表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/65

第29話 仮の兄妹

「お兄ちゃん⋯」

昨夜の声が、妙に鮮明に残っている。

独りっ子だし、誰かにそう呼ばれた記憶もない。 現場でも年功序列は曖昧で、俺はどちらかと言えば後輩寄りだ。

それなのに——

あの呼び方は、不思議と収まりがよかった。

今日は日曜。現場もないし、偶然顔を合わせることもない。

だが、気になっているのはそこじゃない。

結局、肝心な話は聞けていない。

どう切り出すべきか考えあぐねていた時、スマホが震えた。

『昨日の呼び方憶えていますか?あなたが名前を呼んだ時——少しだけ、はっきりしました。あなた、無意識で“守る側”に入りますよね。まるで、あなたの中にもう一人“兄”がいるみたいでした。』

『もし、あなたの違和感が“役割の問題”なら、逆の役をやってみれば分かるかもしれません。そこで提案があります。』

提案、という言い方が妙に仕事じみている。

『仮説の検証をしませんか?』

『あの時のあなたは、迷いが少なかったです。少し乱暴で、でも楽しそうで。』

それなら、意図的に俺を“兄”、澪さんを“妹”のポジションに固定して、判断や結果にどう影響するかを検証する“実験”がしたいとの事。

それで少しでも違和感の原因がわかるのなら、やってみる価値はありそうだと思い承諾した。

詳細はいくつかの条件パターンを用意するから、その中で無理のないものを選ぶそうだ。

最近まで、現場近くの人だった澪さんが仮とはいえ“妹”なんて、おかしな事になったものだ。

——面白がっている気配が、胸の奥でわずかに動いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