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猫の報せ
10年連れ添った猫がいた。
出会いは、中学生。
貧乏な家に生まれた私は、初めてのわがままを言ってかってもらった。
本物の姉妹のようだと言われるくらい溺愛した。
そのくらいずっと一緒に過ごしてきたから、ほとんど私の一部だった。
これからもずっと一緒だと思っていた。
高校を卒業して働いていた私にとって、唯一の癒しだった。
働いて、帰ったら二人で戯れて寝る。
何もない、それでも幸せだった。
ある朝、ベットの上で動かなくなっていた。
冷たくなった体を、泣きながら必死に温めたのを覚えている。
人間とは恐ろしいものだ。
あんなに絶望していた私も、5年も経てば何事もなかったかのように生きることができていた。
10年が過ぎようとしていたある時、ふと二人で過ごした時の夢を見た。
「久しぶりに泣いたなぁ。」
少し腫らした目で駅に向かう。
目の端に、白い影が見えた。
そんなわけは無い。
それでも、私があの子を見間違えるはずはなかった。
気がつくと走り出していた。
路地裏。行き止まり。
そこには、一輪のカスミソウが咲いていた。
――あの子が好きだったな…。
後で知った話だが、私が乗ろうとしていた電車は事故を、起こしたそうだ。
「ありがとう”カスミ”」
注記
カスミソウは猫にとって有害です。




