第44話 見落とし
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「そうそう!その調子っ!」
「なんか⋯⋯出来たかも⋯」
「うんうん、出来てる、出来てる。あ、出た、スライムだ!やってみて!」
「うん!」
ダンッ
四季が、霊力を込めた足でスライムを踏み付けると、スライムは光の粒子となって消えていった。
「「やったぁー!!」」
二人でハイタッチをする。
何度かやるうちに、だいぶスムーズに出来るようになったね、ハイタッチ。
【スライムLv.1を倒しました。】
【経験値1とコイン2を獲得しました。】
【Lv.がUPしました。】
「おっ?レベルアップだっ!」
「え?」
俺は「ステータス」と唱えて、ステータスボードを開く。
「おー、Lv.2になった!」
俺が喜びの声をあげると、四季も慌ててステータスボードを開いたみたいだ。
「ほ、ほんとだ!Lv.2⋯あ、身体強化が、アクティブスキルに追加されてる。」
「お、良かったねぇ!」
「うん、晴のおかげだよ、ありがとう。」
「いやいや、四季が飲み込み早いからだよ。これで、もう少し上のレベルのモンスターもいけそうだね。」
「う、うん⋯⋯あれ?これ、まだ、下がある?」
「へ?」
そう言って、四季がステータスボードをスワイプするような仕草をする。
俺も自分のステータスボードをもう一度見ると、ステータスボード右端にスクロールバーを見つけた。
「あ、本当だ!どれどれ⋯」
スクロールバーを下げていくと、スキルの下に「特記」の文字。
《特記:保持神格有〈木花之佐久夜毘売〉同期率25%》
「同期率?」
俺の中に、木花之佐久夜毘売の神格が在るのは知っている。
そういえば、俺のスキルには木花之佐久夜毘売っぽいスキルは無いね?
元々陰陽師として会得したものがスキルになってるか、今までの生活の中で得たものだ。
数ある陰陽術の中でスキル化しているものは、おそらく、俺がよく使用するものだろう。
箱庭では、那智達と修行と称して技を繰り出したりとよく遊んでいたからな。
って事は、この同期率が100%になったら、木花之佐久夜毘売の神格が完全に解放⋯俺の中に同期される、ということ?
スキルが増えるのかな?
何か⋯めんどくさい事にならないよね?
嫌な予感がするんだよねぇー。
ただでさえ悪目立ちしてるのに、これ以上はごめんこうむりたい。
はぁー⋯とため息を吐いたあと、四季に目を向けると、ステータスボードを見つめたままだ。
「ん?なんかあった?」
「あ⋯⋯その、1番下に【加護】っていう欄があって、そこに⋯【雷神の加護】って⋯。」
四季の顔には、困惑の色がありありと浮かんでいる。
「加護?」
「うん。」
もう一度、自分のステータスボードを見ても、俺にはそういう表示は無い。
足元に寄ってきたスライムを踏み付けながら、四季を見る。
「俺には無いなぁ。特記があるだけ。」
「特記?⋯俺には無いよ?」
「そうなの?⋯って事は、人によって違うのかな。⋯でも、四季って豊穣の神の血統なんだよね?なんで雷神?」
「⋯なんでだろう?」
「「う〜〜ん⋯」」
豊穣の神と雷神って繋がりがあるのかな?
フレイってきっと北欧系の神様だよね?
