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蟲
暗い、暗い。
暗黒だけが、私の全てだった。
衝動のままに"手"に感じるものを貪って。
それが全てだった。
ある時、光を知った。
強い衝動は常に私を駆り立てたが、初めて"意思"をもって動いた気がした。
貪り続けた恩恵か、知識は本能に刷り込まれていた。
その知覚は、記憶の参照を可能にした。
知るはずもない"音の記号"も簡単に理解した。
衝動が、ほかの個体との接触を望んでいた。
しかし、それよりも強烈な、"好奇心"と呼ぶらしい感情が、私を駆り立てた。
長い時が過ぎた。
獲得した意識下で私は"幸福"と呼ばれる活動を行っていた。
暗黒が全てだったあの頃が、夢だったのではないかと、そう思うほど、光で満ちていた。
衝動はその回数を減らし、私はその分自由を許された。
着実に、その時が近づいていた。
そうして、幾ばくか時がたち。
私以外の個体が死滅した。
暗黒が全てだったあの頃を思い出した。
皆、同じだった。
私は"ニンゲン"などでは、決してなかった。




