↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の箱庭へようこそ!~創って、護って、派遣して~  作者: 緋桜
第一章 まだ始まってない

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/45

第7話 晴人と明①

❀ ❀ ❀


その後、那智と狼牙達と箱庭内の自宅に行って、使い魔達から農作物の報告を受けたり、寝殿造の建物内で呑んだくれてる鬼の様子を見たり⋯全く聞いてなかったけど。

田圃を見たり、鶏に怯えられたりしながら、滞在時間約2時間。

外の世界に戻ってきた。

なんだか急に現実に戻されたみたいで、うら寂しい気持ちになる。


けもの道を出て、手入れがされた道を戻ってくる。


(⋯明さんはまだみたいだな。)


スマホで時間を確認すると、18時を回ったところだ。

ここからは見えないが、日もまだ沈みきっていないようで、明るさもある。


家に戻る前に、御先祖様の御堂に寄ることに決めた。


林の中に入るとさすがに暗い。

スマホで灯りを照らしながら進み、御堂の前にたどり着く。

うちの御先祖様。

ーー稀代の陰陽師、安倍晴明。

ある時は小説の主人公、ある時は漫画で主人公のサポーター、ドラマに映画、能や歌舞伎、様々な文学、芸能の題材に取り上げられ、日本人なら誰でも知っているといっても過言ではない、実在した歴史上の有名人。

その知名度は、三英傑にも劣らないだろう。

一説には、一度はライバルだった「蘆屋道満」に殺害されたのに、呪術で生き返ったと、伝えられている⋯。

⋯⋯⋯⋯生き返るって何?

呪術でって⋯それ大丈夫なのか?

昔の時代のことだから真相は分からないけど、⋯俺は死ぬよ?多分⋯いや、絶対。

俺、生まれたのが現代で良かった⋯。

俺には、確かにこの血が流れている。

先祖返り⋯はどうか分からないけれど、溢れる霊力と、それを使って結界を張ったり、索敵したり、使い魔を使役したりと色々出来るのは確かだ。

けど、この時代では妖魔と戦うなんてことはない。

呪術なんてのは、俺は関わったことは無い。


(そもそも、物の怪や妖怪と呼ばれる妖魔達は、妖魔界に移ってしまったし、時々発生する人間由来の怪異達は、こんな田舎じゃ殆ど見ないしな⋯。出会っても死霊くらい。簡単に払える程度の⋯。)


「もう、すっかり暗くなったよ?晴人くん。」

「うわぁっ!」


急に声を掛けられ、驚き過ぎて声を上げる。

振り返ると、いつの間にか後ろに居た明さんが、握った拳を口に当てて、「ただいま。」って笑っている。


「⋯お、おかえりなさい⋯。って、明さん、いつの間に?」

「今さっきですよ。遅くなりました。」


スマホを見ると、“18:20”。

メッセージでは2、3時間って言っていたから、時間内だ。

19時頃を想定していた俺から見たら、早いぐらいだ。


「⋯いやいや、そんなことないですよ。」

「そうですか?それなら良かったです。」


にこにこと微笑む明さん。

⋯いや、全く気配を感じなかったけど?

いくら考え事してたといっても、声を掛けられるまで全く気付かなかった。


(⋯⋯⋯俺が?⋯⋯嘘だろ?かくれんぼの天才と言われた俺が?)

(※注:鬼の時は隠れているのをすぐに見つけてしまうし、隠れている時は絶対に見つけられない為、颯介が「お前はかくれんぼの天才かよっ!」と、皮肉で言っただけ。要は、索敵能力を使った、霊力の無駄遣い。)


⋯⋯この際、比較対象が颯介達三兄弟しかいない事実はさておき、明さん⋯何者?


「⋯⋯明さんって、実は先祖返りとか⋯だったりします?」

「⋯⋯え?」


明さんが珍しく、目を見開いて驚いている。

いつもは、穏やかな時も、怒っている時もにこにこしているから(ある意味怖い)、表情が変わるのは珍しい。

場違いにも「あっ、この人も人間なんだな」って、思ってしまった。

⋯⋯さすがに心は読めないよな?


「⋯⋯何でそう思ったんです?」


真面目な顔をした明さんが聞いてくる。

ん?

⋯⋯あ、まずい。

ちょっとびっくりして、他のこと考えてたわ。

⋯先祖返りの話だよな?


「いや、明さん⋯⋯普通に強そう⋯っていうか、凄そうっていうか⋯。俺、気配感知できずに後ろ取られたの、初めてですよ。これでもかくれんぼの天才って言われてるのに⋯。」


思わず、後頭部を掻きながら乾いた笑いを浮かべてしまう。

今度はキョトンとした明さんが、ふっと笑う。

今日は表情豊かだ。


「私は、違いますよ。かくれんぼは分かりませんが⋯⋯経験の差でしょう。先祖返りがそんなにポンポンいたら、安倍晴明も、力を傍系に逃がして隠すのではなく、堂々と権力握りにいくように言い残したと思いますよ?」


「⋯⋯⋯先祖返りって⋯⋯なんでしょうね?」


明さんの答えに、俺は以前から疑問に思っていたことを口にする。


「⋯なに⋯⋯とは?」

「だって⋯⋯今のこの時代に、必要ないじゃないですか?平安時代とは違って、倒さなければいけないような妖魔がいるわけでもないし⋯。それに、この時代には、科学の力がある。」

「⋯まぁ、お金さえあれば、ある程度のことは出来ますね。⋯陰陽術なら、経費削減の上エコですけど。」

「⋯エコですね、確かに。」


門も玄関も自動で開くし、防犯もしっかりしてるけど、必要なのは霊力で、電気代はかかってない。

しかも、認証付きの超優秀セルフSECOMだ。


「⋯⋯君にとって、安倍晴明の血は⋯負担ですか?」


意識を向けると、笑みのない、真面目な顔をした明さん。

思わず息を呑む。

そして⋯その顔を見た瞬間、ちゃんと答えないといけない気がした。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。