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神の箱庭へようこそ!~創って、護って、派遣して~  作者: 緋桜
第二章 神の試験は強制参加

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第41話 残ったふたり

❀ ❀ ❀


二神から、開始の声が掛かるも、皆ザワザワしているだけで、一向に誰も動かない。


(あれ?試験開始なんだよね?皆、行かないのかな?面白そうなのに。)


やはり、ザワザワとしているだけだ。

何人かは、他の子に話し掛けたりしていて、チームを組んでいるのかもしれない。


(じゃあ、俺が先に行っちゃおう!)


鳥居を振り返って、1歩足を進めた時、慌てた声が掛かる。


「ま、待ちたまえっ!」

「待て、そこの狐の陰陽師っ!止まって動くなっ!」


ビクッとして、動きを止める。

あれ?最近もこんなことあったような?

そして、今はなぜ止められたの?

試験なんだよね?


「え?どうして?」

「お前は最後だ、馬鹿者!」

「え?なんで?」

「このダンジョンは、他国の神々も関わる大事なダンジョンだ。お前が先に入って壊されては堪らん!」

「ええ?!そんな簡単に、ダンジョン壊れませんよね?!」

「試験用の初心者ダンジョンに、上級ダンジョンのような耐久を求めるな!」

「俺だって、戦闘経験はそんなに無いですよ?」

「なら聞くが、Lv.1のお前がLv.2のモンスターに出会いました!お前はどうする?」

「え?⋯⋯俺より強いなら、ちょっと多めに霊力を練って、狐火で様子見ですかね?」

「「ちょっと多めに。」」

「はい。」

「さっきもちょっと多めに霊力を練ったんだろう?結果は?」

「⋯⋯⋯⋯あはは。」

「さすがにあれくらいではダンジョンは壊れん。が、他の者の経験を害するやもしれぬ。故に、お前は最後だ。」


ガァーーンッ

なんて事だ。

てことは、皆が行ってくれないと、俺は入れないのか?

涙目で、皆の方を見ると、皆が慌てて目を逸らす。

今頃きっと、俺の耳と尻尾は垂れ下がっていることだろう。

二神を見上げると、「うっ」と、唸られる。

早く行きたいなぁ~。

それまで、何してれば良いの?


「待ち時間は、天之御中主神様が話し相手になってくれるだろう。」

「は?待て。」

「え?天之御中主神様?」


天之御中主神様が、慌ててるけど?

火之迦具土神が、息を吸い込み大きな声を出す。


「良いか!いつまでもダラダラしていないで、さっさと始めろ!」

「あの、人数制限とかありますか?」

「無い。1人でも全員でも好きにするが良い。」


皆、顔を見合わせて、さっきまでの不安そうな感じが幾分晴れたようだ。

でもさ、もし皆で行っちゃったら、必然的に俺はソロ決定だよね?

ソロ希望だから良いけどさ。


それよりも、天之御中主神様とマンツートーク?

偉い神様なのでは?


天之御中主神様が渋々な感じで、俺の前にやって来た。


「⋯⋯⋯⋯⋯。」

「⋯⋯⋯⋯⋯。」


お互い顔を見合わせ、無言。

ですよねー。

火之迦具土神様ったら、無茶振りでしょう!

天之御中主神様はどう見ても寡黙そう⋯⋯⋯あ、そういえば、天之御中主神様と言えば。


「あの、うちの何代か前の先祖に「桜庭」の家名と木花之佐久夜毘売様の神格を与えてくださったのは、天之御中主神様、ですよね?」

「⋯ああ、そうだ。」

「その、ありがとうございました。俺、「桜庭」っていう家名、凄く好きです。」

「そうか。礼は不要だ。お前の先祖の功績に対する褒美である。代わりに、大きな役目を負ってもらったのだしな。」

「大きな役目?確かにそう伝わっていますが⋯⋯その役目とはなんでしょう?」

「いずれ分かる。今はまだ、その時ではない。」

「はぁ⋯。」


なんで、皆こう濁すんだろう?

こう、スパッ!とスッキリしたいと思うのは、俺だけ?


