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婚約破棄される予定でしたが、王太子殿下が乙女ゲームをプレイした結果、なぜか溺愛されています  作者: S@Y@


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第五十五話 決意


 翌日。


 放課後。


 ローゼンベルク公爵家。


 レオンハルトは庭園の東屋で、静かに紅茶を口にしていた。


「考え事?」


 リリアーナが向かいへ腰を下ろす。


「ああ。」


 レオンハルトは短く答えた。


「昨日、セシリアと話した。」


「どうだった?」


「何も話さなかった。」


 リリアーナは少し残念そうに俯く。


「でも。」


 レオンハルトは続ける。


「話せなかった、の方が正しい。」


「……。」


「追い詰められているように見えた。」


 リリアーナも静かに頷いた。


 最近のセシリアは、以前より笑う回数が減っている。


 どこか怯えたような表情を浮かべることも増えた。


「やっぱり、悪い人じゃない。」


「ああ。」


 レオンハルトは迷わず答える。


「だからこそ、救いたい。」


 その言葉に、リリアーナは微笑んだ。


「レオンらしい。」


「本来なら。」


 レオンハルトは空を見上げる。


「彼女も、この世界の被害者なのかもしれない。」


 もし突然、この世界へ来てしまったのなら。


 ゲームの知識だけを頼りに行動するのも無理はない。


 リリアーナはゆっくり頷いた。


「だったら。」


「うん。」


「私たちから本当のことを話そう。」


 レオンハルトはリリアーナを見る。


「隠したままでは、何も始まらない。」


「でも、信じてもらえるかな。」


「信じなくてもいい。」


 レオンハルトは静かに微笑んだ。


「まずは、逃げ場があると伝える。」


 その一言に、リリアーナも笑顔になる。


「うん。」


「もう一人で悩まなくていいって、伝えよう。」


 二人は顔を見合わせ、小さく頷いた。


 次にセシリアと向き合う時。


 それは尋問ではない。


 救うための話し合いになる。


 二人はそう心に決めた。

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