第21章
翌日、ようやく隣国の話まで辿り着いた。
これまで黒の城塞を囲む世界は、断片としてしか存在していなかった。〈光〉の人間、聖騎士団、国境、神殿、〈影〉の諸家、軍、国庫、宮殿、捕虜。全てが近すぎ、鋭すぎ、すでに彼自身を打った出来事へ結びつきすぎていた。
今度は視野を広げねばならない。
宮殿や諸家ではなく、その外へ。
朝食後、会議室へ大地図が運び込まれた。近隣全域を示す地図で、卓のほぼ全てと、その上の空間の一部を占める。山脈は暗い立体線として隆起し、川は細い銀糸のように流れ、都市は密度の異なる点で光る。国境線は、自らが便宜上の線にすぎないことを恥じるような色だった。
リラは右側。
マルヴェインは向かいに座り、他国の弱点についての噂話を国務報告として語る許可を得た者のように満足している。
アズガルは壁際。
シアナも経済資料の提供者として参加し、少し離れて自分の表を広げた。地図に重要な税層が三つ足りないことを、個人的な侮辱のように受け取っている顔だ。
「本日は、人間です」
マルヴェインが言った。
フョードルは地図を眺める。
「複数形か、それとも診断名か?」
「両方です、君主様」
リラが小声で補足した。
「主な対象は国境沿いの人間諸国です。全てが光の君主へ直接服属しているわけではありません。重要な点です」
「〈光〉は一つの国じゃない?」
「違います」とアズガル。「共通の宗教的・政治的な軸に近い。人間の王国、公国、自由都市、神殿領、騎士団。光の君主の影響力は巨大ですが、全ての王を直接統治してはいません」
マルヴェインの笑みは、ほとんど意地が悪かった。
「あなたが〈影〉の全ての家を直接統治していないのと同じです」
「不愉快な対称性をありがとう」
「そのためにおります」
国境沿いの人間諸国が地図上で光った。
最初は最寄りのアルヴェル王国。
古く、豊かで、光の神殿と結びつきながら慎重。交易は盛ん、国庫は健全、軍は中規模、要塞網は優秀。老王は病み、治療師と商家評議会の間で多くの時を過ごす。娘が事実上外交を担い、マルヴェインによれば「美しい祈りのために戦争を始めない程度には賢い」。
「話せる相手か?」
「話せます。向こうは話している事実を否定するでしょうが」
アズガルが続ける。
「戦えば厄介ですが、恐れる相手ではありません。慎重で、〈光〉と隣国の支援を確信した時しか開戦しない」
次はベラル公国。
小さく、貧しく、怒り深い。鉄と辺境交易、そして経済の一部を便利に代替する魔族への憎悪で生きる。神殿と若い騎士学校は多いが、長期戦の資金がない。襲撃は痛いが予測しやすい。
「大声で叫んで、すぐ補助金を求める連中か?」
マルヴェインが頷いた。
「非常に正確です」
「俺の世界にもいた」
「この世界には?」
「どの世界にも」
シアナが表から目を上げた。
「ベラルはすでに神殿から資金供与を受けています。止まれば、辺境部隊を削るか、国内徴収を上げるしかありません」
「国内徴収は?」
「すでに高いです。これ以上は鉱山地方で反乱を招きます」
「危険だが、他人の金に依存している」
「はい」
続いて南部交易帯の自由都市。形式上は人間領。実態は門を備えた金だ。〈光〉へ祈り、仲介者を通じ〈影〉と交易し、余計な質問をしない相手へ武器を売り、毎年、魔族から世界を守るための荘厳な礼拝を催す。
「偽善が儲かってるだけましか」
マルヴェインが嬉しそうに笑う。
「最上の偽善です。取引できます」
リラが記録する。
アズガルは不満そうだった。
「そこを通じて〈光〉は装備を入手し、我々の国境へ持ち込む」
「同じ経路から、普段より多く買ってる奴を知ることもできる」
マルヴェインが満足げに見る。
「まさに」
地図が北西へ移った。
エストレン王国。
そこでマルヴェインの調子が変わった。
わずかに。
軽さが消える。
「軍事的に最も厄介な隣国です。総合的に最強ではありませんが、最も暴発しやすい」
都市、道路、砦、補給線が光る。
アズガルが近づいた。
「経済規模に比して軍が大きすぎます。歩兵は多数、騎兵は中程度、魔術師は少ないが神殿部隊が補う。国境要塞は六年間増強され、軍倉の穀物備蓄も悪くない。規律はアルヴェルより劣るが、攻勢能力は上です」
「なぜ?」
「戦争を必要としているからです」とマルヴェイン。
「文字どおり?」
「はい」
シアナが別の表を開く。
「エストレン経済は重税に圧迫されています。ロガン三世は十年で地租を四度上げ、軍税、〈影〉からの防衛を名目とする神殿税、道路通行税、修復されていない西方橋梁の復旧臨時税、都市工房への個別税を導入しました」
「結果は?」
「交易低迷。都市の不満。貴族の所得隠し。農民の国外逃亡。軍は経済が耐えられる以上を受け取りながら、約束された額には届かない。国庫は借金によって形式上満ち、実態は破綻寸前です」
彼は地図を見た。
「国を税で締め上げ、ほとんど壊して、戦争に出口を求めてる」
「はい」とマルヴェイン。
アズガルが続ける。
「勝てば戦利品、神殿の支援、国内不満を魔族の脅威への裏切りと呼ぶ口実を得ます」
「負けたら?」
