第29章
昼食後、書簡が届いた。
三領界は玉座による承認の通知を待っていたが、どの書簡もそれぞれ別の政治的な罠だった。
マルヴェインは草案を、リラは法的定型を、アズガルは、〈闇〉への文が柔らかすぎれば弱さになり、〈森〉への文が強すぎれば愚かさになるという陰気な評を持ってきた。シアナはいない。財政戦争へ残された。
「〈闇〉から始めましょう」
マルヴェインが最初の文を開く。
長い。
非常に長い。
冒頭を読んだところで、フョードルはリラを見た。
「手紙か、葬列か?」
「〈闇〉向けとしては短文です」
「だろうな」
サエル・モルガルへの書簡には、玉座の連続性、旧条約、歴代君主の記憶、北方墓都、死者の地の安息を乱す意図がないことへの敬意が必要だった。どの文も重く遅く、三代後に返答する者のために書いたようだ。
「ここで認めすぎてないか?」
マルヴェインが首を振る。
「いいえ。旧条約を認め、その拡大解釈は認めていません。重要な違いです」
リラが一行を示す。
「ここは『永遠』を外し、『効力を維持する』に。〈闇〉への書簡で永遠と記すと、法的な罠になり得ます」
「外せ」
「はい」
〈森〉への書簡は違った。
より生き生きとして、慎重。境界、根、相互不干渉、旧道、違法狩猟の禁止、希少素材交換を再開する用意について記されている。
「『〈影〉は緑の地に火を求めない』。綺麗だな」
マルヴェインが一礼する。
「ありがとうございます」
「綺麗すぎるか?」
リラは考えた。
「いいえ。〈森〉は比喩を好みます。ただ、西方条約の具体的な文言を足すべきです」
アズガルが言う。
「人間が〈森〉へ圧力をかけるため、我々の領地を使うことの禁止も」
マルヴェインが指を鳴らした。
「いい。気に入るでしょう」
「我々には?」
「我々にも。〈光〉の聖なる遠征隊が係争区域を通らないなら」
〈海〉への書簡は最も短かった。
そして最も不愉快だった。
全ての行が滑りやすい。港、通行印、中立水域、水没債務、遺体返還権、潮汐境界の承認。
「天候が法的人格を持つことに、まだ慣れない」
リラは平然と答えた。
「全てではありません。条約に関係するものだけです」
「大いに安心した」
マルヴェインが一節を示す。
「ここで『深みは〈海〉に属する』と書いてはいけません。彼らには自明であり、我々が関与する権限のないことを確認するかのように見せれば、侮辱と受け取られます」
「つまり権利を承認すると、その承認自体が、承認する権利の主張に見える」
マルヴェインが輝いた。
「素晴らしい。もう外交官のように考えておられます」
「聞きたくない言葉だ」
「分かります」
署名まで二時間かかった。
どの単語も条約、侮辱、噂になり得るからだ。フョードルはマルヴェインに危険箇所を全て説明させ、リラに法的な罠を示させ、アズガルに軍事的に弱く見える表現を指摘させた。
やがて三通が承認された。
〈闇〉には重く敬意ある文。
〈森〉には比喩的だが具体性のある文。
〈海〉には歯が軋むほど慎重な文。
封印が記録板へ置かれると、彼は椅子へもたれた。
「終わりか?」
マルヴェインの顔へ、いつもの笑みが戻る。
「本日の領界については」
「安心できない言い方だ」
「安心させるためのものではありません」
フョードルはさらに注意深く彼を見る。
「エストレンは?」
今度、マルヴェインは笑わなかった。
「アレルト王子が宮殿を押さえています。ロガンの遺体は公開告別の準備中。神殿は完全な調査を要求していますが、まだ敵を名指ししていない。宮廷内ではすでに、新王の下で誰が役職を得るか探っています」
「我々へ続く痕跡は?」
「ありません」
「ほかの誰かへは?」
「おそらく」
リラが顔を上げた。
「マルヴェイン」
彼はわずかに頭を下げる。
「軍税と関係する国内派閥へ向かう痕跡が、現れる可能性があります。明白すぎず、神殿が即座に〈影〉を非難しにくくなる程度のものが」
フョードルはしばらく黙った。
「もう実行したのか?」
「一部を準備済みです」
「命令なしに?」
マルヴェインは真っ直ぐ見返した。
「今朝のご命令までは選択肢として。その後は防護措置として」
境界は薄かった。
あまりに薄い。
リラは黙っていたが、一語残らず記憶したのが分かる。
「よし、進めろ。ただしこれ以上、自分の判断で深めるな。リラと協議しろ」
マルヴェインが一礼する。
「もちろんです」
「『もちろん』じゃない。必ずそうしろ」
「はい、君主様」
夕刻近くに全員を下がらせた。
マルヴェインは、完全には満足せずに去った。彼にとっては、おそらくほとんど処罰に等しい。
リラは残った。
いつものように。
そして、いつもとは違って。




