第23章
翌日も、マルヴェインに一日を奪われた。
正確には、役人というより避けられない自然現象のように、向こうから現れた。
朝食後、新しい地図と薄い綴りを三冊持ち、国家ではなく、枕の下に条約か毒か古い怨恨を隠した近所の住民について説明するような顔で入ってきた。
「今日は人間じゃない?」
マルヴェインが一礼する。
「本日は残りです、君主様。〈闇〉、〈森〉、〈海〉」
リラは右側。シアナは朝から税制再審査に溺れ、「財政状況は依然として悲惨ですが、少なくとも秩序立って悲惨になりました」という短い覚書だけ寄越した。フョードルは、その文言を保存するよう命じた。
アズガルも出席したが、地図の反対側に立っている。昨日の軍事や人間諸国ほど彼に必要な話ではない――そう見えただけだと、すぐに分かった。
マルヴェインが地図を広げる。
中央に〈影〉の領地。昨日扱った人間諸国は東と北東。王国、神殿、騎士団、何世紀も聖なる遠征隊を〈影〉の国境へ運んだ道。そこが最も近く、目に見えやすい〈光〉だった。
だが地図はそこで終わらない。
西と南西には〈森〉。北と北西は〈闇〉。南は海、港、島々へ開く。さらに〈森〉の西端、緑の編み目が明るい平原と都市へ移る先には、再び人間領があった。
フョードルは遅れて気づき、眉を寄せた。
「待て。〈森〉の向こうにも人間がいるのか?」
マルヴェインは、その問いを待っていたように笑う。
「当然です。〈光〉は、墨で囲めば安心できる一つの整った国ではありません。東の王国群は我々を直接脅かす。西と南西の人間領は〈森〉を圧迫する。南部交易楔地はそれらを〈海〉の港へ結ぶ。聖騎士団は全人類を代表して語りたがりますが、全ての人間が、それを大声で思い出させられるのを好むわけではありません」
改めて地図を見ると、配置が分かった。
〈影〉は美しい円の中心ではない。他者からの圧力が結ばれる節点だ。東には最寄りの〈光〉。西には〈森〉と、その向こうの人間。北には死者の地。南には〈海〉と、時間を与えれば軍より危険になり得る交易。
「つまり〈森〉は東の〈光〉とは接していない。だが人間とは接している」
「そのとおり。城壁へ槍を持ってくる人々ではありません。宣教団、斧、商人、縁談、神殿学校、他者の根を横切る道を持ってきます」
リラが乾いた声で言う。
「〈森〉にとっては、軍より悪い場合があります」
「なぜ?」
「軍は見えます」
マルヴェインが頷いた。
「南部もあります。森が疎らになり交易地へ変わる場所では、〈光〉の人間が〈森〉、〈海〉、我々の南方街道へ同時に接触する。形式上は前線ではありません。実際には、一つの隊商で一度の戦より多くの影響力を買える場所です」
「素晴らしい。地図が複雑なんじゃない。有害なんだな」
「非常に正確です」
〈闇〉。
〈森〉。
〈海〉。
残る三つの領界。魔族が公然と戦わないのは、そんな戦争を単純と呼ぶほど愚かな者を全て食い尽くすと、何世紀もの歴史が証明したからだ。
「〈闇〉から始めましょう」
地図に北と北西の領地が浮かぶ。灰色に死に、古い街道の黒線で裂かれていた。
「闇の君主、サエル・モルガル。不死玉座の王。形式上は死者の地、呪われた都市、旧帝国の墓都、北方荒野の一部を治めます」
「形式上?」
「不死者に、生者の言葉である『統治』は似合いません。全てがより遅く、古く、頑固です。サエル・モルガルは治めるというより、死したものが完全に崩れないための中心です」
アズガルが補足する。
「戦うのは困難です。不死者は疲れず、損失を恐れず、急がない。一度負け、十年地中に横たわり、また起き上がることもあります」
