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「うん、香名さんはやっぱ凄い。僕にそんな才能はないかな。洗脳なんてやれるほど巧みな話術はできないな。会長やりたいと思ったのも最近のことだったし。ありのままでしか話ができないや。梨本くんは強いよ。言ったことが全部正しく聞こえちゃうんだよね」
「でも選挙は来年の一月だろ? それまでに覆せば……」
「彼には固定ファンがいる。それも熱狂的な信者がね。峯くんにはいない。彼のように弁舌の才能があれば、固定ファンができたかもしれないけれど。あなた演説、下手だものね。目も当てられない下手さで、聞いているこっちが助け船を出したくなってしまうわ」
「君がうますぎるんだよ」
「今度の文化祭で結果を出すしかないわね」
香名は不敵な笑みを浮かべて、指をパチンと鳴らす。
夏休み明け早々に、文化祭の準備が始まる。例年早い開催日で、なんと一週間にも亘る。大学と大祭と文化祭とかけて大文祭と呼ばれている。一発逆転を狙うなら、このイベントしかない。これならば、陽太が会長に選ばれる可能性も出てくる。
「僕は何をすればいい?」
「簡単よ。みんなの頼み事を訊いて回るの。ついでに、それとなく何をしたいかも訊けばいい」
かくして、陽太の戦略的な選挙活動が、始まりのゴングを鳴らす。




