第31章
朝、フョードルは女祭司ともう一度話すことにした。
議論に勝てるとは思っていない。他人の世界へ完成済みの判決を携えてきた者が、突然悟りを開くとも信じていなかった。
ただ、彼女には数日間があった。
沈黙には、痛みにできないことができる時もある。いつもではない。狂信を磨き上げるだけの場合もある。
それでも確かめる価値はあった。
命令を聞いたリラは、普段より少し長く彼を見た。
「同席しますか?」
短く考えて答える。
「いや。外で待て。呼ぶまで入るな」
彼女は頷いた。
「マルヴェインへ知らせますか?」
「知らせるな」
「賢明です」
フョードルは笑った。
「隠しもしないな」
「女祭司を話せるように準備する、という言葉を彼がどう理解するかは、すでに示されました」
「だから知らせない」
女祭司は拷問室ではなく、下層の尋問室へ連れてこさせた。快適ではないが、革帯も器具もない。
そこは明確に命じた。
背を押されて入ってきた。
青白く、目に見えて痩せ、聖騎士団の印がない簡素な灰色の服を着ている。髪は雑にまとめられ、顔には疲労、怒り、そして以前にはなかったものがあった。
警戒。
彼を見て、入口で止まった。
今の彼女には、力も、気配の中の影も、権力も見える。そして拷問台を、あまりにはっきり覚えている。
「座れ」
女祭司は罠を見るように椅子を見てから、腰を下ろした。
フョードルも向かいへ座る。
数秒、二人は黙っていた。
「考える時間はあったな」
「捕虜には、たいてい時間が余っています」
「捕虜による」
彼女が目を上げる。
「話したくなるたび、また私を裂いて治すつもり?」
語調は硬い。
今の状態には硬すぎるほど。
フョードルは少し評価した。
「退屈で死にたくなったら、その頼みを聞いてやるかもしれない」
怒りに身を震わせる。
「提案ではない」
「なら、避けられない筋書きみたいに口にするな」
「何を信じろと言うの? 影の君主の慈悲?」
「もっと単純な事実から始めろ。今日は服を着て卓に座り、革帯もなく、扉の向こうには命令を創造的に理解するマルヴェインもいない」
彼女は唇を引き結んだ。
マルヴェインという名に心当たりはなくとも、意味は理解した。
「感謝しろと?」
「いや。被害者の感謝は悪い通貨だ。恐怖で鋳造されることが多すぎる」
乱暴な言葉より、その答えのほうが彼女を動揺させた。
フョードルは続ける。
「もう言った。これで貸し借りはない。お前たちは俺を貫いた。俺も……貫いた。これで帳尻は合った」
脅しや嘲り、さらなる圧力を予想していた。
この言葉ではなかった。
「なら、なぜ呼んだの?」
「信仰の下に、まだ会話のできるものが残っているか確かめるためだ」
女祭司はゆっくり背を伸ばした。
「私の信仰は消えていない」
「そこまで運がいいとは思ってない」
「私の〈光〉こそ真実よ」
「もう退屈になってきたな」
彼女が目を細める。
フョードルは椅子の背へもたれた。
「聞け。お前たちには予言、聖騎士団、聖典、司祭、未来の犠牲者を救うという美しい言葉がある。全部聞いた。あの中庭で俺が泣き、命乞いし、跪いても仲間を止めなかったと、お前は自分で言った。なぜか。未来の悪への慈悲は、未来の犠牲者への残酷だから。素晴らしい言葉だ。便利でもある。まだ何もしていない相手なら、誰でも切れる。赤子でさえな」
彼女は黙っていた。
「だが一つ聞きたい。お前たちの〈光〉がそれほど正しいなら、なぜその正しさには、考えない人間がいつも必要なんだ?」
「私たちは考えている」
「違う。考える代わりに、用意された文を置いてる。槍兵にも剣士にも、お前にも見た。術師には少なかった。あいつは少なくとも生きたいと思っている。生への欲は頭を冷やすのに役立つ。だがお前たちには全てが単純だ。予言にあるから許される。聖騎士団の命令だから清い。未来に犠牲者が出るかもしれないから、今日の血の代価はもう払われている」
「理解できないものを嘲っているだけ」
「お前に都合が悪いほど理解してる。お前は信仰と呼ぶ。俺は、殺す相手を見ないための仕組みと呼ぶ」
女祭司は卓を掌で打った。
下の封印が光り、力の急変を抑える。
「お前は人間ではない!」
「今はな。あの時は人間だった」
「あの時から《刻印》があった」
「お前の中にも、いろいろある。傲慢、恐怖、無実の者を殺す覚悟。それでも俺は、先回りして槍を持ち、お前の家へ行かなかった」
彼女は青ざめる。
「無実?」
「あの時点では」
「もう、なるべきものになっていた」
彼は身を乗り出した。
「誰が背中を押した?」
女祭司は顔を背けた。
以前は憎悪の中でも真っ直ぐ見ていた。今は視線が逸れた。
「予言を未来へ開く窓だと思えば楽だ」
フョードルは言った。
「それが手順書だったかもしれないと認めるのは難しい。お前たちは怪物を見せられ、その怪物がこの世界を見たくなるよう全てをした。そして今、お前は俺の宮殿に座り、俺は自分を殺しに来た者たちをどう扱うか考えている」