「素晴らしい隣人だ」
「向こうも我々を似たように見ています」
接触点がいくつか光った。北方墳墓に関する旧条約。死者使節の通行権。諸家の許可なしに魔族の戦死者を起こすことの禁止。すでに死亡したため法的扱いが複雑になった捕虜の交換。
最後の項目で、目が止まる。
「聞きたくもない」
「後日に。法律家同席で」とリラ。
「見た目より悪いんだな」
「はい」
マルヴェインが続ける。
「〈闇〉との均衡は、相互の嫌悪と敬意で成り立ちます。不死者は、魔族の移り気、情熱、内紛好きの性質を軽蔑する。魔族は、不死者の不動、冷たさ、手紙の返答に百年を妥当と考える習慣を軽蔑します」
「手紙を書くのか?」
「はい。非常に長い」
「もう嫌いだ」
「前の君主が尋ねた質問へ、使節が答えることもあります」
フョードルはリラを見た。
「冗談?」
「いいえ」
「だろうな」
マルヴェインが次の地点へ触れた。
「重要なのは、サエル・モルガルも〈光〉を嫌っていることです。我々とは違う形で。〈光〉は不死者を永遠に眠らせ、浄化し、焼き、追放しようとする力です。ただし〈闇〉は、均衡を越えて〈影〉が強まることも望まない。あなたの出現を警戒します」
「敵対するか?」
「すぐには。まず政治的な意味で、あなたがどれほど生きているか見ます」
「死者が、俺の生存を確かめるのか」
「世界は対称を好みます」
彼は角を掻いた。
「何を望む?」
「北方墓都の不可侵。旧条約の維持。〈光〉の神殿遠征隊を我々の地から通さないこと。そして『生対死』の旗印で、彼らへ魔族をけしかけないとの確認です」
「そんな標語が魔族にあるのか?」
マルヴェインは満面の笑みを浮かべた。
「若い馬鹿は、十分大声で叫べるなら、どんな標語でも持ちます」
「覚えておこう」
次は〈森〉。
地図が変わる。北の暗い領地が退き、西と南西の大森林、古道、隠れた都市、外交通知なしで移動することもある生きた国境が浮かんだ。
〈森〉の彼方、地図の端には人間の道が淡く引かれている。東の王国でもエストレンでもない、別の〈光〉。言葉は柔らかく、商業的で、辛抱強い。
それでも〈光〉だ。
「森の君主、エライリン・タエル。根と緑冠の女王。エルフは『第一の枝』と呼び、ほかの者はもっと慎重な呼び方をします」
「エルフ?」
「〈森〉の主力ですが、全てではありません。ドライアド、獣人、森の精霊、古い狩人氏族、斧で侮辱しないほうがよい生きた木立」
以前の世界の遠足、焚火、濡れた天幕、松の匂いを思い出した。
ここでは、侮辱された森が夜に自分で訪ねてくるらしい。
「思考の仕方は?」
リラが答える。
「循環。成長。大地の記憶。長期の債務。〈闇〉ほど遅くはありませんが、人間や魔族より遥かに非直線的です」
マルヴェインが加える。
「人間は森へ道を造れば、土地を得たと思う。〈森〉は道を皮膚の一時的な傷だと思います。百年後に塞がったか確かめ、二百年後に腹を立てる価値があったか決める」
「魔族とは?」
「慎重な均衡です。かつて西方路を巡って戦い、条約を結び、獣人の一部系統と婚姻し、また戦いました。魔族は止まるべき時に止まるのが下手で、エルフは赦すべき時に赦すのが下手なので」
アズガルが言う。
「〈森〉は自分の土地では強い。平地では弱い。ただし平地へ出すこと自体が難しい」
「〈光〉とは平和か?」
マルヴェインが顔をしかめた。
「〈光〉は人間とエルフが近いと言いたがる。エルフは言わせておきます。役立つ時もある。実際には、我々と同程度しか人間を信用していません。人間のほうが清らかなふりを好み、エルフはそれを面白がっているだけです」
