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神の箱庭へようこそ!~創って、護って、派遣して~  作者: 緋桜
第一章 まだ始まってない

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第24話 効果抜群

❀ ❀ ❀

「⋯⋯颯介、彼女達にも、帰ってきてないグループが3組いるって、ちゃんと話した方がいいと思う⋯⋯。」

「え?でも、怖がらせちゃうんじゃ⋯?」

「⋯でも、本当に何か起きてるかもしれないし⋯」


起きてるね、絶対。


「⋯⋯⋯確かに、嫌な気配するよな⋯。」


颯介も、一般人としては霊力が高い。

昔なら、修行すれば呪術師になれたかもしれない。

だから、霊感は強い。

気配感知⋯かな。


颯介と目を合わせて頷きあった後、彼女達に声を掛けて、伊藤さんからの話を伝える。

途端に2人の顔が青ざめる。


「⋯⋯え?嘘っ⋯」

「じゃ、じゃあ、ここ⋯⋯本当に何かいる⋯ってこと⋯?」

「⋯⋯それはまだ、分からない。もしかしたら、行き違いで⋯⋯⋯」


出るとこないな。

俺達、正面にいるし。


「それに、中で他の人が来るの、待ってるだけかもしれないし⋯⋯な。」


チラッと、颯介がこちらを見る。

ん?

途端に、彼女達も「あぁ⋯。」って。

⋯え?なに?

どういうこと?

俺の疑問はお構い無しに、颯介が続ける。


「⋯⋯とりあえず、怖いなら外で待っててもらっても良いよ。」

「え⋯⋯でも、風間くん達は行くんだよね?」


行きたくないです。


「うん。中を見てきて欲しいって、言われてるしね。」


そうだね、そうだったね。

彼女達は顔を見合せた後、恐る恐る口を開く。


「「⋯私たちも、行く!」」

「⋯⋯え?いいの?無理しなくても⋯」

「「王子が行くのに、怖いなんて言ってられないよ!」」


⋯⋯⋯⋯⋯だから、王子って何?

⋯うち、交換留学とかあったっけ?

俺が知らないだけ?

俺が休んだ日に何かあった?

チラッと、颯介を見たけど、俺の視線はスルーされた。


「なぁ、おい⋯」

「じゃあ、あまり離れないで、気を付けて行こう。」

「「うん!」」

「おい?」

「ここからは、俺と晴が前を歩くよ。⋯行くぞ、晴っ!」

「⋯⋯⋯⋯⋯おう。」


なんだか腑に落ちないけど、流されて歩き始める。

すぐに意識は旧校舎へと、向けられる。


旧校舎の昇降口前に来て、一応、念を込めて「⋯⋯祓え」と小さく呟く。

昇降口周辺の靄は一時晴れるが、すぐにまた奥の方から漂ってくる。


(⋯⋯やっぱり無理か。気晴らしにもならない⋯。)


今みたいに溜めもなく小声だと、言葉にたいした霊力を込められない為、効果は薄い。

ましてや、ここに漂う陰気は濃くて多い。

霊力が高いと言っても、あくまで一般人の中では、だ。

颯介もこの中を進むのは危険だ。

ましてや、たいした霊力の無い彼女達は⋯⋯。

後ろを振り返ると、真っ青な顔をして、ガタガタと震える山田さんと中村さん。


「⋯⋯うぅ⋯⋯寒い⋯⋯。」

「⋯頭⋯⋯痛い⋯⋯」


(マズイな。このまま一緒に進んでも、危険に晒すし⋯⋯俺も思うように除霊出来ない。かえって邪魔だ。⋯⋯だからといって放置も出来ないし⋯⋯)


横を見ると、颯介も顔色が悪い。


俺は、ポケットから護符を3枚取りだし、自分の髪を1本ずつ抜いては、それを護符で巻いて念を込める。


(ーー祓えっ!)


小さく折りたたまれた護符が一瞬淡く光る。

超簡易御守り。

自身の周りだけ、陰気を祓ってくれる。

御神体代わりに俺の髪の毛入りだから、簡易でもかなり持つはず。

3つ作り、それぞれに渡す。


「⋯⋯⋯え?なに?これ⋯⋯」

「御守り。うち⋯神社だからさ。一応、護符を持ってきたんだ。持ってるだけでも、気分的に変わるよ?」


3人が受け取ると、若干、表情が和らぐ。


「⋯⋯あ、本当だ。なんか⋯頭痛が収まった。」

「寒さも引いたよ!」

「おー⋯すげぇ⋯」

「あ、でも桜庭くんは?」

「ん?大丈夫。あと7枚あるから。」


作り手俺だし、御神体も俺だし。

効果抜群。

浅間大社のお墨付き!


「ありがたいけど、どんだけ持ってきたんだよ⋯。やっぱり怖いんじゃん⋯」

「怖いんじゃなくて、嫌いなの!」


そう、怖いんじゃない。

嫌いなだけである。


「⋯⋯もしかして、桜庭くんって霊感強い人?」

「⋯⋯んー、まぁ、神社の跡取りだからねぇー。ただ、あんまり言わないでね。うち、小さい神社だから。」


唇に人差し指を当てて、シーッてやったら、青かった顔が赤くなった。


「「わ、分かった!絶対言わないっ!」」

「あ、ありがとう。」


隣で頭を横に振る颯介は、見なかったことにしよう。

さて、問題はこれからだ。


「御守りは一時しのぎだと思ってね。出来れば、出た方が良いとは思うんだけど⋯。」


女子二人が不安げな顔をする。


「でも、まだ戻ってきてない子達がいるんだよね?」

「その子達、さっきの私達みたいに怖い思いをしてるんだよね?だったら、早く見つけてあげたい。」


うっ⋯⋯困ったなぁ⋯。

ここから出てくれた方がやりやすいんだけど⋯。

肩にポンッと手を乗せられ、横を見ると、颯介がこちらをジッと見る。

力のこもった目を見るに、颯介も彼女達と同じ意見のようだ。

はぁ⋯⋯。


「⋯⋯多分、先に入った人達も、そう奥までは行ってないはず。肝試しよりも、そっちの捜索を先にしよう。それに、まだあと1グループ残ってるし。その子達も、入ってこないようにしてあげないと。」

「あ、そうだね。確か私達が出発した15分後に出発だったよね?もうすぐ、10分だね。」

「て事は、5分後に出発だから⋯ここに着くまでは、10分ちょっとだね。」

「あんまり時間が無いな。早めに探そう。それで、みんな連れて、後ろのグループが来る前に出よう。」

「「うん!」」


⋯⋯⋯⋯そうは言うけど、難しいだろうな。

さっきから、物音一つしない。

中に人が居るなら、気を失ってるんじゃないか?

そんな状態で、10分弱で連れ出すなんて無理だろう。

なら⋯⋯1ヶ所に集めて、結界を張る。

そうして凌いでいる間に、俺が単独で元凶を見つけて祓う。


「⋯⋯まずは、他の子を探そう。⋯あ、あと、御守りは護符が白い間だけしか効力無いから。黒くなってきたら、俺に教えて。あと、無理はしないで。」

「「「分かった!」」」


この後の動きを決めて、早速行動に移し、近くの教室から調べ始めた。


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