「すまん。」


天之御中主神様に謝られた。

あ、そうか。

心の声が筒抜けなんだった。


「この試験が終わったら、話そう。」

「はい、お願いします。」


やった。

何らかのお話が聞けるらしい。

それよりも⋯まだかな?

ワクワクダンジョン。


「亜神候補試験である。」


そうそう、そんな名前。

あれ?俺、脳まで幼児化してないよね?


振り返ると、グループがいくつか出来ていて鳥居を潜り始めている。

女子はまとめて行くみたい。


「この試験って何人くらい参加してるんです?」

「この地域は86人。他の二ヶ所も、おおよそ同じ人数だ。」

「全員、人外の血筋なんですか?」

「ああ。」


うーん、それは何か理由があるんだろうか。

選考基準の一つのような気がする。


「さて、そろそろ君も準備するが良い。」


そう言って、天之御中主神様は火之迦具土神様の隣へと戻って行った。

人気(ひとけ)の無くなったこの空間で、ポツンと取り残されると、捨て猫ならぬ捨て狐の気分になる。

まあ、でも、もうすぐ行って良いって言ってたし。


最後に残っていた5人組が、鳥居を潜る。

そろそろかな。

何気なく皆が居た空間を振り返る。

すると、1人の男の子が、ポツンと座り込んでいた。

一度神々に質問した、金髪ヨレヨレの男の子だ。

あれ?行かないのかな?

皆が行ってくれないと、俺、行けないんだけど。


「ねえ、君。君は行かないの?」


男の子に近寄り、声を掛けた。

しゃがみこんで目を合わせてみる。

前髪の隙間から、オレンジと赤が混ざったような綺麗な瞳が垣間見える。

すごく綺麗な瞳だ。

宝石みたいに輝いている。

じっと見ていると、彼が目を逸らす。

前髪を押さえ付けている。

あんなに綺麗な瞳なのに、嫌なのかな?


「もったいない⋯」

「え?」

「あ、いや、何でもないよ。」


思わず言葉が出ちゃったけど、嫌なら触れない方が良いね。


「あのさ、他の子は皆行っちゃったけど⋯君は行かないの?」

「⋯⋯⋯。」

「ソロで行くの?」


返事が無い。

どーしよーかなー。


「⋯⋯⋯⋯ぃ。」

「⋯⋯⋯⋯え?」


今何か言ったよね?


「⋯⋯どうしたら良いか、⋯⋯分からない。」


⋯なるほど?


「⋯君、ゲームした事ないの?RPG系のやつ。」

「⋯ない。」

「そっかぁー。じゃあ、異世界転生系のマンガとか、アニメとか観たことは?」

「⋯ない。」

「そっかぁー。」


知識が何も無いなら、不安になっても仕方が無いかぁ。

うーん。


「じゃあ⋯⋯俺と一緒に行く?俺、異世界物とか好きだし、ゲームもよくやるし、実際に戦った事もあるし、そこそこ強いよ?」

「⋯⋯⋯え?」

「どうする?」


彼に向かって、手を差し出す。

俺が差し出した手を、彼がじっと見つめる。

まるで、信じられないものを見るみたいに。

え?なに?ダメだった?


「⋯⋯俺なんかと、一緒に⋯行って、くれるの?」

「え?うん。」

「俺は⋯⋯皆に、嫌われて⋯」

「ぅん?それはよく分からないけど⋯俺も友達は1人しかいないよ?」

「⋯⋯足手まといに、なるかも⋯」

「その時は、バーンって霊力ゴリ押しで⋯」

「「おい!」」


何か、後方から突っ込まれたけど、気にしないでおこう。

今は、この子を連れ出さないと。


「君が行かないと、俺も行けないしさ。だから、一緒に行こう?」


警戒心を和らげる為に、ニコッと笑いかけてみる。

こうすると、学校ではだいたい皆、優しくなる。

颯介以外は。


差し出した手に、そろそろと手が伸びる。

お?

警戒心は解けたかな?


「よし、行こう!俺の名前は桜庭晴人。君の名前は?」

「⋯天道四季(てんどうしき)。」

「試験の間、よろしく!」

「うん、よろしく⋯。」


ちょっと元気の無い仲間を連れて、いよいよダンジョンだ!



挿絵(By みてみん)

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