緑の南端を示す。
「ここが交易南部。人間商人、神殿仲介人、森の市場、海運税、我々の隊商権益。全員が笑い、利益を計算し、笑みが広がりすぎた時に道を切れる場所を覚えています」
指が地図の西へ滑った。
「西方の〈光〉諸王国です。我々へ直接は届かない。〈森〉、〈海〉、南方条約を通る必要がある。しかし〈森〉には恒常的な脅威です。必ずしも軍事的ではなく、むしろ緩慢な。辺境の伐採、係争入植地、古墳上の神殿、獣人氏族への宣教師、傍系との婚姻、借金、道、市場」
「我々の隣ではなく、〈森〉の背後に立って圧迫している」
「はい。だから中期的に〈森〉は危険です。東の〈光〉が魔族の脅威を叫べば、西の〈光〉は『保護』『同盟』『国境の共同浄化』を提案できる。その三語のあとでは、たいてい誰かが土地を失います」
リラが静かに言う。
「〈森〉も理解しています」
「それでも同意する?」
「人間に、同意したと思わせることはあります。同じではありません」
「我々へ何を求める?」
「西方森林の境界確認。聖なる木立での狩猟禁止。シアナの研究室との希少素材交換の再開。そして、おそらく会談です」
「俺と?」
「はい」
「いつ?」
「すぐではありません。エライリン・タエルは滅多に急がない。ですがあなたの到来は均衡を変えた。〈影〉に何が育ったのか、見たがるでしょう」
「実に森らしい言い方だ」
「練習しました」
最後は〈海〉だった。
地図が暗くなり、陸地が縮み、南と遠い海岸が深い青に開いた。港湾都市、島、海流、海底路。そして領土ではなく「深みの不可侵に関する合意」と記された区域。
「海の君主、ネレイ・アスタル」
マルヴェインの声に初めて、本物に近い慎重さが混じった。
「深淵王。潮汐、沈没都市、人魚宮廷、そして食事中には列挙しないほうがよい者たちの支配者です」
「海の怪物?」
「それも。人魚、セイレーン、深淵氏族、リヴァイアサン系統、溺死司祭、知性ある礁、船霊、陸と海の両方へ税を払う沿岸都市」
「強いのか?」
アズガルが答える。
「海ではほぼ手が届きません。陸では弱まりますが、水、交易、雨を通して陸へ届く」
フョードルはゆっくり顔を向けた。
「雨?」
「古い海洋条約の一部は、雨も〈海〉の存在形態として扱います」とリラ。
彼は目を閉じた。
開く。
「この世界は天気まで法的に危険だな」
「はい」
マルヴェインが続ける。
「〈海〉は全てと交易し、不興を買った者だけを選んで沈め、直接は語らず、水底へ沈んだ全てを覚えています。〈影〉とは南方港の旧条約がある。特定の岬へ砦を建てず、向こうは所定の印を持つ船へ触れない。理論上は」
「実際は?」
「時々船が消え、〈海〉から真珠、骨、舌のない死体の形で謝罪が届きます」
「外交的だな」
「彼らの基準では」
地図を眺めた。
〈闇〉は死せる均衡。〈森〉は〈影〉、南方交易、遠方の人間の〈光〉に挟まれた生きた記憶。〈海〉は牙のある深みと交易。
彼自身は、まだ宮殿の階段の位置さえ満足に分からない。
「今、最も危険なのは?」
マルヴェインは珍しく笑わずに考えた。
「短期は〈海〉。不確定から利益を得て、港を通じて条件を出すのが最も速い。中期は〈森〉。〈光〉が共同圧力へ誘うか、西方諸王国へ緑の国境の守護者を演じさせれば。長期は〈闇〉。最初に動くことは稀ですが、均衡が決定的に壊れたと判断すれば止めにくい」
アズガルが頷く。
「〈闇〉へは年単位の準備。〈森〉へは正しい境界。〈海〉へは慎重な条約と優れた船長が必要です」
「人間には?」
マルヴェインが笑う。
