第26章
朝の知らせは死を運んできた。
黒い薄玻璃の記録板へ記された、礼儀正しく乾いた、政治的な死。
朝食後、リラが彼の前へ置いた。
「エストレンからです」
フョードルは目を上げた。
彼女は何も付け加えない。
だからすぐ分かった。悪い知らせは、もう起きた。あるいは良い知らせか。この世界では両者の境界が、地図のどちら側から見るかで決まることが増えていた。
記録板を取る。
文面は短い。
ロガン三世が夜間に死去。公式の死因は夕刻礼拝後の心臓発作。王宮は封鎖。貴族評議会と神殿代表は、葬儀までの暫定統治を引き受けるようアレルト王子を召集。守備隊は警戒態勢。国境は現在平穏。
読み返した。
もう一度。
「速いな」
リラは黙っている。
朝の報告へ偶然居合わせただけのような顔で卓に立つマルヴェインが、穏やかに頭を下げた。
「王というものは、時に都合の悪い時期に死ぬものです」
フョードルは視線を留めた。
「特に、この部屋で誰かが考えを口にしたあとには?」
「君主の思考には重みがあります」
「始めるな」
口元が微かに動く。
「始めておりません」
「痕跡は?」
「今のところ、我々へ続くものはありません」
「『今のところ』が気に入らない」
「私もです。ですから我々の痕跡だけでなく、誰かが我々の代わりに描き得る痕跡も調べています」
リラが加える。
「何もなくとも、光の神殿は魔族の介入を探すでしょう」
「当然だ。便利な敵がいれば、証拠は趣味の問題になる」
マルヴェインが頷く。
「まさに」
記録板を置いた。
ロガンは死んだ。
一昨日、ほとんど偶然に口にした言葉が、王の寝室の死体になった。
あるいは偶然ではない。
自分が命じたのか、まだ分からない。形式上は命じていない。だが権力に形式が要らない場合もある。正しい者が方向を理解するだけで足りる。
「王子は権力を保てるか?」
「次の十日間を生き延びれば、おそらく」とマルヴェイン。
「死んだら?」
「摂政、神殿、親衛隊の争いへ崩れます。戦争は遅れますが、制御しにくい」
フョードルは彼を注意深く見た。
「王子には生きてもらう」
「ご命令ですか?」
「今度は、そうだ」
マルヴェインの笑みが変わった。
ほとんど敬意が混じる。
「では明記します。エストレン情勢を監視。〈影〉へつながる非難を防ぐ。神殿へ都合のいい証拠を渡さない。アレルト王子は最初の十日間を生き延びさせる。ただし我々の手を直接晒さずに可能な限り」
リラが記録した。
「『可能な限り』は広い余地を残します」
「知ってる。だからエストレンでの全手順を、お前へ報告させる」
マルヴェインが眉を上げる。
「リラへ?」
「ああ」
「私を信用なさらない?」
「信用してる。だから一人にしすぎない」
リラはマルヴェインを見さえしなかったが、その気配には冷たい満足が閃いた。
「仰せのままに」
「それから、また命令なしに考えを理解しすぎたら、扉前の敷物の話へ戻る」
「脅しは覚えています」
「脅しじゃない。人事上の予備案だ」
そこで朝の報告は終わった。
このまま政治、エストレン、地図、諸家の総謁見準備へ進むこともできた。
だが再び隣国、神殿、暗殺の痕跡、マルヴェインの笑みへ潜れば、今日も他人の死の続きになる。
別のものが必要だった。
休息ではない。
完全には。
確認。
好奇心。
味。
シアナ。
昨夜から、彼女への考えは消えなかった。まだ口をつけていない暗い葡萄酒の杯のように、傍らで温かく危険に存在している。気配、恐怖、羞恥、役立ちたい欲求、見つめられる奇妙な喜び。あまりに鮮明に覚えていた。
今日は、その記憶が正確か確かめる。
「リラ」
「はい、君主様?」
「税制再審査、諸家の返答、エストレンは任せる。緊急事項は別板へ。緊急でないものは自分で切れ」
彼女が顔を上げる。
「あなたは?」
「実験室へ行く」
リラはすぐ理解した。
全てではなくとも、十分に。
顔は平静だった。
気配は違う。
銀の層が一度収縮し、それから整う。場面を作らず、質問もない。薄い内面の動きだけが、今の彼には読めた。
嫉妬か。
あるいは、彼の傍らでの自分の位置を素早く再計算しているのか。
嫉妬するなら、愚かなことだと説明しなければならない。
だがリラは愚かではない。
おそらく自分で理解する。
もう理解しているかもしれない。
「シアナへ先触れを?」
「要らない」
「護衛は?」
「外まで。中へ入れるな」
「はい、君主様」
声は平静。
ほとんど完璧。
ほとんど。
彼は近づき、一瞬だけ顎へ触れた。
「リラ」
彼女が目を上げる。
「はい?」
「お前の場所は変わらない」
言うつもりはなかった。
だが言った。
気配に速く暖かな波が走り、すぐ抑え込まれる。
「分かっています」
立派な答えだった。
それでも、あの「ほとんど」は残っていた。
彼は頷き、部屋を出た。




