落とし、挑むように脚を大きく開いた。自ら尾を脇へよける。翼の縁は震えていたが、肩越しに彼を見る顔は、表面だけなら落ち着いていた。
「シアナのあとだから、自分の分がほしいのか?」
リラは目を逸らさなかった。
「はい」
彼は背中から腰、腿へと手のひらを滑らせた。
「いいだろう」
彼女が息を吐く。
待っていたのは、この言葉だった。
乞わせることはしなかった。今日の彼女が必要としているのは、それではない。すぐに、迷いなく、自分のものとして抱かれること。昼に別の味を知っても、彼が帰ってくる相手だと確かめることだった。
彼は一気に入った。
リラはすでに準備ができていたが、それでも彼の大きさに二度声を上げた。入ったときと、次の一突きでさらに奥へ進んだときだ。シアナより慣れた身体で、より飢えたように彼を受け入れる。慎重さではなく、確証を求め、すぐに腰を押し返してきた。
彼はそれを与えた。
より強く。
より深く。
リラは喘ぎ、掛け布を掴んだ。
「こうか?」
「はい」
「俺の場所か?」
意味を悟った彼女は、掠れた声で答えた。
「あなたのものです」
彼は激しく彼女を抱いた。
怒りからではない。彼女には、錠を慎重に開ける必要がないのだと思い知らせるために。自ら扉を大きく開き、ためらわず入ってほしいと望んでいる。腰を掴んで深く貫くたび、寝台が重く軋んだ。リラは大きく、どこか苛立ったように声を上げる。自分の分を取り戻さねばならないことに腹を立て、そのこと自体から、さらに悦びを得ているようだった。
「言え」
「私は、あなたのものです」
「もう一度」
「あなたのものです、君主様」
「あの女のあとでも?」
リラが一瞬、震えた。
そして、さらに強く背を反らす。
「あの方のあとでも。その前でも。あなたがお望みになる、いつでも」
シアナを否定しようとはしなかった。彼の一日から追い出そうともしていない。ただ、自分がいたい場所を示している。唯一ではなくても、欠かすことのできない存在として。
彼は覆いかぶさり、さらに深く入った。
リラが叫ぶ。
そして喘ぎながら、短く、掠れた、ほとんど獣じみた笑い声を漏らした。
「なんだ?」
「何でもありません」
「言え」
「それでも、あなたの好みをいちばん知っているのは私です」
彼の動きが、ほんの一瞬止まった。
それから笑う。
「証明しろ」
彼女は証明した。
言葉ではなく。
動きで。
まさに必要な瞬間に腰を押し返し、彼が深く入ると身体を締める。手のひらの下へ翼を開き、顔が見えるように振り返る。嫉妬も欲望も、彼の身体を知っているという自負も隠さない。
確かに、リラは知っていた。
シアナは新しい味だ。
リラは、すでに正しく彼を焼く術を覚えた炎だった。
彼はほとんど荒々しく、すぐに最初の絶頂へ追い込んだ。下で震えている間も押さえつけたまま、止まらない。仰向けに返し、両脚を持ち上げ、身体が二つ折りになりそうな姿勢で再び入る。一突きごとに変わる顔を見つめた。彼女はもう自制しようともしない。今夜は、自分も同じように開き、同じように彼を必要とし、同じように彼のものだと見せたかった。
彼が果てたとき、リラは両腕で彼を抱き、仕事の仮面など一切ない声で、何度もその称号を囁いていた。
その後も、長いあいだ離そうとしなかった。
彼は荒い息のまま、隣に横たわる。
リラはすぐに身を寄せた。
許しを求めずに。
頭を肩へ置く。それはもう、ごく自然なことになっていた。
しばらくして彼が尋ねた。
「少しは満足したか?」
彼女は黙っていた。
やがて答える。
「はい」
「まだ嫉妬している?」
「はい」
「それでも、馬鹿にはなっていない?」
彼女は疲れた笑みを浮かべた。
「そうならないよう、努めています」
彼は髪を撫でた。
「うまくやれてる」
リラは目を閉じた。
「明日には、また理性的になれるかもしれません」
「今日だって理性的だった」
「完全には」
「ときには、『完全ではない』で十分だ」
彼女は目を開き、彼を見た。
自分が言った言葉だと気づく。
そして笑った。
「はい、君主様」