「自分たちも世界の主人公だと思っている、と覚えておくこと。そして同じ〈光〉へ祈っていても、人間は一種類ではないことです」
「もう学んだ」
リラが静かに言った。
「玉座による承認について、三領界へ通知を送る必要があります」
「定型文で?」
「いいえ。それぞれ別に」
マルヴェインが指を立てる。
「〈闇〉には旧条約への敬意と玉座の連続性。〈森〉には境界、南方交易規則の維持、係争中の狩猟を再審査する用意。〈海〉へ自分自身の即位を祝う文面は危険です。港湾協定の不変と、通行印更新の希望を」
「人間へは?」
「どの人間です?」
東の王国、西の〈森〉の向こうにある明るい領域、何世紀も人間と森の氏族と海と魔族が卓の下に刃を隠して笑ってきた南方交易楔地を見る。
「いい質問だ」
「東へは、まだ何も。まず四人を失ったと理解させましょう。西へはなおさら。こちらから知らせれば、神殿演説の題材を贈ることになります」
フョードルはエストレンを見た。
昨日の言葉へ、マルヴェインもリラも触れない。
触れられるより悪かった。
「手紙の案を作れ。長すぎたら署名しない」
「〈闇〉は短文を侮辱と見なします」
「〈闇〉には長文を送っていい。ただ俺には要約をつけろ」
「仰せのままに」
「三人の君主の名も別紙で。発音、称号、禁句、侮辱になる誤り」
リラはすでに記録している。
「特に〈海〉を。泡を表す語を間違えるだけで、深淵の一族を侮辱できます」
マルヴェインを視線で焼きたくなったが、本当に焼けるかもしれない恐れが勝った。
「時々、お前が作ってる気がする」
「作り話ならよかったと思うこともあります」
「もう一つ。五人の君主が揃うなら、均衡は回復するはずだ。なぜ俺が均衡を乱すと見られる?」
マルヴェインは筆を指で弄び、目を閉じ、また開いた。
「問題は『真なる』という言葉と《刻印》です。先代君主は選出された。その前は玉座を継承した」
「そんなに違う?」
「真なる君主が現れるたび、世界が動きます」
「ほかにも起きる?」
「伝説では。ただ〈海〉、〈森〉、〈闇〉はあまりに長く生きている。そうした出来事は何世紀もの底に沈んでいるのでしょう」
「人間は?」
マルヴェインが笑う。
「恐れすぎ、利害が分かれすぎています」
「統一を恐れる?」
「それも。真なる光の君主は、我々だけでなく人間の王や聖騎士団にとっても問題です。だから熱心には探さない。最も影響力ある者を選び、光の奉仕者の筆頭と呼び、それが当然だと装うほうが簡単です」
「なぜ聖騎士団も嫌う? 一つなんだろう」
「一つなのは説教の中だけです。内部には十分な階段、扉、鍵、そして異世界の誰かへ席を譲りたくない人間がいます」
「全ての最高司祭が、玉座を空けるわけじゃない」
「おそらく一人も」
「〈影〉は?」
「もっと単純です。一つの国。権力争いは多い。安定をより必要とする。そして何より、〈影〉は長く、自分の《刻印》へ異議を唱える贅沢を持てなかった」
「《刻印》はどこから来て、誰を選ぶ?」
マルヴェインは視線でリラへ促した。
彼女はわずかに眉を寄せたが答える。
「詳細は不明ですが、儀式があります。その後、〈影〉の一部が異世界へ滑り込み、適合する者を探します」
「何に適合する?」
「力、意志、可能性が〈影〉と共存できること。ほかの者より遥かに強くなれること」
「正確な基準は?」
「〈影〉だけが知っています。そして選択が、必ずしも国に良い結果をもたらすとは限りません」
結局、なぜ自分なのかという問いに、また答えはなかった。
ただ〈影〉がそう決めた。
素晴らしい。
それ以上は尋ねなかった。
そこで午前が終わった。




