第17章
大きな決断のない一日だった。
食事は東回廊脇の小広間へ運ばれた。肉、濃いスープ、パン、そして食べるほど好きになってきた紫色の渋い果実。リラの報告も要点だけだ。シアナは税制再審査の草案を作成中。アズガルは倉庫を監査中。マルヴェインは諸家の反応を収集中。志願者には報奨の最初の通知が届いた。女祭司は沈黙したまま。
最後の項目で、彼は目を上げた。
「容体は?」
「肉体的には安定しています。治療師によれば正常の範囲内です」
「精神は?」
リラは少し黙った。
「何も話しません」
「答えになってない」
「確実に言えるのは、それだけです」
彼は頷いた。
「そういえば、四人目はどこだ?」
リラが訝しげに聞き返す。
「四人目?」
「お前たちは四人だった。骨と煙でできたような奴」
「ああ、セルピスのことですね」
「名はお前のほうが詳しい。それで、どこに?」
「目的を果たし、あなたを見つけたので、自分の塔へ戻りました。邪魔をするな、と」
「君主でも?」
「マルヴェインなら、ほかの者が敬意を示すべき場面でも、君主は少なくとも相手を尊重すべきだ、と言うでしょう」
「要するに、行くなという遠回しな忠告か?」
「よほどの必要がない限り、確実に。あまりに古い方です」
「分かった。いつか後で会うかもしれない。よほどの必要が理由でないことを祈る」
「はい、君主様」
夕方には、目的もなく宮殿を歩いた。図書室にしばらく座ったが、読書はできない。謁見の間を見下ろせる側廊へ上り、〈影〉の領地図の前に立ち、やがて私室へ戻った。
夜の支度は全て整っていた。
湯。食事。衣服。短い報告を刻んだ記録板。シアナの煎薬。
リラは卓の前で待っていた。
フョードルは窓辺で足を止め、内側の裂け目を見下ろした。底の闇がゆっくり、ほとんど優しく動いている。
拷問室の記憶が不意に戻ってきた。
全てではない。
一つの断片。
台の上の女祭司。
革帯。
黒い石に映える白い肌。
意志はまだ耐えているのに、身体はすでに無力を理解していた瞬間の顔。
彼は目を閉じた。
一瞬、部屋の空気が重くなる。
「君主様?」
リラが静かに尋ねた。
目を開く。
「残れ」
リラはすぐには答えなかった。
それから記録板を卓へ置く。
「はい」
一言だけ。
だが以前より、作法の色は薄かった。
フョードルは彼女へ近づいた。
ゆっくりと。
今度、彼女は命令されて跪いたわけではない。そもそも命じていない。彼の前に立ち、下から見上げている。その気配はすでに変わり始めていた。銀の層が開き、震え、昼のあいだ隠していた暖かな暗い渇望を外へ漏らしている。
今は隠していない。
あるいは、隠すのが下手になった。
彼は爪で彼女の顔に触れた。
細心の注意を払って。
「昨日、俺は断った」
「はい」
「今日は残れと言った」
「聞きました」
「命令だから残ったのか?」
リラは真っ直ぐ見返した。
「はい」
間があった。
そして付け加える。
「それだけではありません」
フョードルは荒々しく口づけた。
彼女はすぐに応えた。一日中、封印の下へ押し込めていたものが弾けたようだった。身体を押しつけ、彼の服を指で掴み、その強引な口づけへ唇を開く。翼が震え、尾が彼の脚へ巻きついた。だがすぐに離れた。自分の露骨さに、本人が驚いたかのように。
彼は退かせなかった。
さらに強く抱き寄せる。
女祭司とは違う。ここにあったのは、あの光景を自分の中から追い出そうとする、激しく、ほとんど必死な欲望だった。縛られた身体を、自ら近づく身体で置き換える。恐怖を渇望に。無力を、革帯ではなく内側から差し出された帰属に。
リラは理解した。
理性ではなくとも、身体で。
