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【バアルの零落物語】  作者: 壱千羽
幽鬼揺々参道通行
17/29

【16話】幽鬼揺々参道通行Ⅲ



21時頃に投稿しようと思ってたとにすっかり忘れてました



 


 妖怪の里の奥の更に奥の其の又奥のずっと奥。もはや妖怪の里と銘打てるか怪しい程に其の場は遠く存在していた。


 場所の名は大江山


 かの有名な鬼、酒呑童子の根城である。

 そして其の場に封印されし鬼が今―――――



 ――――目覚めようとしていた



 *



「やっぱり此の百鬼夜行の面々、花形が無い」



 そうベルゼブブが断言した。

 工房帰りの妖怪の里の中心に或る屋敷。如何やら瓢が所持している屋敷らしく皆で上がらせてもらい仲良く今後の方針だてだ。


 ウガリット神話、カナン神話とも呼ばれる神話自体はギリシア神話、エジプト神話、日本神話に比べれば知名度は低い。

 だが今現在神々が己の名を轟かせれる手段は何も神話や書籍だけではない。


 電子遊戯(ゲーム)等の娯楽だ。主にフェニックスは死んで甦るという部分がさも衝撃的(インパクト)で重宝され知名度は格段に上がる等と云う前例もある。


 モト、ヤム、ヤハウェ(エル)。全てウガリット神話の登場人物であるが正直皆々はバアルよりも知名度が有ると云える。

 加え本作の主人公で在りウガリット神話の主人公であるバアルははっきり申せば零落後の姿の一つベルゼブブには知名度は完全に劣る。

 バアルは大変に其れが解せなかった、その経験からわかるバアル基ベルゼブブの経験を織り込ませた策



「先ず百鬼夜行の花形、字にも組み込まれている通り【鬼】が何体か欲しい。人間の枯れ果てたお花畑な脳内でもザ・鬼と判別出来る様な、そう肥溜めの底の底に居る塵に這い寄る蛆虫の様な我々には理解できない様な頭脳を持つ人間でも理解出来る様な…」



「ベルゼブブ殿は人間の事に対すると凄い毒舌ですね……」


「瓢さん…此れがうちの地獄の支配者ベルゼブブの旦那ッすよ…慣れて頂くしかありません…本当、」



 本当大変だねと瓢はアガリアレプトに返す。


 アガリアレプトが苦笑いを浮かべ頬を掻く。

 ですが、とアガリアレプトは話を切り出した。



「此の人は大勢を率いる事に関しては類を見ない様な才を持っている事は確か、積み重ねてきた経験と実力は折り紙付き。其処だけは信用していいと俺は思いますよ」



 信頼じゃない、只在るのは信用だ。実績と持っている力を知っているから。其れを知っているから。其れだけでいいのだ。



「一番無条件で従わせる事の出来る鬼は役小角君が使役する前鬼と後鬼の筈だ。でも見た目の鬼感は他の鬼の方が適正が有るかもね、彼達はどちらかと云うと人間側の見た目だ。」



 ベルゼブブが役小角を見る。

 薄い紫の髪を弄り白眼を細めベルゼブブの意図を汲み取る。少しばかりして理解したのか顎を引いた。


 色の抑えた山伏の服装の懐から二つの札を取り出し念を込める動作をして呪文を唱える。



「【急急如(きゅうきゅうにょ)律令(りつれい)】」



 急急如律令。要約で律令に従って速やかに実行せよ

 陰陽道等では九字護身に並ぶ主流(ポピュラー)な呪文の一つである。


 札が宙に並び光を放つ。役氏(えんうじ)は念を込めるのを止めず目を細め先を、札を睨む。

 何時しか札は変化を始め人の形を作っている。おおーと感嘆の声を上げるフルーレティとサタナキア。


 一つは男の鬼。青髪に一本の凛々しい角が額から生え斧を携帯する。

 一つは女の鬼。赤髪に二本の美しい角が頭上から生え刀を携帯する。


 二人の鬼は役氏の後ろに付き従えるように佇む。



「わしが付き従えとる鬼じゃ。男の方は前鬼(ぜんき)、女の方は後鬼(ごき)。人喰いを辞めてからは確かに線が細くなった気がするの」



 役小角の鬼神伝説。

 時代は飛鳥。


 人を喰う鬼の話が在った。修行中の身であった役小角は自らの力を持ってして鬼の二名を従えた。


 従え指す方法には様々な伝承がある。

 曰く力で従えさせた

 曰く人を喰わず(あわ)を喰う様説得させた。


 だが一概に云えるのは伝説上でも人間の不倶戴天の敵である鬼を従えた一人で在り安倍晴明公でも遣って遣れなかった偉業であるという事だ。

 尚鬼を従えたという伝説を持っている者は藤原千方と云う豪族、金鬼風鬼水鬼最後は怨形鬼。此の四体を操り朝鮮から来た軍を追い返したと云われる。然し最終的には主人の元を離れている。



「鬼ならば他に有名なんが居るじゃろ。茨城童子、天邪鬼、羅生門鬼、羅刹鬼、温羅(うら)、最近知名度の上がった両面宿儺に人間から鬼へと変貌した橋姫」



 指を動かし知名度が高い鬼の名前を挙げていく。一番に知名度のある名前を挙げないのは態とであろう。誰もが其れを知っているから。



「其れに、大江山に封印されている酒呑童子……かの」



 役氏は微笑みベルゼブブも役氏が発する雰囲気に釣られ微笑む。

 和やかな空気が漂う場に申し訳なさそうに瓢が声を上げた。



「あのぉ……鬼妖怪の事なのですが…」



 手を挙げ視線を四方八方に送りつつ話始めた。



「鬼妖怪は比較的に里では無く己の拠点を持っているのです。里に居住している鬼妖怪と云えば百々目鬼(どどめき)に羅刹鬼、羅生門鬼、天邪鬼、夜叉。ザ・鬼と云った見た目の物が少ないのです。其れに百々目鬼の現当主は厳格な方でこういう催しは枚挙参加なさらないのです。何せ僕より年上なので頭が上がらず…」


