第10章
昼食を終える頃には、いくらか気分がよくなっていた。
新しい身体にとって食事は、ほとんど機械の修理のように働くらしい。燃料が入り、各系統が息を吹き返し、苛立ちも制御しやすくなる。彼はその間に、もう少し儀礼ばらない服へ着替え、重い外套を脱ぎ、ようやく自分が記念碑になったような感覚から解放されていた。
術師の尋問は、下層の小部屋で行うことになった。
拷問室ではない。
そこは念を押して確認した。
部屋は簡素だった。石の卓。椅子が三脚。床の防護陣。壁に二つの封印。そして扉が一つ。その向こうにはアズガルと二人の衛兵が控えている。リラは彼とともに入った。マルヴェインの同席も許したが、必要になるまでは黙っているよう命じた。
光の術師は数分後に連れてこられた。
ひどい有様だった。
壊れてはいない。ただ、疲れ果てている。両手は肌に貼りつく奇妙な黒い帯で縛られていた。神殿風の銀刺繍と防護縫いを施した濃紺の衣は肩口が裂け、埃にまみれている。胸にはまだ聖騎士団の徽章が残っていたが、今となっては力の象徴というより染みに近かった。
フョードルは改めて男を観察した。
四十を少し越えた痩せた男。背丈は並、身体は乾いている。疲れた面長の顔には、口元を囲むように深い皺が刻まれていた。乱れた栗色の髪は、こめかみですでに若白髪になりかけている。灰色の目は注意深く、神経質だった。せわしなく動くが、虚ろではない。細長い指には小さな火傷と魔術痕が点々と残り、縛られたままでも、途中で断たれた術式を編み終えようとしているかのように痙攣していた。
英雄でも、殉教者でもない。
こいつは生きたがっている。
いい。
こういう相手なら話ができる。
術師は向かいの椅子へ座らされた。
初めは卓を見つめていた。やがて目を上げる。
そして凍りついた。
彼は暗い中庭で、一人の人間を見ていた。
だが今、目の前に座っているのは影の君主だった。
角。翼。暗い肌。力の動く瞳。新たな意志によって書き換えられた顔立ち。
それでも、見間違えようはない。
術師が唾を呑んだ。
「では、予言は……」
「言葉を選べ。今日は朝から、予言にはもううんざりしてる」
術師は目を伏せた。
「尋問をなさるのですね」
「俺が欲しいのは答えだ。そこへ至るまでにどれだけ痛い思いをするかは、お前がその違いをどれだけ早く理解するかで決まる」
術師はマルヴェインを横目で見て、性急すぎるほど素早く頷いた。
「話します」
「名は」
術師が答えた。オルヴェン。
リラが記録する。
「どの聖騎士団だ?」
「聖騎士団は一つだけです。その内部の――暁環です。外部監視神殿付きの転移班」
「任務は?」
「印を持つ者を発見し、印を確認すること。可能なら捕縛し、陣を通して移送する。不可能なら、覚醒前に排除する」
「尋問と調査も?」
「はい」
「その後は処刑か?」
術師は黙った。
フョードルは静かに見つめ続けた。
やがて術師は息を吐く。
「おそらくは」
「いい。最初から正直だ。そのまま続けろ」
少しずつ全体像が組み上がっていった。
聖騎士団は、転移のあと何が起きたのかを本当に知らない。彼らの班は、小規模な裂け目を通って短期作戦に出た。主神殿との連絡が回復するのは、帰還したときか、定められた待機期限を過ぎたときだけだ。班が戻らなければ、初めは裂け目が不安定だったと考える。次に、作戦が失敗したと判断する。その後でようやく調査が始まる。
「どのくらい待つ?」
術師は乾いた唇を舐めた。
「二週間です」
「確かか?」
「初期の警戒確認なら、もっと早く始まるかもしれません。ですが本格的に動くのは、およそ二週間後です。女祭司が、私の知らない個人用の信号印を持っていたなら、もう少し早まる可能性もあります」
リラが書き留める。
「持っていたのか?」
術師は首を振った。
「見ていません。ただ、暁環の女祭司は転移術師にさえ個人用の連絡経路を隠すことがあります」
マルヴェインが初めて、穏やかに口を挟んだ。
「では聖騎士団は、彼女を通じて捕縛を知る可能性がある?」
その声に術師が身を震わせた。
「捕縛は伝わりません。状態の停止です。印があれば、死、あるいは誓約の重大な違反が伝わります。彼女が生きて、何も話していないうちは……おそらく」
「おそらく、か」
「正確には分かりません」
「嘘よりはいい」
それが褒め言葉なのか脅しなのか、術師には判断できなかったらしい。黙ることを選んだ。
続いて、聖騎士団の構造、神殿、転移方法、階級、徽章、予言の文面、〈影〉の地に存在する既知の協力拠点について尋ねた。術師は全てを知っているわけではなかった。
だが、十分ではあった。
リラは速記を続ける。
マルヴェインは時折、あまりに柔らかな調子で問いを重ね、術師が話すつもりだった以上のことを答えさせた。
フョードルは観察していた。
