第14章
夕方、フョードルはマルヴェインに言った。
「女祭司を話せるように準備しておけ」
マルヴェインが頭を下げる。
「どのように?」
フョードルは歩きながら、軍についての短い報告書へ目を通していた。
「拷問はなしだ。だが、できれば口を開かせたい。俺一人で下りる」
「お一人で?」
リラが即座に顔を上げた。
「君主様……」
「一人だ。あいつに観客向けの芝居をさせる必要はない。それに、お前たちに邪魔されたくない」
リラは黙った。
マルヴェインは注意深く彼を見ていた。
注意深すぎるほどに。
「承知しました」
その時は気に留めなかった。
それが間違いだった。
捕虜の牢へ下りたのは、夜も更けた頃だった。
黒の城塞の下層は別の場所だった。宮殿でも、要塞でも、国家でもない。石は冷気に汗ばみ、火は低く燃え、扉は分厚い。そして沈黙には匂いがあった。
入口の衛兵が頭を下げる。
「誰も入れるな」
「はい、君主様」
衛兵の一人が扉を開けた。
フョードルは中へ入る。
そして、立ち止まった。
女祭司は拷問台に横たえられていた。
裸で。
あまりに几帳面に、革帯で磔にされていた。両腕を広げ、手首を固定されている。脚も同様だ。身体を晒し、無防備にし、欲望を無視できない姿勢で見せつけるように。
処刑や尋問のためではない。
その用途には、都合がよすぎる。
マルヴェイン。
当然だ。
自分が何をしているのか、あいつはよく理解していた。そして、おそらく何が起こり得るかも。
女祭司が顔を向けた。
彼を見る。
その顔が、憎悪と恐怖で白くなった。
「化け物」
フョードルは扉を閉めた。
閂を掛ける。
すぐには答えなかった。
部屋には器具があった。清潔にされ、整然と並べられ、まだ使われていない。水。布。魔法を抑える封印。黒い台の上で、女祭司の白い肌は不躾なほど明るく見えた。
フョードルは不吉な鋼の器具を一つ手に取り、指先で回しながら彼女を見た。女祭司が身を震わせる。彼は器具を元の場所へ戻した。
そして近づいた。
思考より先に、身体が反応した。
恥知らずなほど、はっきりと。
彼女にも見えるほどに。
それが腹立たしかった。
欲望そのものではない。欲望は理解できる。新しい魔族の肉体は、ただ強いだけではない。もっと直接的で、衝動において粗暴なのだ。権力。恐怖の匂い。敵の無防備さ。裸体。腹を槍で貫かれた記憶。昨日のリラ。今日下した処刑命令。
全てが一つの熱い塊へ絡み合っていた。
「マルヴェインは妙な準備をしたものだな、〈光〉の生贄よ」
女祭司が革帯の中でもがく。
「自分が上だというように話すな」
「マルヴェインよりか?」
「〈光〉よりも」
フョードルは冷笑した。
「お前たちの〈光〉は、パンを買っていた人間を殺すため、俺の世界へお前を送った」
「お前は人間ではない」
「お前の少年が俺の腹を貫いたときは、人間だった」
彼女は歯を食いしばった。
「彼は英雄として死んだ」
「予言を槍で突けと大人に教え込まれた馬鹿として死んだ」
彼女は唾を吐こうとした。だが距離がありすぎた。唾は自分の頬と台に落ちる。その屈辱が、怒りをさらに煽った。
「好きなだけ嘲ればいい、悪魔。真実は変わらない」
フョードルはさらに近づいた。
今や彼女には、全てが見える。角。翼。暗い肌。爪。ケイルの肉体。そして、もはや称号と切り離すことのできない力。
「何が可笑しいか分かるか?」
彼は尋ねた。
「お前たちは俺が怪物になると証明したいあまり、必要な道具を全部、自分から持ってきた。血。敵。玉座。肉体。恐怖。これまでな」
彼は爪を、胸に触れないぎりぎりのところで滑らせた。
女祭司は動きを止めた。
服従ではない。
嫌悪と恐怖によって。
「お前はさらに自分を穢すことになる」
「そうかもしれない」
「〈光〉は見ている」
「お前が他人の世界へ殺害命令を携えて入るところも、〈光〉は見ていた。趣味がいいとは思えないな」
「何も分かっていない」
「なら説明しろ」
彼女は笑った。
乾いた、悪意ある笑いだった。
「お前に?」
「俺にだ。お前たちが創るのを手伝った相手にな」
笑いが止まった。
「私たちは終末を防ぐために来た」
「都合のいい側から始めるために来たんだろう」
「覚醒前に殺せていれば、何千もの命が救われた」
「確信してるのか?」
「している」
「司祭がそう言ったから?」
「光の神殿が七百年にわたり予言を守ってきたからだ」
「間違いだって七百年保存できる」
「間違いではない」
「ならなぜ、お前たちが襲ってから予言が実現した?」
彼女は黙った。
「俺はお前たちの世界なんか望まなかった。魔族も、玉座も、この身体も。お前の剣士を処刑したくもなかった。今日一日、地図を前にして、善良を自称する連中が正義を確信した時、〈光〉も他人の領地を同じように汚く圧迫すると知りたくもなかった。始めたのは全部、お前たちだ」
「嘘だ」
「違う。お前には、自分が悪を目覚めさせた世界じゃなく、悪を警告していた世界が必要なだけだ」
女祭司は顔を背けた。
手首の革帯が張る。
「お前は、もう悪だ」
「便利だな。お前が何をしても、悪との戦いになる」
