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あなたの救世主  作者: 社容尊悟
第二章

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26/99

「見てしまったら、関係ないことはないのよ。それは仕組まれたことなの。私がここに戻って来たのも、そういう運命だったってことなのよ。これは、神のお導きなの。わかる?」

「はあ……? 何意味わかんないこと言ってんだよ。頭大丈夫か?」

「問題解決の役割を担わせてくれたってことよ。神が、私にね」

 ふふんと上機嫌で、香名は胸に手を当てて首を傾けた。可愛らしい仕草だった。

「紙……? ペーパー? 誰かから手紙でももらったのか?」

「神、よ」

「……病院、紹介してやろうか?」

「何よ。病気扱いしないで欲しいんだけど。あなたは信じないの? 神はいるんだから」

「っつか、俺もう帰るから。お前なんかと話しててもつまんねえし」

「そう? 楽しそうに見えるけど」

 香名は確信している様子。敦也がいつもよりも声が高くなっていることを示唆している。

「大守敦也。それがあなたの名前。普通ね」

「何が言いたい」

「何も。あなたの名前、憶えてあげたわよ。あなたは人。これから……ずっと人。それ以上にもそれ以下にもなれない。未来永劫に、あなたは人」

 ビシッと鼻先に指を突きつけ、香名はよくわからない呪文のような言葉を口にした。敦也は香名の手を押さえて、苛々をぶつけた。さっきからしつこい、と。

「私はあなたに会いに来たの」

 香名と敦也はカフェに行った。観葉植物が置いてあって、窓は西洋風のアーチ型。お洒落なテイストで、学生に人気がある。講義中は人がちらほら。喋り倒すような人はいない。皆それぞれに優雅な一時ひとときを過ごし、いこいの間としている。

 入口に近い丸テーブルに行き、二人は向かい合わせで座った。

 渋渋しぶしぶカフェまで連れて来られたが、敦也は不服だった。香名は初対面のときから印象が最悪だったし、話すこともない。香名と話をする理由も、敦也の方にはないのだ。会いに来たと言われても、性格が極悪な女に胸を高鳴らせたりしない。顔だけの女にときめいたりしない。

「なんでお前と話なんか……」

 敦也は肘をついて、鬱屈うっくつしていることをアピールする。香名はふふっと恋する乙女みたいに口元を緩ませた。敦也はちょっとだけドキッとした。悔しいが、やっぱり可愛いし綺麗だ。

「あなたが自殺しようとした理由、当ててあげましょうか?」

「はっ?」

「答えは簡単。人生がつまらないから」

 香名は指を立てて、得意気に答えを出した。その通りだが、敦也は同調しない。頷かない。

「そんなもん、心理学やってりゃ誰でもわかるだろ」

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