第23話 出来れば妖怪で
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翌日。
本日も曇り空。
曇り空を見ていると⋯何か起きそうな不安が湧いてくるのは何でだろう?
ただの天気。
テレビでも、今年の梅雨入りは早くなるって言ってたし。
⋯⋯でも、なんか年々早まってない?
そして、長いんだよなぁ、梅雨。
これも温暖化の影響の一つって言ってたけど、梅雨はさぁ⋯⋯髪の毛がさぁ、なかなか直らなくて、千里にダメ出しされるんだよね⋯。
「おーい。現実逃避は終わったか?」
「⋯⋯逃避じゃない。ただの考え事。」
「ふーん。⋯⋯まさか、お前⋯⋯怖いんじゃないよな?」
「⋯ふっ。はははははっ!⋯⋯颯介くん、君は俺を誰だと思っているんだい?神社の跡継ぎだよ?幽霊が怖いなんて、あるわけないだろ?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ふーん⋯⋯。」
すんごい、ジト目で見られてるけど、ちゃんと誤魔化せたはず。
くそう。
幽霊嫌いな事に、神社とか関係無いよ。
見た目が怖いんだから。
よく分からない、恨み言を呟いてるのとかもいるし。
高尚なお寺の住職でも、大きな神社の宮司でも、嫌なものは嫌だと思うぞ!
「あ、桜庭くんと風間くーん!こっちでくじを引いてー!」
「分かったー!」
「⋯⋯⋯はーい。」
声を掛けてきたのは、昨日の伊藤さん。
目を向けると、部活後に肝試しに参加する生徒がちらほら。
20~30人くらいかな。
もちろん帰っていく子の方が多い。
バスの時間等で、参加したくても出来ない子もいたらしい。
バスならうちもなのに、真衣さん⋯⋯こういう時は親切じゃなくて良いのに⋯。
しかも、くじか⋯。
颯介と別になったら、どうしようかな。
クラス一緒でも、ほとんど話さない子ばかりだからなぁ。
ぼっちではなく、そこはほら、俺の感情って閉鎖的だからさ。
他人に興味がいかないから、仕方が無いよね。
さて、くじの結果は、4人1組で、颯介と同じグループだった!
今日の俺はツイてる!
まぁ、残り人数が少なかったから、確率が高かったって話だけど。
ズボンのポケットに手を入れて、昨日作った護符の存在を確認。
胸ポケットの生徒手帳の中には、昨日、那智から貰った那智の羽。
念を込めれば、羽にある霊力分の風を出せるらしい。
肝試しの話をしたら、「なんだか晴は、変な事に巻き込まれるからー。」って言って、翼から抜いてくれた。
⋯巻き込まれたくは無いし、使わずに済むのが一番だけど。
自身の事前準備を確認していると、少しザワついているのに気付く。
なんだ?
いつの間にか伊藤さんの元に行っていた颯介が、話し終えて戻ってくる。
「なに?なにかあった?」
「いや、前の組が出発した後、15分後に次の組が出発してるんだって。そうすると、3組目が出発する前に2つ前の組が帰ってきてたんだけど、ここ2組くらい帰ってきてないんだって。」
「⋯⋯⋯⋯出発前に、なんて不吉な⋯⋯。」
「だから、気にして中を見てきて欲しいって。俺達の後は女子だけだし。」
「⋯はぁ⋯了解。」
あぁ⋯⋯なんだか嫌な予感がする。
要するに、帰ってこない何かがあるんだろ?