「そうだ」
フョードルは身を屈めた。
「あの中庭で、俺が泣いていたら? 命乞いしていたら? お前の槍兵の前に跪いていたら? 俺には〈影〉の力なんてない、お前たちの世界も知らない、権力など欲しくないと言っていたら? 術師が間違えて、俺に《刻印》がなかったら? お前は仲間を止めたか?」
彼女は沈黙した。
フョードルは待った。
長く。
やがて彼女は答えた。
「止めない」
「なぜだ?」
「未来の悪への慈悲は、未来の犠牲者への残酷だからだ」
フョードルはゆっくり息を吐いた。
内側に暗い波が立ち上がる。
怒りですらない。
もっと深い何か。魔族の何か。彼女の確信へ、裸の無力さへ、自分の新たな力へ、言葉では疑念を抱かせられないという事実へ応えるもの。
「それだ」
彼は静かに言った。
「お前たちの本当の聖句。未来。未来のためなら何でもできる。まだ何もしていない者を殺し、まだ罪を犯していない者を焼き、危険になるかもしれない者を拷問する。そして本当に危険になったときは指を差して言う。ほら、我々が正しかった、と」
女祭司は目を閉じた。
「しに来たことをしろ」
会話が終わったのだと、彼は理解した。
答えを得たからではない。
答えなどなかった。
彼女も屈しなかった。
ただ、彼自身の中で何かが動いた。
立ち去ることはできた。
牢へ戻せと命じることも。
リラやマルヴェイン、衛兵を呼ぶことも。
正しい決断を下すこともできた。
だが今日は、もう正しい決断を十分に下した。税、軍、国庫、特恵、演説、尋問。二日前に槍で腹を刺され、その後で影の君主と呼ばれた生き物には、多すぎるほどの正しい決断だった。
彼は台の縁へ手を置いた。
指の下で石がひび割れる。
女祭司は目を開いた。
そこには今や恐怖があった。
本物の恐怖。
それを見た瞬間、内なる闇が応えた。
「本当なら、あの槍兵の目を見ながら、そいつの腹を貫いてやりたかった。だがもう死んだ。報復しなければ、次の機会を待ち続けることになる。この借りは今ここで返すほうが簡単だ」
彼は、ただ無意味に残酷だったわけではない。
深い場所にはまだ一線が残っていた。強すぎる獣の手綱を歯で噛んで押さえるように、必死で守っていた。
それでも、これは罰だった。
復讐だった。
試す行為だった。
自分が恐れていた存在になる前に殺しに来た〈光〉の女祭司が、縛られて目の前に横たわったとき、君主が行ったことだった。
女祭司は初め、革帯の許す限り全身で抵抗した。
次は叫びで。
最後には、呼吸だけで。
大事な点で、彼女の身体は人間だった。傷つきやすく、彼には小さすぎ、新たな魔族の力の前ではあまりに脆い。フョードルは力ずくでそれを忘れないようにしなければならなかった。加減を強いられることへ怒りを覚え、同時にそれを、まだ完全には堕ちていない最後の証のように掴んだ。
掴む力は、十分ではなかった。
彼女が泣き出しても、安堵は訪れなかった。
内側に沈黙が生まれただけだ。
鈍く、重い沈黙。
処刑を命じた後と同じような。
フョードルが台から離れた頃には、女祭司はもう彼を呪っていなかった。動かずに横たわり、目を閉じ、途切れ途切れの息をしている。革帯は相変わらず、あまりに丁寧に彼女を固定していた。マルヴェインは本当に、偶然が入り込む余地をなくすよう全てを準備していたのだ。
血が太腿から床へゆっくり滴っていた。
フョードルは彼女を見た。
そして、石台のひびを。
権力が、可能性をどれほど素早く行為へ変えるかを。
布を取り、彼女の身体へ掛けた。
優しくはない。
ただ覆っただけだ。
それから扉を開けた。
衛兵たちが固まる。
彼は廊下へ出た。
「治療しろ」
声は平静だった。
平静すぎた。
「はい、君主様」
数歩進み、足を止めた。
振り返らずに付け加える。
「少し裂けている」
衛兵は答えなかった。
それで正しい。
彼は先へ進んだ。
廊下ではマルヴェインが待っていた。
当然のように。
扉のすぐ前ではない。捕まったように見えないだけ離れ、それでも何が起きたか分かる程度には近い。
マルヴェインが頭を下げた。
「お話はできましたか?」
フョードルは彼の前で立ち止まった。
数秒、何も言わなかった。
マルヴェインは危険だ。賢く、有能だ。そして今、石を斜面から押し落とし、どこへ転がるか見届けようとする者そのものの立ち方をしている。
「お前は俺の命令を理解しすぎた」
マルヴェインが目を上げる。
「可能な解釈の一つとして理解いたしました」
「その中から、俺を試すのに一番都合のいいものを選んだ」
「あなたを理解するためです、君主様」
フョードルは彼を見つめた。
廊下の影が濃くなる。
初めて、マルヴェインの顔から笑みが消えた。
「直接命令しない限り、二度とするな」
「はい、君主様」
「それと、俺がまさにお前の見込んだ通りのことをしたからといって、お前が俺を操ったと思うな」
マルヴェインはひどくゆっくり、さらに深く頭を下げた。
「そうは考えておりません」
フョードルはその横を通り過ぎた。
背後では、マルヴェインが薄闇の中に立ち尽くしていた。