「すぐには負けないつもりでしょう」
「賢いな」
マルヴェインが笑う。
「彼にとっては」
「本人は?」
リラが略歴を開いた。
「ロガン三世、五十七歳。兄王の死後に継承。当初は妥協候補でした。次第に親衛隊を強化し、貴族評議会を弱め、神殿派を基盤としました。疑い深く頑固。軍事的象徴を好みますが、本人は優れた将ではありません」
「どの程度、優れていない?」
「自軍の将軍を邪魔する程度です」とアズガル。
「将軍は?」
「危険なのが二人。一人は慎重。一人は攻撃的だが有能。二人とも王と神殿の補給へ依存しています」
「後継者は?」
マルヴェインが微笑んだ。
その問いを待っていたらしい。
「アレルト王子、三十一歳。情報が正しければ、父よりはるかに愚かではありません。賢い可能性すらある」
「いい表現だ」
「高い評価は稀な場合に取っておきます」
リラが続ける。
「東部諸州の統治に参加。徴税は穏当、反乱は少なく、道路状態も良好。神殿税拡大へ何度か反対しましたが、公には父王への忠誠を保っています」
「軍の支持は?」
「一部は。若手士官は支持。旧親衛隊は国王派。神殿部隊は王子を警戒しています」
「貴族は?」
「まだ金のある者は王子を望む。ロガンの下で出世した者は老人へしがみつく。都市は確実に王子を望むでしょう。ただし即位後、血で沈められないと確信できれば」
フョードルは長くエストレンの地図を見つめた。
重税に潰される国。救済の象徴として肥大した軍。戦争を必要とする王。魔族の脅威を必要とする神殿。勝利の歌のため自国を焼かない程度には理性的かもしれない後継者。
声に出したと気づくのが遅れた。
「ロガンは消したほうがいいな」
部屋が静まる。
シアナまで表を動かす手を止めた。
リラがゆっくり目を上げる。
アズガルは地図を見ていたが、もう違う目だった。
マルヴェインは頷いた。
そして笑う。
深く理解した笑みだった。
広くも勝ち誇ってもいない。ただ、ずっと宙にあったものをようやく聞き取り、正しい引き出しへ収めた者の笑み。
そこでフョードルも理解した。
この部屋、この者たちの前で、彼の口から出た言葉は単なる考察にはならない。
命令として受け取られ得る。
あまりに容易く。
すでに、そう受け取られた可能性もある。
マルヴェインを見る。
彼はまだ微笑み、黙っていた。
賢い。
次の言葉を待っている。
撤回するか。「命令ではない」と言うか。「選択肢を検討しろ」か。「命じるまで動くな」か。どの一言でも意味は変わる。
フョードルは迷った。
外から見れば短い。内側では長い間だった。
隣国の王を消すことは、剣士の処刑でも減税でも志願者の救命でもない。規模が違う。ロガンが本当に戦争へ向かうなら、死によって何千人も救えるかもしれない。混乱を招くかもしれない。王子が同じほど危険かもしれない。神殿へ王殺しを非難する口実を与え、戦争を早めるかもしれない。
だが、口にした考えには冷たい論理があった。
自分の失政の出口を戦争に求める者なら、戦争が都市を消すのを待つより、その者を消すほうがいい。
彼は何も付け加えなかった。
沈黙が決定になった。
正式ではない。
だがマルヴェインは理解した。
アズガルも。顔は石のままだったが。
リラも理解し、記録しなかった。
シアナの理解は少なかったが、青ざめて表へ目を落とすには十分だった。
マルヴェインが地図へ触れた。
「エストレンで突然の政権交代が起きれば、アレルト王子は当面、国内安定化へ追われます。都市への圧力を弱め、貴族と合意し、神殿の食欲を抑え、軍へ父より弱くないと証明する必要がある。その時期、〈影〉への攻勢は彼にとって極めて不利です」
「権力を保てれば」とアズガル。
「保てれば」とマルヴェイン。
フョードルはアズガルを見る。
「内戦の可能性は?」
「中程度。王の死が国内の者の仕業に見えれば上がる。病や事故なら下がる。神殿が我々を非難した場合は、証拠次第です」
「証拠は作れます」とマルヴェイン。
「消すことも」とリラが静かに加えた。
フョードルはゆっくり息を吐いた。
こうして動き始めるのか。
一つの考え。
一つの言葉。
その周りに、作戦、外交、軍事計算、情報戦がもう組み上がっている。
全員が方向を理解していれば、権力は命令を待たない。
「続けろ」
マルヴェインが小さく頭を下げた。
「もちろんです、君主様」
そして何事もなかったかのように報告を続けた。
残りの一日、人間諸国、神殿領、交易路、光の君主の影響力、既知の騎士団、王室間の関係を調べた。フョードルは聞き、質問した。それでも意識の一部はエストレンへ戻り続けた。
ロガンは消したほうがいい。
言葉はもう独立して生きていた。
文書としてではなく、君主の望みの影として、すでにマルヴェインの網へ入ったかもしれない。
夕方には、財政会議のあとより疲れていた。
最初、彼の決定が変えたのは一つの部屋だった。次は宮殿。その次は国。今や、不用意な考え一つが隣国を動かし始める。
それでもまだ、その考えは正しかったと思っている。
何より疲れるのは、そこだった。