旧校舎は防犯の意味もあって、窓は全部、ベニヤ板で塞がれてる。
昼間でも中は真っ暗だ。
そんな中に留まって、仲良くお喋り、なんてこと、あるわけない。
「⋯⋯どうせ出るなら、妖狐とかさ、あとは河童とか小豆洗いとか、無害な妖怪が良いな⋯⋯」
妖狐なら話せば分かるだろうし、河童や小豆洗いなら圧でお帰りいただく。
「⋯⋯妖狐が無害かは知らないけど、河童がなんで川じゃなくて山にいるんだよ⋯⋯」
「⋯⋯⋯気分転換?」
「どんな妖怪だ。頭の皿どうするんだよ。」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」
手に持っていたマイボトルを掲げると、「文明に染まりすぎだろ⋯」と呟いていた。
そんなことはどうでも良くて。
憂鬱な気分で、旧校舎のある裏山へ視線を向けるのだった。
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「はーい、じゃあ次は桜庭くん達ねー!⋯⋯大丈夫だと思うけど、気を付けてね。」
「はーい。」
「行ってきまーす。」
同じグループになった山田さんと中村さんが元気よく返事をする。
怖がらせるといけないから、彼女達にはまだ帰ってこないグループの事は話していない。
張り切って進む2人の後を、ゆっくり進む。
「⋯また1組帰ってきてないらしい。これで3組か⋯。」
「⋯って事は、12人?⋯結構いるな。」
「な。⋯⋯まじで何か起きてるのかなぁ⋯。」
「⋯お前、噂すると本当になるからやめろよ。」
「⋯⋯⋯あー⋯仕込みだと思いたい。」
「仕込み?」
「怖がらせるためのさ。実は隠れて脅かしてるだけでーす、とか。」
「⋯⋯それ、誰得なんだ?」
「だったら良いなーっていう、俺の希望的観測だよ。⋯ほら、妖怪や幽霊よりも、生きた人間の方が、マシだろ?」
「⋯⋯それは⋯⋯どうかな⋯⋯⋯。」
最近、嫌な話を聞いたり、嫌な事があった俺は、颯介の話に頷けない。
昨日も、那智から人の持つ欲や悪意、悪霊や怨霊について話を聞いたばかり。
悪戯が好きな小妖怪の方が断然可愛いだろう。
妖狐は、話しても分からなければ、環さんか千里を呼べば良いもんな。
今朝も、「学校の怪異程度なら、出てくることすらなく、問題無いとは思いますが⋯万が一何かあれば、召喚を。」と言っていたしな。
なんなら、玄と輝も強くなってきた。
うん、大丈夫な気がしてきた!
校舎裏を通り過ぎ、裏山への山道に入る。
「そういえば、山下さん。まだ休んでるみたいだぞ。」
⋯⋯⋯山下さん。
⋯⋯⋯ああ、あの⋯。
「⋯⋯⋯⋯そう。」
俺の中では、もう終わったことだったのに、思い出させないでよ。
まぁ、さっき現場通ったからな。
俺の中では既に切れた縁。
彼女がどうしてようが、どうでも良い。
唇も、昨日完治。
治癒力高いから、本当はもっと治りが早いけど、繰り返し傷が出来たから、3日もかかった。
颯介には「⋯治り早いな?」って言われたけど。
いやいや、遅いくらいだよ。
そうこうしているうちに、旧校舎が見えてきた。
古い、木造二階建ての校舎。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?」
驚きで、思わず足が止まる。
ーー旧校舎が、異様な陰の気で覆われている。
⋯⋯なんで?
⋯どうして?
いつの間に?!
背中に、悪寒が走る。
これは、何かが起きているレベルじゃない。
⋯⋯⋯でも、待てよ?
4日前に、俺、ここに近い校舎裏に来てたよな?
それに、今だって⋯⋯旧校舎が視界に入るまで、この異様さに気付かなかった。
何が起きてる?
この気配⋯⋯まず間違いなく、悪霊がいる。
複数か、単体なら⋯怨霊化?
この場所で?
一度は祓われ、封印だってされていたのに?
⋯⋯⋯もしかしたら、悪霊を呼ぶ何かが、ここにある?
「⋯⋯?どうした?晴。⋯⋯お前、やっぱり、怖いのか?」
「⋯⋯⋯⋯そう、かもしれない⋯⋯。」
いや、怖いです。
皆、この真っ暗な靄見えなくて良かったね⋯。
この中にいる、生徒達⋯⋯無事なのか?
あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ー!
こんなに真っ黒なの、初めて見るよ!
やっぱり、参加するんじゃなかったぁ!!




