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婚約破棄される予定でしたが、王太子殿下が乙女ゲームをプレイした結果、なぜか溺愛されています  作者: S@Y@


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第五十八話 救う方法


 翌日。


 王宮の応接室。


 レオンハルト、リリアーナ、セシリア、そして国王の前には、大賢者エルドが座っていた。


「事情は、すべて伺いました。」


 エルドは静かにセシリアを見つめる。


「あなた自身に、悪意はないのですね。」


「……はい。」


 セシリアは涙をこらえながら頷いた。


「私は、ゲームの結末を変えたら皆が不幸になると思っていました。」


「だから、元に戻そうとしていたのです。」


 エルドは目を閉じ、小さく頷く。


「あなたもまた、巻き込まれた被害者です。」


 その一言に、セシリアは少しだけ表情を緩めた。


「では。」


 レオンハルトが身を乗り出す。


「本当のセシリアを救う方法はあるのですか。」


「あります。」


 エルドははっきりと言った。


 全員が息を呑む。


「ただし、条件があります。」


「条件……?」


 リリアーナが尋ねる。


「魂は、自ら納得しなければ離れることはありません。」


 エルドはセシリアへ視線を向けた。


「つまり。」


「あなた自身が、元の世界へ帰ると決断する必要があります。」


 部屋が静まり返る。


 セシリアは俯いた。


「帰る……。」


 簡単なことではない。


 元の世界には家族がいる。


 友人もいる。


 けれど、この世界でも多くの人と出会った。


 リリアーナ。


 レオンハルト。


 そして、本当のセシリア。


 胸が締め付けられる。


「もし私が帰ったら……。」


 震える声で尋ねる。


「本当のセシリアは目を覚ますのですか。」


「可能性は極めて高いでしょう。」


 エルドは穏やかに答えた。


「ただし。」


「儀式には時間が必要です。」


「それまでの間は、無理に魂へ負担を掛けてはなりません。」


 レオンハルトは静かに頷いた。


「分かりました。」


 リリアーナもセシリアの隣へ歩み寄る。


「すぐに答えを出さなくていい。」


「ゆっくり考えて。」


 セシリアは唇を噛んだ。


 決断の時は、確実に近付いていた。

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