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婚約破棄される予定でしたが、王太子殿下が乙女ゲームをプレイした結果、なぜか溺愛されています  作者: S@Y@


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第十一話 王太子の結論(レオンハルト視点)


 私は馬車の中で考えていた。


 いや。


 正確には。


 昨日からずっと考えている。


 リリアーナが見せたゲーム。


『聖なる花と七つの誓い』


 あれは間違いなく未来だった。


 信じ難い話だ。


 だが。


 私はリリアーナを信じている。


 ならば、あれもまた事実なのだろう。


「……理解できない」


 私は呟いた。


 まず。


 未来の私は愚かだ。


 なぜリリアーナとの婚約を破棄した。


 意味が分からない。


 そして。


 なぜ、あの少女を好きになった。


 もっと意味が分からない。


 確かに可愛らしい。


 だが。


 リリアーナの方が面白い。


 ……いや。


 面白いという表現は違うかもしれない。


 リリアーナといると楽しい。


 退屈しない。


 気を使わなくていい。


 王太子ではなく。


 ただのレオンハルトとして扱われる。


 そんな人間は初めてだった。


 私は窓の外を見る。


 空が見えた。


 そういえば。


 最初に会った時も。


 リリアーナは空を見ていた。


 婚約者候補のお披露目会。


 誰もが私に話しかけてきた。


 笑顔を向けてきた。


 媚びてきた。


 退屈だった。


 だから逃げた。


 そして見つけた。


 木の下で寝転がる少女を。


『何をしている』


『空見てる』


 最初は無礼だと思った。


 だが。


 少しだけ嬉しかった。


 私が王太子だからではない。


 私がレオンハルトだから話している。


 そんな気がした。


「……なるほど」


 私は一つの結論に辿り着いた。


 未来の私は。


 リリアーナを知らなかったのだ。


 きっとそうだ。


 知らないから捨てた。


 知らないから他の女を選んだ。


 だが。


 今の私は違う。


 私は知っている。


 リリアーナが。


 昼寝が好きで。


 面倒くさがりで。


 危機感がなくて。


 でも。


 優しいことを。


 知っている。


「ならば」


 私は決めた。


 未来は変える。


 絶対に。


 ゲーム通りにはしない。


 リリアーナを追放などしない。


 婚約破棄もしない。


 そして。


「私は」


 誰も聞いていない馬車の中で。


 私は小さく呟いた。


「リリアーナを、誰にも渡さない」


 その時の私は。


 まだ知らなかった。


 この決意が。


 十年以上先まで続くことになるとは。

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