↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影の君主  作者: Svolik
14/69

第14章

夕方、フョードルはマルヴェインに言った。


「女祭司を話せるように準備しておけ」


マルヴェインが頭を下げる。


「どのように?」


フョードルは歩きながら、軍についての短い報告書へ目を通していた。


「拷問はなしだ。だが、できれば口を開かせたい。俺一人で下りる」


「お一人で?」


リラが即座に顔を上げた。


「君主様……」


「一人だ。あいつに観客向けの芝居をさせる必要はない。それに、お前たちに邪魔されたくない」


リラは黙った。


マルヴェインは注意深く彼を見ていた。


注意深すぎるほどに。


「承知しました」


その時は気に留めなかった。


それが間違いだった。


捕虜の牢へ下りたのは、夜も更けた頃だった。


黒の城塞の下層は別の場所だった。宮殿でも、要塞でも、国家でもない。石は冷気に汗ばみ、火は低く燃え、扉は分厚い。そして沈黙には匂いがあった。


入口の衛兵が頭を下げる。


「誰も入れるな」


「はい、君主様」


衛兵の一人が扉を開けた。


フョードルは中へ入る。


そして、立ち止まった。


女祭司は拷問台に横たえられていた。


裸で。


あまりに几帳面に、革帯で磔にされていた。両腕を広げ、手首を固定されている。脚も同様だ。身体を晒し、無防備にし、欲望を無視できない姿勢で見せつけるように。


処刑や尋問のためではない。


その用途には、都合がよすぎる。


マルヴェイン。


当然だ。


自分が何をしているのか、あいつはよく理解していた。そして、おそらく何が起こり得るかも。


女祭司が顔を向けた。


彼を見る。


その顔が、憎悪と恐怖で白くなった。


「化け物」


フョードルは扉を閉めた。


閂を掛ける。


すぐには答えなかった。


部屋には器具があった。清潔にされ、整然と並べられ、まだ使われていない。水。布。魔法を抑える封印。黒い台の上で、女祭司の白い肌は不躾なほど明るく見えた。


フョードルは不吉な鋼の器具を一つ手に取り、指先で回しながら彼女を見た。女祭司が身を震わせる。彼は器具を元の場所へ戻した。


そして近づいた。


思考より先に、身体が反応した。


恥知らずなほど、はっきりと。


彼女にも見えるほどに。


それが腹立たしかった。


欲望そのものではない。欲望は理解できる。新しい魔族の肉体は、ただ強いだけではない。もっと直接的で、衝動において粗暴なのだ。権力。恐怖の匂い。敵の無防備さ。裸体。腹を槍で貫かれた記憶。昨日のリラ。今日下した処刑命令。


全てが一つの熱い塊へ絡み合っていた。


「マルヴェインは妙な準備をしたものだな、〈光〉の生贄よ」


女祭司が革帯の中でもがく。


「自分が上だというように話すな」


「マルヴェインよりか?」


「〈光〉よりも」


フョードルは冷笑した。


「お前たちの〈光〉は、パンを買っていた人間を殺すため、俺の世界へお前を送った」


「お前は人間ではない」


「お前の少年が俺の腹を貫いたときは、人間だった」


彼女は歯を食いしばった。


「彼は英雄として死んだ」


「予言を槍で突けと大人に教え込まれた馬鹿として死んだ」


彼女は唾を吐こうとした。だが距離がありすぎた。唾は自分の頬と台に落ちる。その屈辱が、怒りをさらに煽った。


「好きなだけ嘲ればいい、悪魔。真実は変わらない」


フョードルはさらに近づいた。


今や彼女には、全てが見える。角。翼。暗い肌。爪。ケイルの肉体。そして、もはや称号と切り離すことのできない力。


「何が可笑しいか分かるか?」


彼は尋ねた。


「お前たちは俺が怪物になると証明したいあまり、必要な道具を全部、自分から持ってきた。血。敵。玉座。肉体。恐怖。これまでな」


彼は爪を、胸に触れないぎりぎりのところで滑らせた。


女祭司は動きを止めた。


服従ではない。


嫌悪と恐怖によって。


「お前はさらに自分を穢すことになる」


「そうかもしれない」


「〈光〉は見ている」


「お前が他人の世界へ殺害命令を携えて入るところも、〈光〉は見ていた。趣味がいいとは思えないな」


「何も分かっていない」


「なら説明しろ」


彼女は笑った。


乾いた、悪意ある笑いだった。


「お前に?」


「俺にだ。お前たちが創るのを手伝った相手にな」


笑いが止まった。


「私たちは終末を防ぐために来た」


「都合のいい側から始めるために来たんだろう」


「覚醒前に殺せていれば、何千もの命が救われた」


「確信してるのか?」


「している」


「司祭がそう言ったから?」


「光の神殿が七百年にわたり予言を守ってきたからだ」


「間違いだって七百年保存できる」


「間違いではない」


「ならなぜ、お前たちが襲ってから予言が実現した?」


彼女は黙った。


「俺はお前たちの世界なんか望まなかった。魔族も、玉座も、この身体も。お前の剣士を処刑したくもなかった。今日一日、地図を前にして、善良を自称する連中が正義を確信した時、〈光〉も他人の領地を同じように汚く圧迫すると知りたくもなかった。始めたのは全部、お前たちだ」


