第43話 楽しいねぇ!
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ふりっふりっ ふりっふりっ ふりっふりっ
「ふんふ〜ん♪」
いやぁ、楽しいねぇ~ダンジョン探索。
スライムを見つけては踏み、スライムを見つけては踏みして、影踏みしてるみたい。
あれ、捕獲してそのまま神珠に翳して「収納」って念じたら、どうなるのかな?
うーん、今度やってみようかな。
あ、でも今度は四季に譲ろうかな。
俺ばっかりやっててもねぇ。
経験値とコインは入るみたいだけど、「モンスターと戦う」っていう経験が、手に入らないもんね。
Lv.3くらいまでのスライムが出始めたから、Lv.1が出てきたら、譲ろう。
1度目にしたモンスターやアイテムは、2度目からは目に霊力を込めることで、情報が視覚化されるようになった。
俺のステータスボードと、晴ペディアが同期しているらしく、その影響かもしれない。
四季に聞いてみたけど、四季には見えないって言っていた。
四季は、霊力が可視化して見えるだけのようだ。
モンスターは皆、黒いオーラを纏っているって言っていた。
ちなみに俺は、髪と同じ、ほんの少し金が混ざった、銀桜色らしい。
ふりっふりっ ふりっふりっ ふりっふりっ
「は、晴⋯?」
「ん〜?」
「あの⋯⋯何か機嫌良い?」
「うん、もちろん!」
「そ、そっか。」
「なんで?楽しくない?」
四季の方を向いて尋ねると、四季が視線を一度俺の後方に向けた後、スッと目を逸らす。
「楽しいかどうかはまだ、分からないけど⋯。その、晴⋯⋯尻尾が揺れてるから⋯。」
「え?!」
慌てて、尻尾を見ようとするも、上手く見えなくて、1周回ってしまった。
何やってんの?俺。
それでも必死になっていると、四季がフッと笑う。
お?初めてじゃないか?笑ったの。
「⋯それと、耳も。ずっとピコピコしてる。」
「ええ?!」
今度は慌てて耳を押さえる。
やーめーてぇー!動かないで?!
何やってんの?!俺!
「ふふっ、可愛いね。⋯触っても良い?」
「へ?⋯⋯まぁ、ちょっとだけなら。⋯そっとね?火之迦具土神様みたいにギュッってしないでね?」
「うん。」
四季が恐る恐る、尻尾に触る。
な、何か変な感じだ。
自分の身体の先に、もう一つ、感覚があるみたい。
犬や猫もそうなのかな?
「これ、自分の意思で動かせるの?」
「うん?⋯うん。それも出来るよ。ほら。」
尻尾を左右に振ってみせる。
「本当だ。」
「でも、何だか感情でも動いちゃうみたい。あはは〜っ。」
「だね。さっきまで機嫌良さそうだったから。」
「うわっ、恥ずかしぃ〜!」
そう笑っていると、スライム登場。
見てみると、Lv.1だ。
「よし、来た!四季、今度は四季がやってみて?」
「え?⋯ええ?!そんな、俺⋯」
「まあ、待って。落ち着いて。そんな飛びかかってこないから、多分。」
「多分?!」
「ずっと、俺が倒してる訳にもいかないし、弱いのから少しずつ慣れていこう。霊力の使い方は分かる?」
四季が青い顔をして首を横に振る。
まあ、普通はそうだよね。
うーん、まずは「倒す」事に重点を置いて、霊力の使い方はこの後1つずつやれば良いか。
「四季は、何かアクティブスキル、持ってる?」
「え?えっと⋯⋯放電?これは、攻撃⋯なのかな?」
「ええ?!いいじゃん、いいじゃん!電気系!凄い!え?雷神様の子孫か何か?」
「えっと⋯⋯血統は「豊穣の神フレイ」って書いてあるけど⋯誰かな?神様だよね?」
「さぁ⋯⋯名前からして海外の神様だねぇ。」
「あ⋯⋯俺、父親が、ヨーロッパ人⋯」
「へえ⋯じゃあ、そっちの神様かぁ〜⋯かっこいい⋯けど、豊穣の神様だと、雷関係無いね?」
「⋯そうだね?」
「「うーん⋯。」」
二人で首を傾げる。
豊穣の神様だと、土系な気がするんだけどなぁ。
まあ、いっか。
「一度使ってみようよ。」
「え?でも⋯」
「失敗したら、俺がちゃんと踏み潰すよ。」
「⋯⋯うん。やってみる。でも、どうやって?」
「俺は霊力練るのに慣れてるから気にならないけど⋯⋯スキルって、漫画だと結構簡単に発動してるんだよね。」
「そうなの?」
「うん。だから⋯⋯スライムを意識して、スキル「放電」って言ってみて。」
「わ、分かった。」
四季が、スライムをじっと見る。
「ーースキル、放電っ!」
ビビッ バリバリッ
四季がスキル名を呟くと、四季の指先からスライムに向かって細く小さな青白い稲妻が延びる。
当たったスライムは、感電したように動きを止めて、粒子となって消え、俺達の神珠に吸い込まれた。
「で、出来たっ⋯!」
「うんうん、出来たねっ!」
四季がめちゃくちゃ嬉しそうだった。
俺はハイタッチをしようと片手を上げて準備をするも、四季はキョトンとしている。
そっか、分からないんだ。
「こういう時はね、ハイタッチするんだよ。ほら、手を挙げてみて。」
「う、うん⋯。」
四季が恐る恐る、両手を挙げる。
パチンッ
軽く両手の手の平を合わせた。
「これが、ハイタッチ!」
あぁ、また四季が泣きそうだ。
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❀ 神界にて ❀
「踏みつけおったぞ、この子狐⋯」
「いや、でも、賢明な判断じゃないか?もしもまた、衝撃波を撃ってみろ。ダンジョンが、どうなるか⋯。」
「ああ、一部は必ず崩壊していただろう。」
「あやつはあれで、今回の有力候補なのであろう?」
「確かに、他の者達より度胸も経験もある。」
「度胸というより、物怖じしないだけでは?」
「経験があっても、出力調整がのう⋯」
「あやつは、安倍晴明の末裔だろう?奴にしっかり監督させねば⋯」
試験会場を見ていた神々や英霊達。
大学等にある、大きな講義室のような部屋。
一つ一つの席には、3画面あり、3ヶ所の試験会場をそれぞれ映し出している。
だが、皆の視線は中央の画面の中の一コマ、銀桜色の狐の陰陽師に集まっていた。
評価はそれぞれ。
感心する者もいれば、不安がる者もいる。
「全体的に、経験値が足りん。」
「しかし、今の世の中ではのう⋯。」
「妖魔達が魔界に下がってからは、半妖達も血筋を隠し、人として生きていたからなぁ。」
「皆、こんな最下級ダンジョンで怯えておる。」
「そうすると、この子狐はやはり面白い。」
「これで、出力調整が出来るようになれば⋯。」
ガタンッ
席を立ち、部屋から出ようとする男に、神の1人が話し掛ける。
「なんだ、行くのか?」
男は答える。
ニヤリと、不敵な笑みを浮かべて。
「ああ。あいつを見ていたら、疼いてきおった。中々に、面白そうだ。」
鼻歌を歌いながら、去っていく男の後ろ姿は、ダンジョンを進むあの銀桜色の子狐のように弾んでいた。




