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人形館
「課長、お疲れ様です!」
「あぁ、お疲れ様。」
元気に挨拶して帰って行ったのは今年の新人。
明るくて仕事もできるいいやつだ。
「俺もそろそろ帰ろうかな。」
ここ数日残業続きであまり家に帰れていない。
きっと妻も心配しているだろうからな。
「そうだ、今日はプリンでも買っていこう。喜ぶぞー!」
そんなこんなで我が家に到着した。
5年前に妻と二人で、ちょっと無理をして買った家だ。
玄関灯の揺れる明かりが、周囲を照らしている。
扉を開けると、慣れ親しんだお香の香りに包まれた。
「帰ったぞー」
声をかけながらリビングに入って電気を付ける。
「今日はプリン買ってきたんだ。好きだろう?これ。」
そう言いながらテーブルに並べる。
妻は、にこにこしてその様子を眺めていた。
ところで、我が妻は美しい。
若い頃は、一緒に歩いていてもナンパされるくらいには美しかった。
年をとってもその美貌は衰える事を知らず、”美魔女”なんて言われていたりもした。
そんな美しい彼女が私は大好きだった。
だから。
「あぁ…。また落ちてしまったじゃないか。」
そうつぶやいて、落ちてしまった目玉を拾った。
「ずいぶん手を尽くしたけど、どんどん腐っていく…もう、無理なのか…?アヤメ…。」




