第2話 ギルドの求人を発見
それから一週間が過ぎた。その間、思う存分昼寝したり、好きなようにのんびりと過ごした。曲がってしまった杖の修理には、色々と問題があるので、追々に。
その間の稼ぎは、前から屋根裏に住まわせてもらっている魔術道具屋での手伝い。でも、お世話になりっぱなしも良くないし、動こうと思う。
まずは冒険者ギルドへ行くか。
身支度を済ませ、魔術道具屋の店長に出かける事を伝えて、歩き出す。
俺の住む街レファースは、いつも賑わっている。なにせ、街の周囲にはダンジョンが4つも存在し、そこから溢れる魔力の影響か地上は緑豊かで、魔物が数多く生息している。危険だが資源の宝庫でもあり、魔物の素材や希少な鉱石を買う為に冒険者だけでなく、商品の買い付けや彼ら相手の商人もやって来る。
この町の発展に、ダンジョンは大きな貢献をしている。
露店商を眺めて回りながら歩いていると、俺は大きな賑わいを見せるギルドハウスへと辿り着いた。
町の産業の中心地。三階建てのギルドハウスは、目を惹く程にどの建物よりも規模がでかい。一階はクエストカウンターと酒場兼食堂、二階と三階は宿泊施設になっている。さらに一階の渡り廊下を進めば別館である魔物解体所と鑑定屋、武器防具屋、道具屋、さらに診療所に行ける。魔術道具屋だけないのは、魔術書などが何かの拍子に発動する危険性があるからだ。
冒険者のほとんどがここで用事を済ませて、野外クエストに行ったり、ダンジョンへ潜る。
「……よし」
恐る恐る入り、物陰から酒場を注意深く見渡したが、あの4人は何処にもいない。
邪魔者がいないと分かり、俺は早速クエスト掲示板に向かう。
「薬草採取……薬草……」
クエスト掲示板は3つも壁に並んでいる。討伐、採取、それと商人の護衛や荷物の運搬とに分野ごとに掲示されている。クエストは最低が星1、最高が星5の難易度。冒険者ライセンスのランクも同じ表記で、星1のやつが星4のクエストを受ける事は出来ない。
冒険者協会が設立し、この制度が出来るまで、無謀な初心者が深層まで潜ろうとして、ダンジョンでは年間何千、何百と死者が出たらしい。今でもそういう馬鹿はいるけど、相当マシになったと聞く。
俺のランクは星3。ちょっと前にランク昇格試験に合格したばかりだ。実力は、ある方だ。でも、詠唱に集中するために防御が手薄な魔術師だ。ダンジョンへは向けない。今は誰かとパーティを組みたくないし、地上の採取と軽い討伐で食いつなぐ予定でいる。
「ん?」
クエスト掲示板の横には、町の求人の掲示板がある。
負傷や高齢になり引退する冒険者の斡旋の為だろう。いつもはパーティで来てたらか、見る機会が無かった。
改めて考えると、冒険者以外の道もあるよな。とりあえず覗いてみよう。
「あれ、冒険者ギルドの職員募集……」
なになに……欠員が生じたので、新しく職員を募集します、か。
パートやアルバイトの様な短い時間の勤務から……おっ正職員制度もある。
業務内容は事務、鑑定、解体のいずれか。鑑定は経験者優先だが、強い希望があれば未経験者も可。
どの部署に行くにも、読み書きと計算が必須だな。
休みや労働時間に関しては、基本となるものはあるがケースバイケース。魔物の大量発生や街の近辺に大型のドラゴンが飛来する、なんて非常事態が発生したら、休み所ではない。これは仕方がない。
正社員の給料は……金貨30枚!? 見習いでも金貨17枚!?
17枚って、た、確か星4クエストの平均報酬額だよな?
町役場の職員でも、こんなにするか? 破格過ぎるだろ……
いや、数字だけで判断しては駄目だ。この街はダンジョン4つもあるし、ここに来るクエストは看板三つあっても足りない位の量だって噂に聞く。仕事が山盛りな筈。激務な分、給料も多い。
でも、安定しているのは確実だし……ん?
寮制度に、資格取得援助、怪我や病気の治療の補助金、災害補償、出産の祝い金、産休育休制度、種族別定年退職金などの保証だけじゃなく、ギルドハウスに併設されてる食堂の食事が無料……!
はぁ!? 冒険ギルドって、ここまでやってんの!? 会社詳しくないけど、見るからに手厚い!!
エルフだ何だと、パーティでこき使われる位なら、こっちの方が断然良い!
こ、これは応募しない手はない!!
よし! 善は急げ!