彼女は自ら跪いた。だが、最初の時とは違う動きだった。そこにいたいという穏やかな告白。彼の足元に。手の下に。力の中に。
フョードルは髪へ指を差し入れた。
「俺を見ろ」
彼女が目を上げる。
羞恥。情欲。危ういほどの覚悟。
そして、ほとんど優しさに近いもの。だが今日は優しさを欲していなかった。
欲することができなかった。
最初は乱暴に彼女の口を使った。思考を押し黙らせようとするように。リラは深く、不規則に受け入れた。濡れた音と乱れる呼吸。何度か離れて息を吸わねばならなかったが、そのたび自ら戻ってくる。唇を震わせ、目を潤ませ、指を固く握りながら。彼は髪を掴み、動きを導いた。それでも以前のような、冷たい限界試しにはしなかった。
今夜、必要なのは別のものだった。
彼女が望んでいること。
そしてリラは、望んでいた。
彼が不意に引き上げると、リラは均衡を失った。その身体を、外套より軽いかのように抱き上げて寝台へ運ぶ。彼女は首へ腕を回し、翼を彼の腕へ寄せた。
奇妙なほど、生きている動きだった。
寝台へ横たえ、服を乱暴に剥ぎ取る。布は耐えられず裂けた。リラは痛みではなく驚きに声を上げ、それから自分でも手伝い、彼の下で身体を開いた。呼吸は速い。すでに濡れ、熱く、受け入れようとしている。今から難しく、過大で、深すぎるものが来ると知りながら、それでも求める女の身体。
フョードルは彼女の上を覆った。
翼が寝台をほとんど閉ざす。
「今夜の俺は優しくない。それでも分かってるか?」
彼女は唾を呑んだ。
「はい」
「欲しいか?」
答えには少し時間がかかった。
それでも答えた。
「はい」
彼女が明らかに望んでいても、その大きさには時間が必要だった。リラは腿をさらに開き、自ら手で導いた。先端が入口へ押し当てられると、目を固く閉じた。それでも逃げない。フョードルは圧を加え、きつい抵抗と筋肉の震えを感じた。
彼女が何かを囁いたが、言葉は吐息の中で崩れた。
さらに深く押し入る。次に短く腰を進めると、彼女はもっと多くを受け入れ、全身を震わせ、指で掛布を掴んだ。痛みと快楽がまだほぼ等しく争う境界で止まる。開いた唇、火照った顔、服従ではなく自ら彼を収めたいがために力を抜こうとする姿を見つめた。
「もっと」
リラが言った。
彼は動いた。
初めはゆっくり。その後は強く。一突きごとに深く入り、彼女を押し広げ、声を上げさせる。狭く、熱く、生きている。
リラだ。
肩を、次に手首を掴み、両手を頭上へ押さえた。彼女は抵抗しない。逆に腰を反らして迎え、下に広がった翼を震わせる。内側から燃え上がる気配が見えた。銀と暗い熱。欲望、羞恥、受容の波。
彼女の喘ぎ一つ一つが、台の上の沈黙した像を覆った。一突きごとに、今、この寝室へ、奪われることを望む身体へ彼を引き戻す。リラの呼吸が形を失い始めるまで、さらに強く動いた。彼女の腿は自ら持ち上がって迎え、尾は寝具の上を乱れたまま滑り、頭上に押さえられた指が開いては閉じる。
「俺のものか?」
掠れた声で尋ねた。
言葉は勝手に出た。
危険な言葉だった。
リラは目を開いた。
間を置かず答える。
「あなたのものです」
それは「臣下」という意味ではなかった。
少なくとも、それだけではない。
フョードルにも分かった。
彼はさらに深く彼女を貫いた。
リラは今度こそ大きく、ほとんど必死な声を上げた。身体がついに全てを受け入れ、きつい抵抗が濡れた熱い締めつけへ変わり、絶頂の縁で震えるのを感じる。彼は身を低くし、体重をかけた。ただし全てではない。この状態でも、意識の一部は自分が重すぎ、大きすぎ、強すぎることを覚えていた。
自分への怒りが燃え上がり、すぐに彼女の声の中へ溶けた。
