第39話 何かが始まった
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ピロンッ
【ーーー毒耐性を獲得しました】
ピロンッ
【ーーー呪い無効を獲得しました】
⋯⋯⋯んぅ?
『目覚めなさい、亜神候補達よ。』
凛とした声が響き、意識が浮上する。
(んー⋯⋯?ここはどこ⋯?)
目を開けると、真っ白な空間。
起き上がって座り込む。
さっきまでいた病院とは違う、全方向真っ白。
おかげで遠近感がおかしい。
小さな手で目を擦る。
(いったい⋯⋯ん?手が小さい?)
違和感に、手を見てみると、どう見ても見慣れた男子高校生の手ではなく、柔らかくて小さな子供の手。
何度も瞬きを繰り返して、ジッと手の平を見つめて、握ったり開いたりを繰り返す。
⋯⋯⋯自分の手、だ。
え?夢?
頬っぺたを抓ってみる。
うん、痛いね?
⋯⋯何が起きてるの?
そもそも、ここはどこなんだ?
辺りを見回すも、なんの情報も得られない。
(うーん⋯これは、もしかして⋯結界とか、そういう感じかな?)
集中して気配を探ると、この白い空間が意外と狭いことが分かる。
(それに、さっき聞こえた声⋯聞き間違いじゃないなら、誰かいるって事。)
それなら、やるべき事は一つ。
この結界から出て、状況を確認する。
(よし、壊そう。⋯⋯結界の強度が分からないから、とりあえず、ちょっと強めに霊力を練ろう。)
刀印を結び、額に霊力を集める。
「ーーー破っ!」
バリンッ バリンッ バリンッ バリンッ パリーンッ
「⋯⋯⋯え。」
簡単に壊れたよ。
しかも、衝撃波みたいに広がった霊力が、周りにあったらしい他の結界を壊していく。
え?ちょっと弱くない?
俺、ちょっと霊力込めただけだよ?
なんか、最近似たような事があった気がする。
あぁーっ、また明さんに出力調整の課題が増やされる⋯。
俺が額に手を当てて、俯いている間に、周りがザワザワし始める。
俺と同じように、結界の中に居た子供達だ。
そう、何故か皆子供なのである。
誘拐?
⋯⋯まさか、高坂家か?
あの時、意識を失う直前、明さんが近くまで来ている気配を感じたから、もう大丈夫だと安堵したんだけど、もしかして間に合わなかった?
途端に不安になる。
結局、拉致・監禁されたのだとしたら、どうしようか。
⋯⋯え?まさか、この子達皆そうなの?
なんて、悪党なんだ。
なら⋯⋯⋯結界壊したのは、問題無くない?
これって結果オーライ⋯
「そんなわけあるか、たわけっ!」
「⋯⋯⋯え?」
なんか、急に怒られた気がして顔を上げる。
すると、前方に、宙に浮かんだ何だか神々しい光を放つ白髪金眼と赤髪赤眼の男の2人組が、呆れた表情で俺を見ていた。
なんで?
あれ?今、俺、⋯声出してた?
「この空間では、お前達の心の声は全て聞こえておる。それも、選別の基準の一つだからな。」
「しかしまぁ⋯聞いてはいたが、見事にほぼ全部壊してくれたな⋯。霊力を調整しておいて良かった。」
「本当ですね。まあ、そのお陰で全員、子供の姿ですが。」
なんの話だろう?
選別?⋯ってなに?
聞いてはいたって何を?
⋯今の話の流れ的に、俺の話な気がするけど、俺の事じゃないよね?
俺、そんな破壊神みたいな言われるような事してないよ?
「たわけ、この現状でまだ言うか!そもそも、この結界を抜けられるかどうかも見極めておったのに、台無しだっ!」
「そんな事言われても⋯⋯ごめんなさい?」
とりあえず、謝っておこう。
とても、怒気を向けられているし、結界を壊したのは事実だから。
けど、さっきから、なんだかあの赤髪の人の言い方が引っかかる。
「選別」とか「見極め」とか、なんだろう?
「それを今から説明しよう。」
今度は白髪金眼の人が、話し始める。
「全員、話を聞きなさい。ーー皆、今の状況に戸惑っていると思う。先に言っておくが、今君たちがいる場所は、神界であり、君たちには今からある試験を受けてもらう為に、現世では一度死んでもらった。」
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯はい?
今、なんて?
死んだ?
誰が?
⋯⋯⋯⋯俺が?
「驚くのは無理もないが、神界に呼ぶ為に一時的にそうしたのだ。試験に合格すれば、元に戻る。言うなれば、“仮死状態”だ。」
⋯⋯⋯へぇー仮死状態かぁ。
なら、大丈夫⋯⋯⋯ってなるわけないじゃん!
なに?
どういうこと?!
じゃあ、俺の身体は?
「安心せよ、神界と現世の狭間にて保管している。⋯⋯やる気が低空飛行と聞いていたが、ツッコミはキレが良いな?」
「はい?誰が、そんな事を?」
いや、なんか、どこかで言われたような?気がしなくもない?
「あのー⋯⋯試験ってなんの試験ですか?」
誰かが質問する。
目を向けると、金髪の男の子だ。
⋯⋯なんだろう?いやに服装がボロボロだね?
髪もボサボサで整えておらず、目は長い前髪に、隠れてしまっている。
思わずジッと見てしまうと、視線に気付いたのか、顔を背けられた。
⋯⋯なんか、学校でも目を逸らされることはあるけど、反応が違う気がする。
「試験とは、君たちが我ら神々の仲間に相応しいかどうかを見極め、資格あるものを「亜神」として迎える為の選別の試験だ。」
周りが一斉にザワつく。
いや、そうなるよね?
神?亜神?
どういうこと?
亜神って何?聞いた事ないよ?
そもそもあなた方は誰なの???
「我が名は天之御中主神。日本と呼ばれるこの地の原初神が1柱である。」
「は?え、あの、天之御中主神様?神託をくださる?」
「俺は、天之御中主神様の補佐をしている火之迦具土神である。」
「ええ?!」
これまた、原初神を除く、最古神の1人だよね?
伊邪那美から生まれて、出産時に火傷させたからって父親の伊邪那岐に殺された、理不尽な神様。
⋯⋯⋯もしかして、これって大事?
「亜神」って多分、神様の一種だよね?
下位の神様かな?
なんだか、面倒くさそうな予感がする。
いや、絶対に面倒くさいよね?
「あのー⋯⋯これって拒否権は?」
勇気を出して、手を挙げてお二方に聞いてみた。
「「ない。」」
えぇー!そんなぁ〜⋯俺の平穏は、いったい、いつになったら迎えられるの?!




