第32章
術師とは昼食後に話した。
同じ下層の部屋だったが、空気は違う。抑制帯を巻かれ、警備に囲まれた捕虜に使える表現なら、術師は自分の足で来た。情報のおかげで生きていると理解し、以前ほど恐れてはいない。恐怖が消えたわけではない。ただ、恐怖が日常の前提になったのだ。
向かいへ座るなり、彼は言った。
「聖騎士団の計画については、もう話した以上のことは知りません」
「今日は聖騎士団の話じゃない」
術師が目を上げる。
「では、何を?」
「お前たちだ。あの班の、一人ずつについて」
予想していなかったらしい。
リラを探して視線を巡らせたが、部屋にはいない。フョードルはまた一人で来ていた。
「なぜです?」
「お前たちをどうすればいいか、分からないからだ」
術師が青ざめる。
「私と女祭司を?」
「ああ。剣士はもう死んだ。槍兵も。残ったのはお前と彼女だ。牢へ入れたまま忘れることもできるが、それではどうにも収まりが悪い」
術師は呆然と数秒見つめた。
「収まりが悪い?」
「そうだ。便利だからという理由だけで、全てを決める必要はない」
「私は敵です」
「敵だった。今もまだ敵だ。だが情報源でもあり、生きた人間で、転移術師で、役に立つ意味で臆病者でもある。それに、壁へ頭を打ちつけたあとでなくても何かを見直せる可能性がある、四人の中で唯一の者かもしれない」
術師は唾を呑んだ。
「あなたは変わっています」
「もう言われた」
フョードルは両手を卓へ置いた。
「槍兵からだ。名は?」
「イルト」
短く、明るく、ほとんど少年らしい名だった。
「年は?」
「十九です」
フョードルは一瞬、目を閉じた。
十九。
「なぜ連れてきた?」
「〈影〉の痕跡に感応すると判定されていました。弱い裂け目を見る力があった。それに……自分を示したがっていました」
「だろうな」
「悪い子ではありませんでした」
「俺の腹を貫いた」
術師は目を伏せる。
「はい」
「続けろ」
槍兵は下級神殿騎士の息子で、家の末子だった。熱心すぎ、義務という言葉に容易く燃え上がる。主力ではなく、末席の隊員、追跡役、証人として育てられた。おそらく誰かが、未来の悪を本当に狩ることを彼の通過儀礼にしようと考えた。
確かに通過儀礼にはなった。
ただし、想定したものとは違う。
「剣士は?」
術師が名を告げた。
年上で三十六歳。経験を積み、悪魔との国境衝突にも参加した。その一つで兄弟を失い、聖騎士団へ深く入った。美しく信じたのではない。硬く信じた。幻想もなく、個人的に悪魔を憎んでいた。
「倒れた相手を、落ち着いて斬った」
「あなたを人間だと思っていませんでした」
「便利な技能だな」
術師は反論しなかった。
「勇敢な男でした」
「疑ってない。勇気があっても、人殺しにはなれる」
術師は顔をしかめたが、また反論しなかった。
「女祭司は?」
そこで慎重になった。
彼女の名を、小さな声で口にする。
神殿の高位系統の出身ではなく、自力で上がった。賢く、厳しく、規律正しい。幼い頃から聖騎士団で育ち、幾度かの浄化を経て、二つの小裂け目の封鎖へ参加した。信仰は深いが、盲目的ではない。
そう言ってから、自分の言葉が今どう聞こえるかに気づき、術師は詰まった。
「盲目的ではない?」
「彼女は……質問をしました。以前は。ただ、いつも〈光〉へ戻った」
「よくできた仕組みだ。答えが決まっている限り、質問を許される」
術師は黙った。
「班長は彼女?」
「はい」
「お前の役目は?」
「転移、支援、《刻印》の分析、帰路の確保」
「お前がいなければ、来られなかった」
術師が青ざめる。
「はい」
「お前がいなければ、聖騎士団がもう一度来るのも難しい」
彼は唾を呑んだ。
「私だけではありません。それでも……はい」
「だからまだ牢にいて、山の見える部屋にはいない」
術師は弱々しく頷いた。
フョードルは注意深く見た。
「なぜ参加した?」
「命令です」
「退屈だ」
「義務でした」
「もっと退屈だ」
術師は両手を握った。
「予言が正しく、私が拒めば、未来の戦争の共犯になるからです」
「今は違うのか?」
長い沈黙。
「今は、分かりません」
この会話で最良の答えだった。
良い答えではない。
だが最良だ。
「何が分からない?」
「あなたは、教えられたものと違います」
「絶対悪らしくしようと努力してるが、時々疲れる」
乾いた声で言った。
術師は身を震わせた。それが冗談か警告か分からなかったらしい。
おそらく、フョードル自身にも分からなかった。
「剣士を処刑しました」
「ああ」
「でも埋葬を許した」
「ああ」
「女祭司を……傷つけた」
彼は真っ直ぐ目を見る。
「ああ」
術師のほうが視線に耐えられなかった。
「なのに儀式を許す。なぜです?」
「もう言った。お前たちをどうすればいいか分からない」
術師が目を上げる。
「本当ですか?」
「本当だ。殺すこともできる。簡単で確実だ。死ぬまで牢へ入れておくことも、退屈したら拷問することも、交換することも、利用を試みることも、見たものを全て持たせて釈放し、聖騎士団に嘘つきか〈影〉に汚染された者か判断させることもできる。どの選択にも代価がある」
「私たちを疑わせたいのですね」
「当然だ。友情のために呼んだと思ったか?」
「いいえ」
「だが偽りの疑念なら役に立たない。恐怖で俺の言葉を繰り返す捕虜は要らない。信仰以上に人を馬鹿にする」
術師が小さく尋ねた。
「疑わなかったら?」
「情報が増えただけの敵のままだ」
「そして死ぬ?」
フョードルはすぐには答えなかった。
「かもしれない」
術師は青ざめたが、頷いた。
少なくとも、誠実な可能性を聞いた者のように。
「女祭司は仲間を弔いたがっている。儀式には警備をつける。お前は立ち会わせない」
「なぜ?」
「彼女をお前なしで、あるいはお前を彼女なしで見たいのかもしれない。集団は一人より、自分たちの神話を守るのがうまい」
術師は弱く笑った。
「神殿の導師のように話しますね」
「もう少しで侮辱になったな」
そこで尋問は終わった。
術師を食事と水、それに筆記具を与えて牢へ戻すよう命じた。
「筆記具を?」
衛兵が聞き返す。
「ああ。班、聖騎士団、自分の疑念について、覚えていることを書かせろ。疑念が生まれれば、だが。祈りを書いても取り上げるな」
衛兵が頭を下げる。
「はい、君主様」
術師が去ると、フョードルは一人で部屋に残った。
二人の生きた捕虜。
二人の死んだ敵。
一つの儀式。
かつて家々の間の通路へ現れただけの四人の馬鹿が残したものにしては、あまりにも多くの余波があった。
だが全ては、彼らから始まったのだ。