慎重な憐れみなど、リラは求めていない。
今は。
彼女の身体を返し、あの時と同じように膝をつかせた。だが意味は違う。リラは腰を反らし、膝を開き、肩越しに振り返った。そこに無力さはない。
期待がある。
渇望がある。
再び入る。今度は速く。すでに押し広げられていても、一動作ごとに密で、深い。腰、尾の付け根、時には翼を掴む。だが支配の道具としてではなく、この熱く生きた現在へ留まるために。リラはもう隠そうともせず喘いだ。深く突くたび声が途切れ、その音がどんな魔法よりもよく部屋を満たした。
フョードルは身を屈め、胸を背へ押し当てた。
「もう一度言え」
彼女は理解した。
「あなたのものです」
息を切らしながら続ける。
「あなたのものです、君主様」
ここにも権力はあった。だが革帯を締める冷たい手ではない。二人ともまだ安全な名前をつけられない、互いに引き寄せ合う力だった。彼が命じ、彼女が従う。彼が奪い、彼女が開く。それでも服従の中には、彼女自身が進み出る動きがある。
フョードルはほとんど必死に、それへしがみついた。
やがて律動は完全に乱れた。
もう君主らしく振る舞おうとはしなかった。玉座も、借金も、軍も、マルヴェインも、女祭司も考えない。彼の下にいるリラ。その身体、声、翼。手の中の尾。全てを受け入れ、その先さえ望む彼女だけ。
リラは激しく絶頂した。彼が支えきれないほど身を反らし、気配を燃え上がらせ、指を寝具へ食い込ませ、短い叫びを上げる。彼もすぐ後を追い、限界まで深く突き入れた。解放はほとんど魔力の奔流のように全身を貫いた。部屋の影が震え、火鉢の炎が燃え上がる。どこかで、薄い装飾板が割れたらしい。
シアナが怒るだろう。
意識の端でそう思った。
そして消えた。
すぐには寝台へ崩れなかった。
しばらく彼女を抱いたまま、荒く息をし、感覚を確かめた。やがてゆっくり抜き、隣へ倒れ込む。リラはうつ伏せになり、それから横を向いた。翼は不器用に折り畳まれ、髪が顔へ貼りついている。
フョードルは頬の髪を払った。
ほとんど優しい仕草になった。
彼女が目を開く。
二人とも気づいた。
二人とも黙っていた。
話す必要はあった。昨日よりもなお強く。だが今ではない。部屋にはまだ熱と彼女の呼吸と彼の力が残り、少なくとも一時、あの光景を遠ざけられたという壊れやすい感覚があった。
先に起き上がったのはリラだった。
動きはゆっくりしている。髪を直し、それから衣服――正確には残骸――を整え、裂けた布を見て小さく笑った。
「新しい服が必要なようです」
彼女が口にする前から、帰ろうとしていると分かった。
止めなかった。
「自分の部屋へ?」
「はい」
「なぜだ?」
リラは寝台の縁で足を止めた。
「今夜のあなたは、お一人で眠るほうがよいからです。私も」
彼は少し考え、頷いた。
「そうだな」
彼女は頭を下げた。
扉の前で、また足を止める。
「君主様」
「何だ?」
何かを言おうとした。
だが言わなかった。
ただ彼を見た。君主を見る目ではない。まだ何になるべきかも分からないのに、あまりに早くそれへ変わっていく者を見る目で。
「おやすみなさい」
「おやすみ、リラ」
扉が閉じた。
部屋は熱く、広すぎた。
すぐには横にならなかった。窓辺へ歩き、宮殿の下にある内なる影を見下ろし、次に暗い窓へ映る自分の姿を見る。
影の君主。
魔族。
買い物袋と雨と、水たまりに落ちたパンをまだ覚えている人間。
手のひらで顔を拭った。
女祭司の像は、まだそこにあった。
だが今、その隣には別の像がある。目を開き、声を震わせながら「あなたのものです」と告げたリラ。
言い訳ではない。
ただ、別の記憶。
もっと生きた記憶だった。




