第28章
翌朝も、財政から始まった。
この世界の権力が血や鉄より、紙、未納の税、他人の憤慨の匂いを放つことのほうが多い事実にも、ほとんど驚かなくなっていた。
シアナは予定より早く来た。
綴り、二人の助手、記録板の山を携え、昨日実験台の上で彼の下に震え、ほとんど聞こえない声で「私はあなたのものですか」と囁いた女ではなく、国庫、魔術研究、血統文書庫の主任管理官だけであろうと必死に努めている顔で。
うまくいっていなかった。
全く。
フョードルは、そうであるべき以上に気に入った。
彼女は綴りを卓へ置いて一礼し、すぐ一番上の記録板を落とした。掴んだ。ほとんど。板は卓の縁を滑り、リラが平然と指で止め、元の位置へ戻した。
「ありがとうございます」
シアナが小さく言う。
リラは頷いた。
笑みも、冷たさもない。
フョードルは二人を観察した。
シアナはなかなか彼を見る勇気を持てなかった。ようやく見れば、視線が接触であるかのように燃え上がる。昨日の出来事は何も消さなかった。最後の防御まで剥ぎ取ったらしい。今は理論ではなく知ってしまったため、以前以上に恥じらっている。
彼がどう触れるか。
どう見るか。
どう入るか。
彼女自身の恐怖を、どう欲望へ変えるか。
「おはよう、シアナ」
自分の名だけで、彼女は身を震わせた。
「おはようございます、君主様」
「眠れたか?」
完全に無邪気な質問だった。
羞恥があまりに速く顔へ浮かび、リラまで彼へ顔を向けた。
「はい。いえ、あまり。でも十分です。特恵についての計算と、疲弊地域の減税について暫定モデルを用意しました」
「つまり睡眠不足だ」
「計算だけが理由ではありません」
言葉を止める。
自分が何を言ったか理解し、今すぐ綴りの中へ隠れたい顔になった。
彼はゆっくり笑う。
「なるほど」
「そういう意味では……」
「いい。報告を始めろ」
リラはいつもどおり右側に立っている。嫉妬、緊張、抑えた棘、シアナへの冷たい視線。その影くらいはあると思っていた。
だが何もない。
驚いたことに、リラは理解をもって彼女を見ていた。
柔らかな理解ではない。リラは単純な場面で柔らかい女ではない。むしろ冷静な認識だ。もう一人が力と欲望と恐怖と帰属の軌道へ入り、自分を失わない方法を学ばなければならない。リラにはそれが、粗暴に嫉妬できないほどよく見えるらしい。
あるいは嫉妬もあったが、もう正しい棚へ収めたのか。
賢い女だ。
非常に。
シアナは最初の表を開いた。
「旧来の家門特恵を五群へ分けました。第一は、有効性が確認された軍事優遇。即時廃止は危険です。第二は、有効性未確認の軍事優遇。守備隊監査後に停止可能。第三は、かつて補給を支え、今は主に私的な餌場となった交易例外。第四は先代君主の個人的下賜。第五は口伝、恐怖、美辞麗句だけを根拠とする法的に疑わしい特恵です」
「全部廃止と言わなかったか?」
「申し訳ありません。ですが情報を集めず全てを同時に、というのは最善の戦略ではありません」
彼は少し黙り、異論を受け入れて頷いた。
「第五群はいくつ?」
シアナは唇を引き結んだ。
「多すぎます」
「数字で」
彼女が列を示した。
フョードルは見る。
「群じゃない。膿瘍だ」
「はい」
あまりに即答し、自分で驚いた。
彼は笑う。
「乱暴な言い方に慣れてきたな」
「正確な言い方で誰も怖がらなくなった時には、役立つことがあります」
「いい結論だ」
褒められ、単純な声を向けられ、見つめられただけで、頬にまた赤みが差す。
それはほとんど可笑しく、同時に彼を昂らせた。昨日のように味を試しに来た時とは違う。一度杯へ口をつけ、味が予想どおりだったと知っている感覚。今は見るだけで思い出せる。
リラは気づいた。
当然だ。
また何も言わない。
報告が進むにつれ、シアナは仕事の律動へ入り、羞恥は後景へ退いた。消えはしない。だが仕事では見事だった。計算は速く、関係を見抜き、どの家が古い債務を古来の権利へ隠すか、どこでは急な廃止が実際に補給を損なうか、即座に理解する。
