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婚約破棄される予定でしたが、王太子殿下が乙女ゲームをプレイした結果、なぜか溺愛されています  作者: S@Y@


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第五十一話 夜の訪問者


 その日の夜。


 ローゼンベルク公爵家。


 リリアーナは自室で本を読んでいた。


 コンコン。


 控えめなノックが響く。


「どうぞ。」


 扉が開き、入ってきたのはレオンハルトだった。


「レオン?」


「少し話がある。」


 いつもより真剣な表情だった。


「何か分かったの?」


「ああ。」


 レオンハルトはソファへ腰を下ろす。


「今日の模擬戦。」


「うん。」


「セシリアは、ゲームの展開を待っていた。」


 リリアーナも同じことを感じていた。


「魔法も、ゲームと同じ順番だったよね。」


「ああ。」


「本来なら、あのあと私が勝ち、試合後に会話イベントへ入る。」


「でもレオンは最後まで攻撃しなかった。」


「わざとだ。」


 レオンハルトは即答した。


「セシリアがどう反応するか見たかった。」


「結果は?」


「明らかに戸惑っていた。」


 リリアーナは静かに頷く。


 あの表情は演技ではなかった。


「やっぱり……ゲーム通りになると思ってるんだ。」


「ああ。」


 レオンハルトは腕を組む。


「だが、一つ気になることがある。」


「何?」


「セシリアの目的だ。」


 リリアーナは首を傾げる。


「目的?」


「ゲーム通りに戻したい理由だ。」


 その言葉に、リリアーナも考え込む。


「確かに……。」


「悪意があるようには見えない。」


「うん。」


「むしろ。」


 レオンハルトは小さく息を吐く。


「ゲームを正しい未来だと信じているように見える。」


 リリアーナははっとした。


「……だから?」


「ああ。」


 レオンハルトは静かに頷く。


「私たちが未来を変えていることを、知らない。」


 その一言で、すべてが繋がった。


 ゲームしか知らない人物なら。


 今の世界は『間違った世界』に見える。


 だからシナリオを元へ戻そうとしている。


「だったら。」


 リリアーナが顔を上げる。


「まずは、この世界がもうゲームとは違うって知ってもらわなきゃ。」


「……その通りだ。」


 レオンハルトは静かに立ち上がる。


「話す時が来た。」


 その瞳には迷いがなかった。


 次にセシリアと会う時。


 レオンハルトは、すべてを確かめるつもりだった。

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