術師を。恐怖を。そして、情報と引き換えに呼吸を続けられると知った途端、聖なる確信が顔からいかに容易く剥がれ落ちるかを。
やがて彼は椅子の背にもたれた。
「剣士について、何か言うことは?」
術師が青ざめる。
「生きているのですか?」
「今のところは」
「彼は話しません」
「知ってる」
「彼は……死を望むはずです」
「もう望んだ」
術師は目を閉じた。
「ならば、彼は忠誠を守ります」
フョードルは長いあいだ男を見つめた。
奇妙なことに、決断は簡単だった。
簡単すぎるほどに。
昨日の彼はまだ、処刑と殺人と必要性と怒りの違いにしがみついていた。だが今日は、戴冠式を経て、地図を見て、税の話を聞き、一つの命を救うことにも代価が伴うと理解した。内側の何かが冷えていた。
剣士は死にたがっている。
死ねば、自分自身の物語を守れるからだ。怪物に捕らえられ、それでも〈光〉を裏切らず、問いには答えなかった英雄。都合がよく、清らかで、強固な物語。
その上、彼はフョードルの殺害に加わった。傷ついた自尊心に我を忘れた、槍を持った若造ではない。倒れた相手を斬りつけ、手首を踏み潰し、剣を振り上げた大人の戦士だ。
それほど処刑を望むなら、望みどおりにしてやればいい。
その考えは、震え一つ伴わずに通り過ぎた。
あまりに抵抗がないことに、彼自身が驚いた。
「アズガル」
扉はすぐに開いた。
総司令官が入ってくる。
「はい、君主様」
「剣士を処刑しろ」
術師が勢いよく顔を上げた。
リラの筆が、ほんの一瞬止まる。
マルヴェインの表情は変わらなかったが、その気配がわずかに動いた。
アズガルはただ頷いた。
「公開しますか?」
フョードルは考えた。
問題はそこだった。
公開処刑なら、合図になる。非公開なら、ただの決定だ。今はまだ〈光〉へ余計な材料を与える必要はない。宮廷にも余計な見世物は要らない。
剣士にも、舞台を与える必要はない。
「いや。見世物はなしだ。法に則って、迅速に。拷問はするな。遺体は別に決めるまで保存しろ」
アズガルが頭を下げた。
「承知しました」
術師は、聖騎士団の聖典に書かれたことが全て証明されたかのような目で、フョードルを見ていた。
その視線を捉え、フョードルは皮肉に笑う。
「そんな顔をするな。お前の仲間は俺を殺しに来た。失敗した。死を望んだ。だから与えた。欲しいものを取り上げるほうが残酷だろう? お前たちの〈光〉は、結果が俺に向かうときだけは因果応報が好きらしい。反対向きにも働くことに慣れろ」
術師はうつむいた。
「では、私は?」
「情報で命を買った」
信じられないというように、術師が息を吐く。
「自由も?」
フョードルはむしろ驚いて彼を見た。
「いや」
希望はあっという間に死んだ。
「牢へ戻せ。生かしておけ。まともな食事と水を与え、必要なら医師にも診せろ。だが、牢だ」
術師が唾を呑む。
「私は話した……」
「今日殺さずに済むだけのことはな。釈放するには足りない。お前は俺を捕らえに来た聖騎士団の転移術師だ。取引を贈り物と勘違いするな」
リラが記録した。
マルヴェインが静かに言う。
「妥当でしょう」
術師は、争うのは危険だと理解したらしい。あるいは、無駄だと。彼は連れ出された。
フョードルはリラへ顔を向ける。
「女祭司は?」
「〈光〉による裁判、祈り、清浄な水、最後の発言権、そして剣士との面会を要求しています」
「剣士はもういない」
「はい」
フョードルは考え込んだ。
女祭司とは、別に話したかった。
今ではない。今の自分は、怒りに任せて暴走するか、彼女の無力さに残酷な愉悦を覚えるか、そのどちらかになりかねない。どちらも、良い尋問にはつながらない。女祭司の信仰は、術師より深い。素早く壊すことは、おそらくできる。
だが真実を引き出すのは、もっと難しい。
しばらく座らせておけばいい。
乱暴さにできないことを、沈黙にさせる。
「あとだ。単独で話す。それまでは独房へ。術師とは接触させるな。食事、水、警備はつけろ。孤独の中で、少し漬け込んでおけ」
リラが頷く。
「期限は?」
「俺が決めるまで」
マルヴェインが柔らかく指摘した。
「孤独と信仰を一緒にすると、さまざまな結果が生まれます。時には、信仰が強まることも」
「あるいは、疑問と二人きりになる」
「暁環の女祭司がいる土壌では、疑問は育ちにくい」
「なら、どれほど石だらけの土地か見てみよう」
数分後、アズガルが戻った。
詳細は報告しなかった。
ただ、こう言った。
「執行しました」
フョードルは短く頷いた。
そして、自分の内側が何一つ震えていないことを知った。
一人の人間を処刑するよう命じ、そのまま次のことを考えられる。
権力が変えるのは、可能性だけではない。決断の重さまで変えていく。他人の死は、慣れることを自分に許せば、尋問と夕食の間に置かれた予定の一項になる。
彼はそれを心に留めた。
黙ったまま。
それから立ち上がる。
「今日の捕虜は、もう十分だ」




