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陽太は役員が選挙で決まるようになって、かなり喜んでいる。政治学が大好きというだけはあると敦也はこっそりと思った。敦也は最近、陽太のことを陰で政治オタクと呼んでいる。
「香名さんと組んだら?」
「あいつに全部票持っていかれる……」
「だから……香名さんをサポート役にお願いしたらって意味」
「なるほどな」
「いい案じゃない? 勉強苦手で成績悪くても、プラス要素があったら就職も不利じゃなくなるし。挑戦して損はないと思う。いつもやる気ナッシングな敦也でも、たまにはそういうことしたら、先生達の見る目も変わるんじゃないかな」
結構毒舌だったが、半分は当たっているので敦也は文句を垂れなかった。
「そ、そうだな……。たまにはそういうことやんのも悪くないかもな……。サンキュー、陽太」
「いいよ。僕とお前は親友じゃないか」
「いつの間に親友になったんだよ」
「ええじゃないか、ええじゃないかってね」
陽太は陽気に笑って、茶化した。敦也は陽太の豹変ぶりにちょっと困惑している。
「普段はあんまり怒らないからね。僕はいい人だよ」
荒れていた頃の敦也とも、陽太は分け隔てなく接してくれた。気遣いを持って接していた。本当にできた友達だ。陽太は齢二十にして、人格者たる素質を持っている。彼が政治家になったら、この国はもっと良い国になるのではないだろうか。インターネットの占いだが、精神年齢が三十過ぎと診断されたのは間違いではなかった。陽太に内緒でやった。友達に選んだのが陽太でなかったら、敦也は今頃どうなっていただろうか。敦也と話すのはつまらなかっただろう。なのに、懸命に話しかけてくれていた。敦也の心を開くことはできなかったが、かけがえのない友達なのは確かだ。
――陽太がいなかったら俺は……。もっと退屈してたかもしれないな。
「サンキューな……」
ボソッと呟くと、陽太は気味悪がって後ずさった。
「え。急に何……? 気持ち悪いよ。熱でもあるの?」
「んなわけねえよ、バカ野郎」
「僕にお礼言うなんてさ、何年ぶりだよ。ほんと気持ち悪い。あり得ない。マジで頭打った?」
「おい……さっきも言っただろ」
テーブルに乗せていたブザーが鳴った。敦也のものと陽太のものが同時に鳴り響く。
敦也は二つとも持って席を立って、割烹着を着たおばさんがいるカウンターの方に向かう。
「はいよー」
ブザーを渡すと、おばさんはチャーシューメンとハヤシライスをどんとカウンターに置いた。




