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第44話 階段の朝

いつもと変わらない、

でもいつもではない朝。

とりあえず雨予報でないのは助かった。

雨の中の強行軍というのは、思い出になってもそれ以上のメリットはない。

スタートは正午だが、落ち着かないのか早く目が覚めた。

意味もなく、持ち物をもう一度確認する。

指差呼称までしているあたり、どうやら緊張しているらしい。

それでも、不思議とさっきより落ち着いている。

身体のスイッチが入ったのかもしれない。

窓を開ける。

朝の空気は、思ったより普通だった。


玄関を出ると、階段のところに方子がいた。

『あ、おはようございます』

「早いな」

『スタート正午ですよね?』

「落ち着かなくてな」

方子は少し笑った。

『子供の遠足ごたですね』

『完歩、無理しないでくださいね』

「無理しなきゃ無理だろ」

『そういう意味やなくて…』

「分かってる」

『途中で辞めても、誰も怒りませんよ』

「お前は怒りそうだけどな」

『……怒ります。私のとこまで来たら許しちゃあ』

「そりゃ頑張らんばな」

『真似せんで』

「まるで“彼女”みたいだな」

『そっちこそ、“彼氏”みたいなこと言わないでください』

方子は階段に残ったままだった。

俺はそのまま歩き出した。


町はまだ静かだった。

同じ方向へ歩く人が、少しずつ増えていく。

リュックを背負った人。

トレッキングポールを持った人。

目が合うと、軽く会釈をする。

たぶん、みんな同じ場所へ向かっている。

同じ方向へ歩く人の歩幅が、少しずつ揃っていく。

角を曲がると、人の気配が一気に増えた。

どうやら、ここがスタート会場らしい。

ここから先は、歩くしかない。

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