第42話 ダンジョン探索開始
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大きな鳥居を潜ると、そこは別世界だった。
ゴツゴツした岩肌に囲まれた、トンネル状の通路が続いた洞窟。
「おぉ~⋯本格的⋯」
「⋯⋯そうなの?」
「洞窟は行ったことないけど、ほら、壁の岩肌とか、質感は本物っぽい。」
うん、行ったことは無い。
うちの山には、そんな場所無いしね。
少し歩くと、壁が一部光って見えた。
近付いてよく見ると、透明な石。
これは、水晶?
じっと見ながら、晴ペディアで、過去に見た鉱石図鑑の記憶を引っ張り出す。
【水晶⋯⋯二酸化ケイ素(SiO₂)からなる無色透明の石英結晶を指す鉱物名・宝石名。主に六角柱状の結晶として産し、装飾品や工業材料に広く利用されている。】
やっぱり。
「これ、水晶だって。2つあるから、1つずつね。」
水晶を1つ、天道くんに渡す。
すると、天道くんがオロオロとし出す。
「え?でも、これ見つけたの、桜庭くんだし⋯⋯」
「いいの、いいの。1つしかないならまだしも、2つあるんだし。」
「あ、ありがとう⋯。でも、これ、どうすれば⋯」
「さっき火之迦具土神様が、拾ったアイテムは神珠に翳して「収納」って念じろって言ってたでしょ?それで良いと思うよ。」
「この石、⋯綺麗だけど役に立つのかな?」
「それは⋯分からないけど、「もしも自分が世界を創るとしたら」って考えながらやれって言ってたでしょ?」
「うん。」
「世界ってさ、ものすごく沢山の物質で出来てるんだよ。だから、拾って損するものは無いと思うよ。この石も、それに、こういう土だって。」
そう言いながら、神珠に水晶と、足元の土を少し掬って翳し、「収納」と、呟く。
【水晶を獲得しました。】
【洞窟の土を獲得しました。】
「おぉ、獲得出来た。」
「消えた⋯」
「うん、神珠の中に入ったみたい。天道くんもやってみなよ。」
「うん⋯。」
天道くんも、水晶と土を神珠に収納。
「これが一体、どうなるのか、楽しみー!」
「⋯うん。」
「よし、先に進もう!」
まっすぐ進んだ先では、第1村人ならぬ、最初のモンスターに遭遇!
「さ、桜庭くん!あれ、な、何?!」
「うーん、溶けたゼリーみたいな形状⋯⋯さては、スライム?」
某ゲームだと丸い雫型のフォルムで、「僕は悪い魔物じゃないよ」って言いながら、ゲーム序盤のヒントをくれたりする最弱モンスター、スライム。
けど、他のゲームや漫画では、デロデロなゼリー状で、油断すると溶かされたりする、決して侮ってはいけなかったりする。
「ス、スライム??」
「うん、油断はしちゃダメだけど、多分、大丈夫だよ。」
「ええ?油断しちゃダメなんだよね?」
「そりゃまぁ⋯」
そう言いながら、スライムっぽいモノに近付く。
「さ、桜庭くん?!」
「まぁ、ちょっとやってみるね。」
霊力込めて術を放って、ダンジョン使えなくなると困るから⋯。
足に、霊力を込める。
「えいっ。」
「桜庭くん?!」
思いっきり踏んづけてみた。
ダメなら、狐火で燃やそうくらいの軽い気持ちで。
すると、スライムっぽいモノはピカーッと光った後、粒子となって、俺と天道くんの神珠に吸い込まれるように、消えてしまった。
【スライム Lv.1 を倒しました。】
【経験値 1 を獲得しました。】
【コイン 2 を獲得しました。】
「⋯⋯経験値ショボッ!⋯まぁ、Lv.1のスライムなら、そんなものかな?」
「⋯経験値?」
「うん。⋯あれ?頭の中でアナウンス流れない?」
「うん⋯。」
「え?倒した人だけ?⋯⋯ステータスボードは?変わりない?」
「ステータスボード⋯⋯見てみる。」
そう言いながら、ステータスボードを開いたみたいだ。
目が忙しなく動いている。
「あ、経験値欄が出来てる。経験値:1、所持金も2って。」
「え?本当?」
俺も慌ててステータスボードを開く。
《名前:桜庭晴人 年齢:17歳 性別:男 Lv.1
種族:半妖 役職:亜神候補 職業:陰陽師(下級)
経験値:1 所持金:2
霊力:50/100 神力:80/100
特殊能力:瞬間記憶
固有スキル:晴ペディア(ステータスボードと同期中)
血統スキル:狐火、大火、血走り、大炎上
アクティブスキル:結界、風早、浄化、解呪、快癒、破壊
パッシブスキル:気配感知、超回復、毒耐性、呪い無効》
本当だ!
種族の下に、記載欄が追加されている。
「なるほど、ステータスボードも確認した方が良いってことだね。本当にゲームみたいだ。」
「ゲームって、そうなの?」
「うん。あ、やった事ないって言ってたね。」
「う、うん⋯」
天道くん、オロオロしている。
どうしたんだろう?
「まあ、でも、それなら目一杯楽しんじゃおうよ!」
「⋯え?⋯⋯馬鹿にしないの?」
「へ?なんで?ゲームなんて、好き嫌いもあるし、そんな事でバカにしないよ?」
「そっかぁ⋯」
何故か、天道くんが涙を流す。
ええ?!なんで???
「ど、どうしたの?俺、変な事言った?!」
「ううん⋯ありがとう、桜庭くん。」
「ええ?⋯いや、なんにもしてないけど⋯。」
もしかして、天道くんは現世では、人付き合いが上手くいかなかったのかな?
それなら⋯。
「じゃあさ、現世に戻ったら、一緒にゲームしようよ!」
「え?」
「俺ん家、田舎だけどね。」
「⋯いいの?」
「もちろん!この試験を一緒にやるんだから、もう、友達でしょ?」
「⋯⋯うん、⋯うん!ありがとう!」
よし、これで俺も友達2人目ゲットだぜ!
颯介にも自慢してやろう。ふふん。
天道くんは、また泣いてしまった。
「ありがとう、桜庭くん」って泣いてる。
そんなに有難がられるとは⋯。
「いや、俺こそ友達2人目で嬉しいし。そうだ、友達になったならさ、俺の事、名前で呼んでよ。俺も、天道くんの事名前で呼んで良い?」
「えっと⋯は、晴人くん?」
「うん!「晴」でも良いよ。」
「え⋯⋯呼び捨てになっちゃう⋯」
「もう、高校生だし、そんな事気にしないで。」
「え?⋯高校生なの?」
「うん。高校二年生で17歳だよ。あ、そうか、今は皆子供の姿だから実年齢が分からないね?」
「うん。でも、僕も高校二年だよ。」
「そうなんだ!だったら尚更呼び捨てで良いよ!」
「じゃ、じゃあ僕も四季って名前で呼んで。」
「分かった。じゃあこれからもよろしくな、四季。」
「う、うん。よろしく⋯えっと、晴。」
いやぁー友達も新たに出来て、幸先良いなぁ~!




