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田舎者のエルフは冒険者ギルドに就職します!  作者: 片海 鏡


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第30話 単身は危険だから、待機だ

 ドライアドが母の木から種として産まれる様に、ゴーレムにも産まれる場所がある。

 それが、〈ゴーレムの揺り籠 〉

 地下深くに形成される魔力が溜まり場だ。おそらく、ドライアドさん達がこの森を住処にしようと決めたのは、この魔力に無意識に惹かれたからだろう。

 溜まり場の中でゴーレムの核となる石が作られ、一定の大きさに成長すると地上に現れるとされる。一定数のゴーレムを排出すると揺り籠は無くなるらしいが、何百、何千年単位の観測が必要なので、エルフでも解明しきれていない。また、揺り籠の発生条件も分かっていないので、発見が難しい。見つける術はあるらしいが、力不足の俺は妖精頼りだ。


〈ムリヤリマリョク、スイアゲテイル。ゴーレムノイノチ、スイアゲテイル〉

〈モリ、オカシクモドッタ〉


 ゴーレムの揺り籠が、何らかの方法で掘り当てられた。

 そして、森が一瞬で戻ったのは、その穴から溢れた膨大な魔力による余波か……

 もしかすると、スライムの大量発生が長期化しているのも、これが原因か?

 何にしても、この状況は危険すぎる。

 無理やり穴を開け、魔力を放出しているせいで揺り籠が不安定になっている。今はまだ森が還元先になって踏み止まっているが、時間の問題だ。均衡が崩れれば、膨大な魔力は渦を巻き、逃げ場を求めて穴に集まり、圧力で大爆発を起こすぞ。

 俺の魔術も、このままでは安易に使えないな。

 何かの拍子に揺り籠の魔力が魔術や魔方陣に反応してしまったら、術式が暴走し、こちらも大爆発が発生しかねない。この山の頂上がギリギリってところか。俺も危なかった。今後は気を付けよう。


〈下の状況。教えて。悪い奴、何人いる?〉

〈アシナガ、4ニンズットイル〉

〈オトコ、オンナ、オトコ、オトコ〉


 人数だけなら冒険者パーティだな。

 ……違法者の線もあるのかぁ。


 名誉や財、目先の利益ばかり求めて破壊行為を行うカス野郎。

 例えば、重要な遺跡の地下には財宝が眠っているとする。違法者は、遺跡の歴史的な価値や周囲の環境を無視して建物を破壊し、地下を漁り尽くす。知識が足りないから棺桶があれば遺体を放り出して装飾品を盗み、石像に埋め込まれていた宝石を抉り取り、書物を燃やし、石板を割ってしまうんだ。

 奴らは、冒険者を隠れ蓑にする盗賊や略奪者だ。

 冒険者ギルド協会には、冒険者に対する規則が設けられ、環境や文明遺産の破壊、魔物の過剰な討伐、捕獲や売買等の禁止行為が定められている。

 違反した者は、冒険者ギルドより派遣される執行者によって、人知れず処罰が下されるらしい。

 仮にそうだとしても、相手の目的は何だ?


〈ゴーレム。これまで産まれている?〉

〈イイエ。マダ〉

〈モウスグウマレル、ハズダッタ。デラレナイ〉


 相手は無理やり揺り籠から出したゴーレムを討伐して、荒稼ぎしようとしている。そんな風に考えてみたが、ノームの発言からして違うようだな。


〈ハヤク、アシナガ、ツカマエロ〉

〈タイカ。タイカ。テツダウ。アレヲ、モリカラツイホウ〉

〈仲間、来てから動く。少し待ってくれ〉


 ノームの焦りようを見るに、地下は相当危険な状態の様だ。更なる増援を呼ぶために一旦退却したいが、その前に大爆発が起きてしまう可能性がある。


「キミ、ゼルレオスさんに報せられる?」


 俺は肩の上でじっとしている蝙蝠に声を掛ける。

 答える様に〈キキッ、キキ〉と鳴いてくれた。全く魔力の動きを感じないが、届いていると信じるしかないな。


〈俺の準備する〉


 ノームとドライアドさんそれぞれに伝え、皆を待つ間に俺は自分へ魔術を掛ける。

 主に肉体強化。治癒系の魔術も使える様に、身体に仕込んでおこう。可能な限り魔力を体内に留め、循環させる。


「ぐあ!?」

 カインの声と重いものが落ちる音が背後からして、察した。


「いってぇ……」

「大丈夫か?」

「あぁ、なんとか」


 後ろを振り返りつつ、俺は声を掛ける。

 俺とププの時と同じように、ミミの急停止で勢い余って地面に落ちていた。


「チャチャさん達は、もう少しで到着する」

「来たぞ」

「うわぁ!?」


 カインは飛び上がる様に横へ移動する。あいつが起き上がる時に、メディギスさんは到着していたんだよな。筋肉質だとは前から思っていたけれど、すごい脚力だ。息切れは一切していないし、相当な体力の持ち主だな。


「……その地面で這ってる変な生き物は何だよ」

「精霊のノームだ」


 俺はカインの問いに答えつつ、ドライアドさんとノームたちに、2人が仲間だと伝えた。


「ノーム……はじめて見た」

 素直に驚いてる様子だ。足長族はエルフやノーム(人間種)に比べて、精霊や妖精と交流する人はごく少数だから、驚くのも無理ないか。


「彼等から山の下の森について聞いた。かなり危険な状態なんだ。出来る事なら、俺達で早急に解決したい」

 俺は2人にノームから聞いた話と違法者の可能性について話した。


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