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【バアルの零落物語】  作者: 壱千羽
幽鬼揺々参道通行
25/28

【24話】幽鬼揺々参道通行Ⅺ



どうしても出したかったキャラが居たので出しました、



 


 百鬼夜行・その当日


 場所は、兵庫



 暗がりに浮かぶ化け提灯と不知火。


 幽鬼達が揺々と参道、その道を通い行く。




 幽鬼揺々(ゆうきゆらゆら)参道通行(さんどうとうゆ)




 *



「凄いねぇ、実物で見るのは始めてだね」


「……ベルゼブブ様それ嘘でしょう?」


「あ、バレた?でも此の世界で見るの始めては本当だよ?」



 困ったお方ですねとタルキマチェはベルゼブブに云った。


 然しベルゼブブの言っていることは最もだ。百鬼夜行、化け物集団の行動を一目しないで地上の王、神々の王は務まらない。


 私のくすんだ瞳に映る無数の光。


 緑の香りは好きだ。夜の月光に照らされた小道を歩き少し冷たい微風に当たるのも好きだった。

 故にこうして緑の中に囲まれて居るのは雨に当たるのと同じぐらい至福である。地獄だとこうは行かない。



 百鬼夜行は兵庫のとある山中によって開催された。


 それを今私たちは最終確認として木々の間から眺めている最中だ。

 瓢がやったほうがいいとも言ったが、僕も参加するので、とごもっともな回答が帰ってきたので言われた通りにする。


 山中には夜に肝試しに来る学生。携帯…? の前で踊ってる女子。麓には会社帰りのリーマン数名。


 数名、十名前後の人物に視認されれば御の字だ。目的は噂の拡散。少なすぎると信じられず多すぎても集団幻覚やら何やら言われる、携帯には確か録画っていう場の状況を保管して後から見返せる機能があった。


 それにいい感じに写って後から見返してSNS…? ソーシャル・ネットワーク? よくわからないけどその辺りに拡散されれば噂の拡散も早くなると瓢は言っていた



 *



「逆になんで貴方此の時代生きててスマホと動画、後SNSに触れずに生きてられたんですか。地獄そんなに文明進んでないんですか」



 *



 みたいな心配をされたが、確かに近年の人間の科学文明を築き上げた成果には目を見張るものがある。


 でも勘違いをしないでいてほしいのが私だってスマートフォンぐらい知っている。

 只どうしても物理的には使えないので地獄に普及して私以外の全員が先端技術使うのが許せないとかそんなんじゃなくて、私でもギリ黒電話使えるからであって



「あ、酒呑童子。矢張り従順ですね」


「あの二人が胸を張って服従は完了した、と云ったんだ。実際その術式は完璧だし文句の付けようもないほどにね」


「ベルゼブブ様がそういうのであればそうなのでしょうね」



 一人謎に納得したように頷くタルキマチェを知らんぷりしベルゼブブは問い掛けた。



「アガリアレプトとサタナキアは?」


「あの二名なら酒呑童子の一見の後早々地獄の門から帰りましたよ。どうやら【穢れ】の貯蔵が底をつきかけてたんですって」


「だね。二人、特にサタナキアには能力酷使させちゃったから仕方ないか。でも此の世界の地獄の門って古代ローマの…あれ、コロッセオ辺りじゃなかった? 貯蔵とかは、」



 ベルゼブブは必死に記憶を呼び起こした。


 地獄の門は一度その場に顕現してしまえば繋がる先は変更できない。実際、時空と時空を繋げる事自体普通はかなり難しいことなのだ。だがそれくらい私にだって出来る。


 そして此の世界の地獄の門【入り口】はコロッセオ辺り…時間的にたどり着く頃には底尽きてても不思議じゃないんだが。



「大丈夫でしょう、だってサタナキアが"適当に富豪の人間の女の子引っ掛けてプライベートジェットとか乗せてもらう予定、何処に行けばそれ出来るかとはアガリなら余裕で判っちゃうし!"……との事です。」


