第30章
夜の私室は静かだった。
フョードルは帯を外して卓につき、しばらく何もない場所を見つめた。奇妙に疲れる一日だった。地図上の線一本、書簡の言葉一つが、あまりに多くを動かし得る梃子に思えた。
リラが最後の記録板を閉じる。
「緊急の案件は、もうありません」
「本当か?」
「はい。少なくとも半日は」
「寛大だな」
彼女は帰らなかった。
フョードルは視線を留める。
短い間のあと、リラが尋ねた。
「残りましょうか?」
「ああ」
彼女は近づいた。
彼は、外套を脱ぎ、髪を下ろして寝台へ向かう、いつもの動きを待っていた。だがリラは彼の前で足を止め、言うべきか迷っているように立った。
「何だ?」
彼女が目を上げる。
「シアナもお呼びになりますか?」
フョードルはすぐには答えなかった。
落ち着いた問いだった。
無色ではない。だが落ち着いている。
その平静に何が必要だったか、気配から分かる。嫉妬、規律、覚悟、理解、緊張。そして、もう一つ。ほとんど好奇心に近いもの。
今日ではないかもしれない。
だが可能性は、もう言葉になった。
彼女自身の口から。
「いや」
リラは動かなかった。
「本当に?」
「本当だ」
彼は立ち上がり、近づく。
「今回は呼ばない」
彼女は注意深く彼を見る。
「なぜです?」
顎を取った。
「今は、お前といたいからだ」
気配が今度は違う揺れ方をした。
嫉妬より深い場所へ、暖かな波が広がる。
リラはゆっくり息を吐いた。
「はい、君主様」
「慰めじゃない」
「分かっています」
「愚かな嫉妬を見せなかった褒美でもない」
口元が少し動いた。
「それも分かっています」
「ただ、お前といたい」
彼女は一瞬、目を伏せた。
再び上げた時、職務の層はもうなかった。
「では、ご命令を」
フョードルは焦らさなかった。
「脱げ」
リラは急がず従った。
今日の動きには、あの夜、寝台の上で見せたような、恥じらいもなく進んで身を差し出す気配はなかった。最初の夜の張りつめた服従もない。静かに服を脱ぎながら、一つ一つの仕草を彼へ向けていた。布が肩から落ち、髪が広がり、背を解放すると翼が少し開き、尾はゆっくり床を滑る。
彼は見つめた。
彼女だけを。
どんな接触より強く、それが彼女へ効いているようだった。
「来い」
リラが近づく。
深く口づけた。支配的だが、荒くはない。彼女はすぐに応え、全身を押しつけた。その時初めて、彼女が単純な確認をどれほど待っていたか分かった。
今夜は別の誰かではない。新しい味見でも、輪を広げる夜でも、寝台の政治でもない。
リラだ。
彼は抱き上げた。
彼女は首へ腕を回し、翼を肩へ置く。獲物を運ぶようではなかった。もう身体に必要となった、いつもの夜の重みを運ぶように。
寝台では、リラが自分から身体を開いた。
急がず。
言葉もなく。
彼は徐々に入った。身体はもう彼の大きさを知っている。それでも受け入れるには力が要る。リラは小さく喘いだ。その声には、親密さが単なる嵐ではなく帰ることになってから生まれた、聞き慣れた響きがあった。彼は視線を合わせたまま滑らかに動き、快楽を引き延ばす。
「俺のものだ」
問いではなかった。
リラは乱れた息の中で笑う。
「あなたのものです」
答えも同じように単純だった。
それで十分だった。
長い時間、彼女を抱き続けた。リラが身体の動きで求めれば強くし、彼の掌へ頬を寄せて下でじっとすれば、ほとんど優しく動いた。二人の身体はもう、痛みが快楽へ変わる場所、力が支えになる場所、服従が転落ではなくなる場所を知っている。
やがて彼女は横向きになり、彼は後ろから胸の下へ腕を回し、脚を腿へ絡めた。リラは途切れた息で称号を囁く。フョードルは深く、ゆっくり動き、一突きごとに震える身体を感じた。翼は腕の上に重なり、尾は彼の脚へ巻きついている。
絶頂した時、リラは叫ばなかった。目を閉じ、落下を止めるように強く彼へ押しついた。彼も少し遅れて、髪の中へ低く息を吐きながら続いた。
その後、長く黙って横になった。
リラは帰らない。
彼も離さない。
「本当に、あいつを呼ぼうと言ったな」
暗闇の中で口にした。
「はい」
「なぜ?」
すぐには答えなかった。
「遅かれ早かれ、あなたはそれを望まれるからです」
「かもしれない」
「それが私たちの間のしこりになるまで待つより、今のうちに落ち着いて口にしておいたほうがいいと思いました」
彼は脇腹を撫でた。
「賢いな」
「努めています」
「それでも今日は呼ばなかった」
「嬉しいです」
ひどく小さな声だった。
正直な声。
彼はこめかみへ口づけた。
「知ってる」
リラは目を閉じ、力を抜いた。
数分後には呼吸が穏やかになった。
フョードルは、まだ眠らずにいた。
ロガン。三人の君主へ送った書簡。今では以前以上に恥じらうシアナ。そして、新たな権力の広さを理解し、その傍らで小さくなりたくないからこそ、自分を痛める可能性さえ口にできたリラを考えた。
やがて思考は滲んでいった。
リラは腕の中で眠っている。
今夜は、新しい味も、新しい決断も欲しくなかった。
ただ腕の中で眠る、温かな身体。
この女。
王や諸家や国境をすぐ動かせと世界に迫られない、数時間だけでよかった。




