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窓
突然だが私はマンションの五階に住んでいる。
ベランダは付いていない。
一人暮らしだった。
その日は一段と冷え込んでいた。
単純に気温も低かったが、今考えれば私の部屋は冷えすぎていたと思う。
いつもの通り、物音ひとつしない静かな家。
だが、ベランダを無くすくらいのマンションで周囲の音が聞こえないことがあるだろうか?
突如沸き上がった小さな疑問は、徐々に心を蝕んだ。
誰もいないはずの部屋に、誰かの気配を幻覚するほどに。
恐ろしくなった私は、急いで寝る準備を始めた。
「きっと疲れているだけだ。」
そう言い聞かせた。
実際、今夜は長めの残業で会社で手早く夕飯を済ませたくらいだ。
ゴトッ
ビクッ!!
突然の物音に体が跳ねる。
「なんだ、食器が倒れただけか…。」
シンクの脇、洗った食器を乾かすラックで食器が倒れたのだ。
そう、洗った食器。
「――ッッ!?」
瞬間、全身に怖気がはしった。
「今夜は…会社で食べてきたじゃないか……。」
警察に連絡するべきか?
いや、きっと取り合ってもらえないだろう。
そして、恐怖に身を震わせながらもう一つ気づいてしまった。
いつも閉めっぱなしのカーテンが開いていた。
そこには、
――二つの、黒い光が、こちらを視ていた。