「凄いなぁ…何気にあの二人。サタン様の部下だし其れはそうなんだけど…というか思ったより貯蔵あるじゃん二人共」



 幽鬼たちの百鬼夜行。

 様々な妖怪がいる気配がする。


 天狗、轆轤首、唐傘お化け、一つ目小僧、河童、狐と云った絵巻物に描かれているような妖怪達。

 そして酒呑童子の肩に乗る妖怪総大将ぬらりひょんの瓢。



「瓢殿使いこなしている様だね。彼も彼なりに何時かの自体に備えて陰陽道に通じていた様だし」


「生かすも殺すも今や彼の手中、私達の入る余地はもうなさそうですね。」


「ああ、サタン様から云われた事も全部達成。任務(ミッション)完了(コンプリート)最後に皆に挨拶して帰ろマチェ君」


「承知致しました。」



 百鬼夜行


 多くの妖怪がひしめく現代には似合わない夜行の幕引きは妖怪達の行列を前にひっそりとした形で終わりを告げた。



 *



 最初の時、瓢と話し合った鹿威しの音が聞こえ灯籠の光は無く逆に太陽の光に辺りは包まれている。


 ベルゼブブは居心地の悪さを感じつつ正座をし斜め後ろにはタルキマチェが座する。

 そして眼の前には瓢。横には外野として安倍晴明公と役小角。



「今回は誠に…ええ、感謝してもし尽くせません。勿論皆様方の協力あっての事です。それに他にも色々……」



 瓢は少し視線をそらしつつ感謝の意を伝えた。



「では私らこの辺で御暇させてもらいますね」


「もう行かれてしまうのですか?ベルゼブブ殿」


「そろそろ地獄に帰らないと貯蔵が、まあそう言うことですので」



 ベルゼブブは立ち上がり其れを確認してタルキマチェも立ち上がった。

 瓢は少し悩みまあそういう人たちだよね納得し微笑んだ。



「迎えの者は…要らないですよね、」


「まあね」



 立ち上がったベルゼブブは少しずつ歩を進めそれに対応するようにタルキマチェも歩を進めた。


 ベルゼブブが晴明公と役氏の間を通りかかる時、ハッと何かを思い出したように晴明公がベルゼブブに声を掛けた。



「そうだベルゼブブ殿君に一目会いたいと道満が云っててね、今屋敷の前に居るみたい」


「……うーん蘆屋道満か」



 隣りに居たマチェ君が、失礼そうな輩なら直ちに処分致しますがと物騒な事を云っていたので取り敢えず止めた。



「物騒じゃの…」


「まあまあ只の構ってちゃんだから良い感じに対応してあげてよ」



 *



 屋敷前、いかにもな感じで仁王立ちする蘆屋道満の姿。

 黒の髪に緑の瞳、晴明公とは対比になる色合いの服を着用している。



「おい、御前魔王ベルゼブブだな」



 おっと危ないあまりにベルゼブブ様に対しての失礼な扱い、間違って手が出そうになりました。


 然し相手を見極めなければいけませんよタルキマチェ、幾らベルゼブブ様に対して失礼な対応を取ろうとも此の陰陽師の実力は安倍晴明公にも並ぶ…相手を間違ってはいけませんよ、あでも殺意は全然ありますが



「うん、まあ確かに私がベルゼブブだけど…」


「そうか、ならいい」



 明らかに上から目線ですね此の人


 そうは思いつつも対応し決断を下されるのはベルゼブブ様の方、私個人は何も口出ししません。



「御前酒呑童子討伐の際に何もしなかったらしいな、」


「え? ああ確かにそうだけど、一寸話広まるの早くない?」


「此の情報自体は安倍の口から聞いたからそこは一旦置いとけ」



 明らかに一旦置いておける情報じゃありませんがベルゼブブ様が深く関わるのを放棄したので私もそれに従う事とします。



「…君は晴明公のこと嫌いだと思ってたよ、普通に話せる仲なんだね」


「あ?気色悪い勘違いするんじゃねえ安倍から勝手に云ってきただけだ、兎に角」



 蘆屋道満はベルゼブブとの間合いを一気に詰めた。



「そこまで強い奴が観覧に回ってた理由が知りたいだけだ、」


「その為にここまで来たのか、若人は元気だね」



 ベルゼブブはからかう様に笑う。


 其れは年長者の余裕か、ベルゼブブ自身から見れば全ての人間に妖怪は等しく年下だ。



「理由? そんなの私が戦闘に参加しちゃえば速攻で戦闘が終わるから、其れだけだよ。君も莫迦じゃないんだから分かるでしょ? 今回の戦は直ぐに終らしちゃいけないものだって」