「殺しに?」
彼女は勢いよく振り返った。
「お前は彼を処刑した」
「剣士か? ああ」
顔が硬くなる。
「〈光〉の戦士だった」
「俺の世界へ来て、傷ついた相手を斬り、手首を押さえつけ、陣へ連れ去ろうとした大人の男でもあった。その後、自分から死を望んだ。舞台は与えず、結末は与えた」
「あまりに平然と話すのね」
「そうだ」
「なら、私が正しい」
「違う。権力は、一瞬ごとに逆らわなければ、すぐ平静さを教えるということだ」
彼女は黙った。
フョードルも少し間を置いた。
それから声を落とす。
「昨日の朝、俺が何をしていたか分かるか?」
「王を殺していた?」
毒のある声だった。
彼は目を細めた。
興味深い。
噂は地下牢まで届くのか。それとも偶然の一撃か。
「違う。税の整理だ」
彼女が瞬いた。
「何?」
「税。国庫。旧家の特恵。疲弊領地。守備隊の補給。先代君主の国は財政破綻寸前だった。貧しい地域の負担を下げ、何年も国庫を食ってきた諸家の優遇を廃止し始めた。エストレンでは所得の十分の七を取る。ここでは十分の八だった。これからは十分の四にする」
女祭司は、彼の角には似合わない言葉を聞いたように見つめた。
「なぜ?」
「国を崩壊させないためだ。それと戦争を始めないため」
二つ目は予想していなかった。
「悪魔の国なのに、戦争を望まない?」
「俺を玉座へ載せた以上は、俺の国だ。望まない」
彼女はまた黙った。
今度は意地からではない。
像が噛み合わないからだ。
覚醒前に殺すべき絶対的な未来の悪。そして向かいで、税、補給、困窮地域について、他人の混乱を修理させられている者の苛立ちをもって話す存在。
「罠ね」
ようやく言った。
「そうだ。〈影〉の最も巧妙な罠。国が飢えているなら食わせる。恐ろしい異端だ」
「悪魔は……」
「生きてる。働く。税を払う。争う。嘘をつく。仕える。盗む。愛する。恐れる。気味が悪いほど人間に似てるだろう?」
彼女は指を握り締めた。
「怪物を人間のように見せたいのね」
「違う。『怪物』という言葉が便利すぎると気づけと言ってる。国民全てへ被せ、中に誰がいるか考えずに済む言葉だ」
「彼らは人間を殺した」
「人間も悪魔を殺した」
「それは違う」
フョードルは笑った。
「もちろん。『それは違う』。他人の死体がある扉を全て開ける聖なる鍵だ。あいつらは殺していい。自分たちは駄目」
彼女は答えなかった。
今度は追撃しない。
沈黙にも働かせる。
数分間、聞こえたのは防護封印の小さな爆ぜる音だけだった。
それからフョードルが言った。
「剣士の遺体は保存してある」
殴られたように顔を上げた。
「何?」
「槍兵の遺体も。俺の腹を刺した、あの若い馬鹿だ。ごみのように捨てるなと命じた」
女祭司は目を見開いた。
「なぜ、それを私に?」
「正しい形で弔いたいか?」
理解できなかった。
あるいは、すぐには理解することを許せなかった。
「何ですって?」
「お前たちの儀式だ。〈光〉の作法どおりに。俺は決まりを知らない。お前は知ってる。剣士と槍兵の遺体に儀式を行いたいなら、許可する」
顔が揺らいだ。
初めて、本当に。
恐怖でも憎悪でもない。
痛みで。
「許すの?」
「警備はつける。魔法の小細工も、格好よく死のうとするのも、衛兵への説教もなしだ。だが許可する。死者のための儀式を」
彼女は目を伏せた。
肩がわずかに震えている。
「なぜ?」
フョードルはしばらく見つめた。
「死んでいるからだ。貸し借りもない。それに槍を持った馬鹿でも、他国の地下でごみのように横たわる義務はない」
彼女は目を閉じた。
そして数秒だけ、女祭司ではなくなった。
仲間を奪われ、信仰を疑われ、身体を壊され、世界を裏返され、その敵から突然、死者を正しく葬ろうと提案された一人の女が座っていた。
「やりたい」
小さな声だった。
「分かった」
彼は立ち上がる。
動きを感じたように扉がすぐ開き、リラが近づいた。
「〈光〉の二人の遺体に葬送儀礼を用意しろ。剣士と槍兵だ。女祭司が執り行う。警備をつけ、儀式中は不要な拘束を外す。ただし魔法の抑制は残せ。必要な品を一覧にさせろ。侮辱はするな」
「はい、君主様」
フョードルは女祭司へ振り返った。
彼女は全く違う目で見ていた。
柔らかくも、感謝を込めてもいない。
だが世界の像に入った亀裂は、はっきり見えた。
「礼は要らない」
「言うつもりもない」
「よし。まだ壊れてないな」
彼女は顎を上げる。
「私は壊れない」
「見てみよう。壊れるのは人間じゃない時もある。世界の偽りの単純さだけが壊れることもな」
彼は退出した。
リラは何も尋ねなかった。
だが目には問いがある。
「死者の儀式だ」
フョードルは繰り返した。
リラは理解して頷く。
「合理的です」
「彼女には予想外でもある」
「それも合理的です」
彼は笑いを堪えられなかった。
「マルヴェインに似てきたぞ」
「侮辱として記録しました」