「女の子なら私が如何にか出来るよー!」



 席に着いて居た大将サタナキアが挙手した。

 アガリアレプトの二の腕に抱き着き頬を擦る。



「其れに妖怪何て寿命長くて千年二千年でしょう?私の方が年上だしねー!」


「そうだね、サタン様からは使って善いって云われたし頼もうかな。」



 ベルゼブブの声にサタナキアとアガリアレプトは頷く。

 瓢は頼もしいですと零す。




 其の儘和やかな空気の儘議題は進行された。だが一人


【酒呑童子】その単語の時から一人



 妖怪総大将ぬらりひょんの瓢は怪訝な顔を浮かべていた。



 *



 古書の匂いが漂う。

 落ち着く匂いだ。悪魔達に共感されないのだけが悩みだが。


 先程は失敗した。


 綴っていた書物の一頁が筆の墨によって黒い花が咲き失敗作へと成る。力任せにしてしまった。又一から遣り直しだ。

 立ち上がり自らを囲んでいる本の中から新たな一冊取ろうと手を伸ばした。

 だが眼に付いた一つの書物によってその手は止められた。代わりに其の本に手を伸ばし元居た場所へと座り直す。



「大江山……安倍晴明公殿共縁があった筈だが、手を下したのは文殊と四天王だしな。京へ持ち帰った首は……ああ矢張り保管されて居た宇治から飛んで元の場所に戻りましたか平将門の真似でしょうかね馬鹿馬鹿しい」



 書物の文章に指を置き動かす。

 題名は【酒呑童子議事録】



「其の後は…殺しでは無く封印に業務変更(ジョブチェンジ)……大江山に封印が、もう約千三十年前と。安倍晴明公全盛期ですし其れ位ですか…酒呑童子の根城を占ったのは晴明公ですしね」



 議事録を読みつつ癖でか唇の皮を捲る。唇に爪を立て掻く。


 晴明公が封印したのであれば再度の封印を頼むつもりで呼び寄せたのだ。晴明公が来れなかった場合の為に役氏と蘆屋道満にも召集を掛けた。勿論百鬼夜行の補助、人間側から見た意見も徴集したく呼び寄せた面もある。


 だが妖怪が危機に瀕し他の力を欲して百鬼夜行という手段に出たのは紛れもない事実でも有った。



「先週見に行った封印はだいぶやわくなっていた、もう何時封印が自力で解かれても可笑しくない。あの時ですら文殊の神変奇特酒と人数を使った不意打ちでギリギリ勝てたと云うのに、でも……」



 唇の皮の捲り過ぎで血が出る。指に血が付くのを己の赤い眼で確認した。

 付着した血を指に馴染ませなかった事にする。



「堕ちた最高神に其の側近。強力な悪魔、人類最強格の呪術師と陰陽師。恐らくあの酒呑童子にも一泡吹かせられる」



 正していた姿勢を崩し胡坐(あぐら)をかく。膝に肘を置き黒い髪を生やした頭を掻いた。

 先程迄結ばれていた髪を解き古書の中に紛れた手に届く範囲にある太刀を手中に収める。

 太刀の名は童子切。


 嘗て酒呑童子を討伐したとされる源頼光と頼光四天王が化け物退治に使用したとされる太刀の一つだ。此れは源頼光直々に譲り受けた物、現代でも或る場所では天下五剣の一振りに数えられるほどの名刀。その名刀を自身の目の前に掲げる。

 無論それ程の名刀の管理は怠る事は無い。



 加え



「文殊。君の遣りたかった事は必ず僕が実現させて魅せるよ是非君も其の特等席から眺めていて呉れ給え」



 ぬらりひょん瓢は一人、全てに誓う。


 何時しかの友に



 *



「すみませんベルゼブブ様途中で抜けるようで…」


「良いよフルーレティ。体が第一優先ほら此方へ」



 宿の一室。畳の匂いが漂う和室。

 部屋は一人一つ用意されておりベルゼブブの部屋にフルーレティを呼び寄せていた。


 太陽が沈み月が上がる。地獄では見れない光景を感じる度に知り合いの神の存在をベルゼブブは感じる。女性不信なベルゼブブが唯一と言って良い程に数少ない信頼できる太陽神シャプシュ。不死鳥フェニックスの上司でも或る太陽神ラーは昔からの仲だ。


 足裏で床を軽く二回敲き足元に魔法陣を出現させる。魔法陣ないのものでは何でも同じく移動させる事が出来る。魔法陣内にフルーレティを招き入れる。



「こういう移動の仕方初めてですレティ」


「でしょうね。大方の神々は此の力持ってるけど零落後の神は没収されるからね」



 ベルゼブブの言葉にフルーレティが不審な目を向けるのを感じ取りながらもベルゼブブは【次元渡航】を発動させる。


 フルーレティは最後の最後で質問をした。成らば貴方は如何なのかと

 ベルゼブブは懐かしむように宙を睨み云った。



 ――此れは只の創造神の神々の余興に過ぎないのだよ。フルーレティ



 其の声も何処かへ掻き消されないものと成る。






私のボキャブラリーが皆無なのでバアルの罵倒の語彙が余り出せません、

バアルは基本的に頭がよく語彙力がとても有るので少し悔しいです。


後早く【臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前】の九字切りをさせたい


それと遠回しにページに黒い花が咲いたとか書きましたが只単に筆をぐちゃってやって頁に墨の塊が出来ただけです。


次の投稿は4/6です



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