「……確かに御前の実力なら酒呑童子程度は赤子の手をひねるように簡単に殺れるんだろうな。一見すれば無害に見えるがそんな誤魔化し程度じゃ俺は騙せないぞ」


「だね〜、割と隠してるつもりなんだけどな。最近は敏いのが多いねどうも」



 ベルゼブブは困ったように首を掻いた。


 と云うかそろそろ此の小僧に対する殺意が極限までいきそうなんですけど。無礼すぎるぞ此の餓鬼。

 取り敢えずそろそろ時間だとベルゼブブ様を急かす。



「という事なので私そろそろ帰るから」



 ベルゼブブは道満を置いて去ろうと背を向ける。


 足でニ回地面を叩き足元に魔法陣を出現させた。

 タルキマチェはベルゼブブの出現させた魔法陣の内に入り込んだ。



「あっそうだ最後に、」



 道満は何かを思い出すた様にベルゼブブに語りかける。



「御前は零落した元神と聞いた。御前が過去に戦ったやつで一番強かったのは誰だ?」


「そんなの聞いてどうするの?」


「単純な疑問だ、神レベルになると俺の目指している舞台(ステージ)との違いについての素朴な疑問だ」


「ふむ、」



 ベルゼブブは考える。

 だが答えはすぐに出た。



「やっぱり【赤い竜】かな、説明する時間はないからあとは自分で調べ給え。それでは」



 魔法陣が光りに包まれ二人は其の場から姿を消す。




 一人残されたるは道満。



「【赤い竜】…確かヨハネの黙示録に記されている怪物だったはず」



 独り言は宙を漂い続ける



「だが【赤い竜】と戦ったの名前持ち(ネームド)は伝承じゃ大天使ミカエルだけじゃ…?」






〜小噺の小噺~



酒呑童子討伐後、宿にいる理由もなくなった晴明公は自宅へ帰していた。


「はぁ、流石に酒呑童子の服従は二人がかりでも疲れた」


晴明公は肩を落とし自宅の戸を開けた。

眼の前には道満が一人。


「おや、道満居たのかい」


「あ?御前んとこの呪物に用があっただけだ、もう帰る」


「いやいや少し待ち給え。ほら、茶菓子あるよ茶菓子」


又始まった、道満はそう思った。

この安倍晴明とかいう奴、普段から家で一人日向ぼっこしかすることがなく年中暇なのか家に来た客人を即座に返すということをしない。何が何でも足止めして家に居させる。


要するに重度の構ってちゃんだ。


そうだ、


「なあおい安倍、御前酒呑童子を従わせたんだってな」


「え?ああうん、そうだね。」


「従わせる時どんな感じだった?」


安倍が云うのを渋った。


だが長年安倍晴明公に勝負を挑み破れ人間の中では一番関わりがある道満は晴明公の性格を晴明公が思っている以上に熟知していた。


「…、云えねえんなら要はなくなった俺は帰る」


「あ、一寸待って道満」


背を向け戸を正面に構えた道満はしてやったりという顔を浮かべた。


「何だ?云えねえんだろじゃあここにとどまる意味はない、帰る、合理的だ」


「あっ判った判ったよ!」


そら来た。

コイツは俺を引き止めるためなら情報を漏らすくらいする。


リスクとリターンが俺的には見合っていない気もしたが彼奴的には見合っての事なんだろうと思った。


「従わせたのは私一人だけじゃなくて役小角との二人で」


「ほーそれでそれで?」


「え?いやぁ、此れ以上は…」


「云わなきゃ俺帰るぞ」


「あっ判った判ったから!」





「みたいな感じで聞けば行けるぞ」


「晴明公のほうが構ってちゃんじゃんか」


ベルゼブブは道満に向かって言い放った。


「面倒くさい性格してるなぁ二人共」



〜小噺の小噺【終】〜



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