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神の箱庭へようこそ!~創って、護って、派遣して~  作者: 緋桜
第一章 まだ始まってない

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第8話 晴人と明②

❀ ❀ ❀


ほんの少し、居住まいを整えて、俺の中のツッコミ心を取り押さえる。

今は、余計なことを言ってはいけない。

思ってもいけない。


「⋯⋯いえ、それはないです。尊敬してますし。ただ⋯大事な友達にも言えないことは⋯増えていきますけどね⋯。それに俺、バリバリ現代っ子ですしね。あははっ。」


しまったな⋯。

子孫達は、「安倍晴明の血筋」を誇りにしている人が多い。

批判に聞こえてしまったかな⋯。

乾いた笑いで誤魔化してみる。

ただ、やっぱり科学の力が発達した現代だと、エコより利便性なところもあるよね。

気を練って紙に書いたり、呪文唱えたりするよりボタン押す方が楽だし、天気や運勢は朝のニュースで事足りる。

わざわざ道具を出して占わない。

夢見は⋯⋯寝不足の元。


「ふふふっ⋯。確かに、ボタン押す方が楽ですよね。」


あ、通じた。

同類だった。

良かったぁ~。


「薬の研究で、薬研や乳鉢で潰すのを使い魔を召喚してやらせるより、機材の電源入れた方が早くて均一ですからね。」

「⋯⋯そ、そうなんすね。」


なんかちょっと違った。

ていうか、使い魔、いるんだ。

もちろん、使い魔がいる人も、召喚出来る人もいるにはいる。

けど、召喚出来るって事は、明さん自体が霊力が強いってことだ。


「あ、もしかして使い魔ですか?私、これでも曽祖父は直系の入り婿なんですよ。」


え?もしかして、明さんも心を読めるのか?

なんてアホな思いが一瞬過ぎったが、今はそこじゃない。


「え?⋯それってすごいじゃないですか。」


入り婿ってことは、直系に女子しかいなかったって事だ。

その場合、傍系から霊力の強い者が婿に選ばれる、って聞いた。


「じゃあ、明さんは直系?」

「いえ、祖父は長男でしたので、傍系ですね。」

「あぁ、なるほど⋯。」


直系のしきたりか⋯。

安倍晴明の能力は、第1子に強く受け継がれる。

けど、安倍晴明の意向で、強い力は傍系に流し、直系は弱らせて国から距離を置く、と。

公職として政治の中枢にも影響を及ぼしてきた陰陽道は、1870年、明治時代に入ると当時の政府によって、廃止されていった。

第二次世界大戦後に、明治政府の発令した法令自体が廃止されて、今はカレンダーや手帳で補助的に見られる程度で、表舞台からは消えつつある。

確か⋯今代の直系も後継者が居なくて、傍系の存在を知らない世間では、安倍晴明の末裔も今代までか、と言われている。


いやいや、本当はもっと居ますよ。

国やら政治やらに巻き込まれるのは、もう嫌だってことですよ。


そうやってひっそりと消えていく⋯それが御先祖様のご意向だったらしい。

まぁ、長かったよね。

1000年だよ?

まさか、御先祖様も、子孫が中々権力手放せずに政界に居座るとか、御先祖様が1000年先でも名を馳せているとは思わなかっただろう。

今頃、「あんなに言ったのに~!」って墓の中でお怒りなんじゃないだろうか⋯。


「今は、修行の方はどうしてるんです?」

「今は⋯祖父に習ったことを復習しつつ、書庫から代々の蔵書を見て一人で⋯ですね。」

「蔵書でって⋯代々のなら沢山あるのでは?今、どこまで修行が進んでいるのかは分かりませんが⋯」

「あ、蔵書の方は問題ないんです。俺⋯特技っていうか、昔から一度見たものは覚えちゃうんで⋯なんで大丈夫です。」


明さんが、2度目のびっくり顔をしている。

今日はレアな日だな。


「それは⋯本の内容とかかな?」

「本は勿論ですけど、今この瞬間とか⋯⋯うーん、なんていえば⋯⋯⋯あっそうそう!常に自動録画している感じですかね?頭の中に。それで、後で、思い出そうとすると、思い出したいところがピックアップされる⋯スマホの動画編集?みたいな感じですね。」

「それは⋯⋯今も?ってことかな?」

「はい。後で、この会話の時の明さんの表情ーーと思うと、ポンって頭の中に浮かびます。⋯ピンポイントだと写真みたいですね。」

「瞬間記憶だね。それは凄い。覚えたものはそのままずっと?」

「そうですね。ずっとです。」

「てことは、保持能力もか⋯。いつ頃からの記憶があるの?」

「⋯⋯赤ちゃんの頃、目が見えるようになった頃から?ですかね。」

「頭痛くなったりしないのかい?」

「いや⋯⋯ないですね。」

「じゃあ、テストの時は大活躍だ?」

「テストは得意です。」

「はははっ!そんなセリフ、初めて聞きましたよ。」


「いやー、羨ましいなぁ~」なんて言って、明さんが、涙を拭いながら笑っている。

⋯⋯この辺だけ、明日雪かもしれない。

5月の終わりなのに。


「はぁー⋯久々に思いっきり笑いました。きっと、安倍晴明もびっくりですよ。」

「⋯⋯⋯お墓から出てきちゃったらどうしましょう⋯。」

「⋯⋯⋯⋯⋯さぁ、どうしましょうね⋯?」


明さんが、手を口元に当てて、「ふふっ⋯」って言いながら、肩を震わせている。

そんなに面白いこと言ったかな?

御先祖様ジョークがブラック過ぎたかな?

明さんの震えが止まるのに少しの時間を要した。

⋯⋯もしかしたら、降るのは雪ではなく、雹かもしれない。

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