「ここは単純に廃止できません」
南部を示した。
「カルヴェシュ家は二つの国境砦へ続く街道を維持しています。支出には虚偽がありますが、機能自体は実在します」
「廃止じゃなく再計算か」
「はい。監査を入れ、実支出を開示させ、特恵を補給量へ連動させます。証明できなければ削減」
「証明したら?」
「額は減りますが合法になります。玉座に略奪されたとは言えません」
「どうせ言う」
リラが答えた。
「ですが声は小さくなります」
「それも成果だ」
シアナが次の線を示す。
「こちらは、すぐ打てます」
彼は眉を上げた。
「打つ?」
自分の言葉に気づき、赤くなる。
「財政的に」
「残念だ。喜びかけた」
リラは実に平坦な動きで議事録の頁をめくった。
シアナは見ないようにし、失敗した。
彼が小さく笑う。
彼女は言葉に詰まった。
「ここは……メラト家です。三つの橋を警備する代わりに交易税免除を受けています。橋は十二年前に崩壊。免税は今も継続」
「廃止」
「はい」
「十二年分の債務は?」
シアナの目に生気が戻る。
「形式上は請求できます。ただ全額徴収は困難。選択肢を示すべきです。債務を認め分割返済するか、交易評議会への参加資格を五年間失うか」
リラが加える。
「後者のほうが痛いでしょう」
「なら、恩赦を与える顔で両方提示しろ」
シアナが記録する。
「はい、君主様」
ほぼ午前全てを使った。
時折疲労は押し寄せたが、以前とは違う。財政に論理が現れ始めている。シアナは混沌を表へ変えることができる。そして表なら切れる。権力は混沌だけではなくなった。
正午までに三つの命令をまとめた。
第一。七つの疲弊区域と十一の緊張区域における一時的な税負担軽減。
第二。先代君主が認めた全特恵、優遇、免除の再審査台帳。
第三。諸家が美しい書類の中へ全てを沈められないよう、シアナ、リラ、軍代表の直接監督下に置く国庫委員会の設置。
直接監督と聞いて、シアナが青ざめた。
「皆に憎まれます」
「もう憎まれてる。これで正直になるだけだ」
「慰めになりません」
「その代わり権限を持つ」
「それも慰めになりません」
リラが不意に言った。
「慣れます」
シアナはひどく慎重に彼女を見る。
羞恥、感謝、尋ねられない問い。リラは、ごく小さく頭を傾けるだけで答えた。
フョードルは短い無言の結びつきを見た。
リラは本当に、彼女と争うつもりがない。
自己犠牲からではない。
新しい現実の構造を理解しているからだ。
そしてシアナを競争相手ではなく、彼の傍にいる、もう一人の有能で脆く賢い女として見ているからかもしれない。
「今日は十分だ」
シアナはすぐ書類を集め始めた。
「夕方までに清書します。〈影〉放出制御の指針も。別に、封印して」
最後の言葉は、ほとんど聞こえなかった。
フョードルはまた笑みを向けた。
「待ってる」
記録板がまた手から滑りかけた。
リラが捕らえる。
今朝二度目。
「ありがとうございます」
「大丈夫です」
シアナは完全に赤くなり、急いで退出した。
扉が閉じると、フョードルはリラを見る。
「驚いた」
「何にです?」
「あいつを脅威として見ないことに」
リラは書類を整えた。
「脅威ではありません」
「確信してる?」
「はい」
「なぜ?」
記録板から顔を上げる。
「彼女はあなたのお役に立ちたい。私に代わりたいわけではないからです」
あまりに静かな答えだった。
フョードルはしばらく見つめた。
「いつか、もっと欲しがったら?」
「それは今日ではありません」
「いい答えだ」
「実用的です」
「嫉妬してるか?」
彼女は目を逸らさなかった。
「はい」
また正直さが、美しい嘘より強かった。
「ですが、そのせいで愚かにはなりません」
彼は笑う。
「それを聞きたかった」
「知っています」




