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陽太の突然の告白から数か月。敦也は勉強の合間に、陽太のサポートをすることにした。陽太が会長になりたいと言うのなら、全力でバックアップしたい。陽太は敦也を見限らず、敦也とずっと友達でいてくれた。心優しい友人がいなければ、敦也はもっとやさぐれていたことだろう。敦也の態度を不満に思いつつも、ずっと親友になりたいと思っていてくれたのだ。手伝わずして、何が親しき友か。親しき仲にも礼儀あり。してもらったことは、必ず返すべし。
前期の試験を控えているというのに、校内演説をして回る役員選挙参加者で溢れていた。試験勉強の方は大丈夫なのだろうか。彼等はスピーカーを持って校内を移動しているので、みんなにもよく聞こえる。喧しいので、他のみんなは大体、図書館か貸し教室で試験勉強をしている。季節はあっという間に春から夏へ、そろそろ夏休みが始まる。みんなにとっては楽しい夏。敦也にとっては厳しい夏。この夏は、みんなと差をつけるチャンスだ。潮時と言い換えてもいいだろう。ここでものにしなければ、やる気がどんどん削がれていってしまう。だらだらと続けていても無駄。勉強は集中力と継続力が大事なのだ。長期集中ができるほど、勉強が好きなわけではないので、短期集中でみんなとの差を縮めて追い越していくしかない。謂わば、短期決戦。図書館ではうじゃうじゃと人が密集していて暑苦しいので、敦也は食堂で勉強していた。香名と二人っきりで。
「お前は勉強しないのか?」
香名は頬杖をして敦也の勉強を見ていた。ジメジメと蒸し暑いので、いつになく、怠そうだ。
「しなくても満点は確定。私みたいに要領のいい人は講義中に頭に入れられるの。一度聞いたことは忘れない、見たことも忘れない。記憶力も思考力も達人レベルなの。暗記ものは楽勝よ。教科書を丸暗記できる。教科書が間違っていたら、意味がないのだけど。私にノートなんてものはいらないの。脳味噌がそのままノートの役割を果たしているのよ。授業態度のために、ノートを取っているだけ」
自信満々の香名。過剰な自信ではないのが、余計に腸を煮えくり返させる。本来ならば、敵わない相手にここまで腹を立てることはないのだが、敦也は特殊な性癖の持ち主である。香名と張り合おうとしている。香名に負けたくないのだ。
「なあ、椎菜……。知能指数いくつ?」
「さあ。200はあると思うけれど」
「……他に類を見ない天才ってやつか……。相変わらずお前は腹立つな」
「200ある人は他にもいるわよ。日本人ではいないと思うけど」
「そうかあ。俺の頭と交換してくれねえかなあ……」
冗談交じりに敦也が投げやりな言葉を吐いた。香名はうんざりした顔で断固拒否。
「あなたには耐えられないから、やめておきなさい」