「嘘だ」


「違う。お前には、自分が悪を目覚めさせた世界じゃなく、悪を警告していた世界が必要なだけだ」


女祭司は顔を背けた。


手首の革帯が張る。


「お前は、もう悪だ」


「便利だな。お前が何をしても、悪との戦いになる」


「そうだ」


フョードルは身を屈めた。


「あの中庭で、俺が泣いていたら? 命乞いしていたら? お前の槍兵の前に跪いていたら? 俺には〈影〉の力なんてない、お前たちの世界も知らない、権力など欲しくないと言っていたら? 術師が間違えて、俺に《刻印》がなかったら? お前は仲間を止めたか?」


彼女は沈黙した。


フョードルは待った。


長く。


やがて彼女は答えた。


「止めない」


「なぜだ?」


「未来の悪への慈悲は、未来の犠牲者への残酷だからだ」


フョードルはゆっくり息を吐いた。


内側に暗い波が立ち上がる。


怒りですらない。


もっと深い何か。魔族の何か。彼女の確信へ、裸の無力さへ、自分の新たな力へ、言葉では疑念を抱かせられないという事実へ応えるもの。


「それだ」


彼は静かに言った。


「お前たちの本当の聖句。未来。未来のためなら何でもできる。まだ何もしていない者を殺し、まだ罪を犯していない者を焼き、危険になるかもしれない者を拷問する。そして本当に危険になったときは指を差して言う。ほら、我々が正しかった、と」


女祭司は目を閉じた。


「しに来たことをしろ」


会話が終わったのだと、彼は理解した。


答えを得たからではない。


答えなどなかった。


彼女も屈しなかった。


ただ、彼自身の中で何かが動いた。


立ち去ることはできた。


牢へ戻せと命じることも。


リラやマルヴェイン、衛兵を呼ぶことも。


正しい決断を下すこともできた。


だが今日は、もう正しい決断を十分に下した。税、軍、国庫、特恵、演説、尋問。二日前に槍で腹を刺され、その後で影の君主と呼ばれた生き物には、多すぎるほどの正しい決断だった。


彼は台の縁へ手を置いた。


指の下で石がひび割れる。


女祭司は目を開いた。


そこには今や恐怖があった。


本物の恐怖。


それを見た瞬間、内なる闇が応えた。


「本当なら、あの槍兵の目を見ながら、そいつの腹を貫いてやりたかった。だがもう死んだ。報復しなければ、次の機会を待ち続けることになる。この借りは今ここで返すほうが簡単だ」


彼は、ただ無意味に残酷だったわけではない。


深い場所にはまだ一線が残っていた。強すぎる獣の手綱を歯で噛んで押さえるように、必死で守っていた。


それでも、これは罰だった。


復讐だった。


試す行為だった。


自分が恐れていた存在になる前に殺しに来た〈光〉の女祭司が、縛られて目の前に横たわったとき、君主が行ったことだった。


女祭司は初め、革帯の許す限り全身で抵抗した。


次は叫びで。


最後には、呼吸だけで。


大事な点で、彼女の身体は人間だった。傷つきやすく、彼には小さすぎ、新たな魔族の力の前ではあまりに脆い。フョードルは力ずくでそれを忘れないようにしなければならなかった。加減を強いられることへ怒りを覚え、同時にそれを、まだ完全には堕ちていない最後の証のように掴んだ。


掴む力は、十分ではなかった。


彼女が泣き出しても、安堵は訪れなかった。


内側に沈黙が生まれただけだ。


鈍く、重い沈黙。


処刑を命じた後と同じような。


フョードルが台から離れた頃には、女祭司はもう彼を呪っていなかった。動かずに横たわり、目を閉じ、途切れ途切れの息をしている。革帯は相変わらず、あまりに丁寧に彼女を固定していた。マルヴェインは本当に、偶然が入り込む余地をなくすよう全てを準備していたのだ。


血が太腿から床へゆっくり滴っていた。


フョードルは彼女を見た。


そして、石台のひびを。


権力が、可能性をどれほど素早く行為へ変えるかを。


布を取り、彼女の身体へ掛けた。


優しくはない。


ただ覆っただけだ。


それから扉を開けた。


衛兵たちが固まる。


彼は廊下へ出た。


「治療しろ」


声は平静だった。


平静すぎた。


「はい、君主様」


数歩進み、足を止めた。


振り返らずに付け加える。


「少し裂けている」


衛兵は答えなかった。


それで正しい。


彼は先へ進んだ。


廊下ではマルヴェインが待っていた。


当然のように。


扉のすぐ前ではない。捕まったように見えないだけ離れ、それでも何が起きたか分かる程度には近い。


マルヴェインが頭を下げた。


「お話はできましたか?」


フョードルは彼の前で立ち止まった。


数秒、何も言わなかった。


マルヴェインは危険だ。賢く、有能だ。そして今、石を斜面から押し落とし、どこへ転がるか見届けようとする者そのものの立ち方をしている。


「お前は俺の命令を理解しすぎた」


マルヴェインが目を上げる。


「可能な解釈の一つとして理解いたしました」


「その中から、俺を試すのに一番都合のいいものを選んだ」


「あなたを理解するためです、君主様」


フョードルは彼を見つめた。


廊下の影が濃くなる。


初めて、マルヴェインの顔から笑みが消えた。


「直接命令しない限り、二度とするな」


「はい、君主様」


「それと、俺がまさにお前の見込んだ通りのことをしたからといって、お前が俺を操ったと思うな」


マルヴェインはひどくゆっくり、さらに深く頭を下げた。


「そうは考えておりません」


フョードルはその横を通り過ぎた。


背後では、マルヴェインが薄闇の中に立ち尽くしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。