表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄される予定でしたが、王太子殿下が乙女ゲームをプレイした結果、なぜか溺愛されています  作者: S@Y@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/61

第三十七話 違和感


 高等部へ入学して、一週間。


 授業にも新しい生活にも慣れ始めた頃だった。


 昼休み。


「リリアーナ様、ご一緒してもよろしいですか?」


 セシリアが、いつものようにお弁当を持ってやってくる。


「もちろん」


 三人は中庭の木陰に腰を下ろした。


「今日のお弁当も美味しそう」


「朝、お母さんと一緒に作ったんです」


「相変わらず料理が上手だな」


 レオンハルトが言うと、セシリアは照れたように笑った。


「まだまだです」


 穏やかな昼休み。


 いつもと変わらない時間。


 ――の、はずだった。


「そういえば」


 セシリアが首を傾げる。


「昨日、不思議な夢を見たんです」


「夢?」


 リリアーナが聞き返す。


「はい」


 セシリアは困ったように笑う。


「知らない街を歩いていて……」


 リリアーナの手が止まる。


「高い建物がたくさん並んでいて、馬車じゃなくて鉄の箱みたいなものが走っていて……」


 レオンハルトも静かにセシリアを見る。


「変な夢ですよね」


 セシリアは苦笑した。


「私、あんな景色見たことないのに」


「……」


 リリアーナは何も言えなかった。


 それは。


 前世の日本にそっくりだったから。


「それだけ?」


 努めて平静を装いながら尋ねる。


「はい。それだけです」


 セシリアは首を傾げた。


「何か気になりますか?」


「ううん」


 リリアーナは笑顔を作る。


「ちょっと珍しい夢だなって思っただけ」


「ですよね」


 話題は自然と別の話へ移っていった。


 しかし。


 昼食を終えたあと。


 リリアーナはレオンハルトを人気のない廊下へ呼び出した。


「レオン」


「夢の話か」


「うん」


 二人とも、同じことを考えていた。


「あれ……」


 リリアーナは小さく息を吐く。


「日本だよね」


「ああ」


 レオンハルトの表情も険しい。


「だが、ゲームにはそんな設定はなかった」


「なかった」


 だからこそ、おかしい。


 セシリアには前世の記憶などない。


 少なくとも、ゲームでは。


「もう少し様子を見よう」


 レオンハルトは静かに言った。


「夢だけで決めつけるのは早い」


「……そうだね」


 リリアーナは頷く。


 まだ。


 この時の二人は知らなかった。


 この夢が、ただの夢ではなかったことを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