雷神⋯
「雷神の名前は書いてないの?」
「うん、書いてない。」
「そっかぁ〜⋯⋯なんか心当たりある?」
「心当たり⋯⋯特には無いけど⋯⋯ただ⋯」
「ただ?」
「⋯⋯豪雨の中、雷が落ちてきて⋯それで死んだんだよね、俺⋯」
「ん?⋯え?雷で?」
「うん。ピカッって凄く光って、空を見上げた瞬間バリバリバリッって。それが、最後の記憶かな⋯」
「⋯⋯それは、なんか、⋯⋯⋯奇跡のような確率だね?」
「もの凄い不運だよ⋯。」
四季が、しょんぼりしている。
まぁ⋯気持ちは分からないではない。
けど、それと雷神の加護が繋がるかは分からないな。
それと⋯⋯
チラッと四季を見る。
くたびれてヨレヨレの学ランに、ボサボサの髪の毛。
無造作に1つに結んでいるけど、見て分かる不揃いの長く伸びた髪。
(なんで、こんな姿なんだろう?今の俺達って、肉体じゃなくて、魂の状態なんだよね?⋯⋯魂が、あの状態ってこと?それって⋯⋯魂が、あれだけ傷付いてるってこと?)
いったい、何があったら、ああなるのか。
ここに来る直前までホラー体験していた俺でも、そんな事ないぞ?
でも、まあ⋯会ってすぐの俺が、立ち入ることじゃないね。
今はとりあえず、やるべき事をやろう。
「よし、ダンジョン探索再開しよう!まずは、アイテム集めて、レベルも上げよう!」
足元にやってきたスライムを再び踏み付けながら、四季に提案する。
すると、四季も先程までの不安そうな表情が消え、少し元気になった声で、返事が返ってきた。
「うん!」
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暫く進むと、Lv.3のスライムに混じり、ミニブタくらいのサイズのネズミのモンスターが出始めた。
最初は動きが早くてびっくりしたけど、動きが単調で見切りやすく、まずは避ける。
今まではスライムだったから倒しやすかったけど、生き物の形になると、話は別。
踏み付けるのも、蹴るのも躊躇してしまう。
俺でそうなんだから、四季は尚更⋯⋯
「放電!」ビリビリビリッ
ギャァー
「やった!倒せた!」
「お、おう⋯ナイス、四季。」
問題無かったようだ。
そう、そうね⋯モンスターだしね。
倒さないとこっちが危ないもんね。
⋯うん、俺も頑張ろう。
その後は、四季は放電、俺は狐火を使いながら順調に進む。
けど、これくらいなら狐火使わなくても、剣とかあれば倒せそう。
そうしたら、霊力消費も防げそう。
いくらスキル化で省エネでもねぇ⋯、もったいない。
「そろそろ、武器が欲しいな。スキルだと、霊力消耗するし。」
「レベルアップで回復するけど、せっかく覚えた身体強化も活かしたいな。」
「おお、前向きで良いねー。うんうん、今は1体ずつだけど、この先、何体かまとめて出てきたりするようになるかもしれないし、戦闘手段は他にも欲しいよね。何より、レベルアップに凄く時間掛かるし。」
「うん⋯⋯モンスターが強くなると、経験値も増えるみたいだけど⋯」
「いや、それでもかかり過ぎだろってくらい掛かってるよ。あれだけ倒してまだLv.2だし。」
「このビッグラットは、アイテムも落とさないしね。」
「ほんと、ほんと。」
コインを収納して、先に進む。
途中、光るキノコを見つけてそれも収納。
再度歩き始めると、スライムとビッグラットが同時に出てきた。
「晴の予想通りだね。」
「やっぱりね。」
1体ずつ、難なく倒すとレベルアップ。
「「よし!」」
二人でハイタッチをした。
「これなら、もう少し強いモンスターが出ても大丈夫そうだ。」
「うん!」
「次に出るとしたら何かな?」
ゲームやラノベで定番の初期モンスターを思い出そうとしたその時。
「次に出るなら、狼か蝙蝠じゃないかのぅ!」
突然響いた第三者の声。
驚いて振り返ると、そこには見知らぬ男の子が頭の後ろで手を組んで、ニヤニヤと笑って立っていた。
(⋯なっ!俺が、全く気付かなかった⋯だとぉ?)
モンスターを相手にしていたさっきまでと違い、俺の顔から笑みが消え、一気に警戒心を引き上げた。
「⋯君、何者?」




