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神の箱庭へようこそ!~創って、護って、派遣して~  作者: 緋桜
第一章 まだ始まってない

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第23話 出来れば妖怪で

❀ ❀ ❀


翌日。

本日も曇り空。

曇り空を見ていると⋯何か起きそうな不安が湧いてくるのは何でだろう?

ただの天気。

テレビでも、今年の梅雨入りは早くなるって言ってたし。

⋯⋯でも、なんか年々早まってない?

そして、長いんだよなぁ、梅雨。

これも温暖化の影響の一つって言ってたけど、梅雨はさぁ⋯⋯髪の毛がさぁ、なかなか直らなくて、千里にダメ出しされるんだよね⋯。


「おーい。現実逃避は終わったか?」

「⋯⋯逃避じゃない。ただの考え事。」

「ふーん。⋯⋯まさか、お前⋯⋯怖いんじゃないよな?」

「⋯ふっ。はははははっ!⋯⋯颯介くん、君は俺を誰だと思っているんだい?神社の跡継ぎだよ?幽霊が怖いなんて、あるわけないだろ?」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ふーん⋯⋯。」


すんごい、ジト目で見られてるけど、ちゃんと誤魔化せたはず。

くそう。

幽霊嫌いな事に、神社とか関係無いよ。

見た目が怖いんだから。

よく分からない、恨み言を呟いてるのとかもいるし。

高尚なお寺の住職でも、大きな神社の宮司でも、嫌なものは嫌だと思うぞ!


「あ、桜庭くんと風間くーん!こっちでくじを引いてー!」

「分かったー!」

「⋯⋯⋯はーい。」


声を掛けてきたのは、昨日の伊藤さん。

目を向けると、部活後に肝試しに参加する生徒がちらほら。

20~30人くらいかな。

もちろん帰っていく子の方が多い。

バスの時間等で、参加したくても出来ない子もいたらしい。

バスならうちもなのに、真衣さん⋯⋯こういう時は親切じゃなくて良いのに⋯。


しかも、くじか⋯。

颯介と別になったら、どうしようかな。

クラス一緒でも、ほとんど話さない子ばかりだからなぁ。

ぼっちではなく、そこはほら、俺の感情って閉鎖的だからさ。

他人に興味がいかないから、仕方が無いよね。

さて、くじの結果は、4人1組で、颯介と同じグループだった!

今日の俺はツイてる!

まぁ、残り人数が少なかったから、確率が高かったって話だけど。

ズボンのポケットに手を入れて、昨日作った護符の存在を確認。

胸ポケットの生徒手帳の中には、昨日、那智から貰った那智の羽。

念を込めれば、羽にある霊力分の風を出せるらしい。

肝試しの話をしたら、「なんだか晴は、変な事に巻き込まれるからー。」って言って、翼から抜いてくれた。

⋯巻き込まれたくは無いし、使わずに済むのが一番だけど。


自身の事前準備を確認していると、少しザワついているのに気付く。

なんだ?

いつの間にか伊藤さんの元に行っていた颯介が、話し終えて戻ってくる。


「なに?なにかあった?」

「いや、前の組が出発した後、15分後に次の組が出発してるんだって。そうすると、3組目が出発する前に2つ前の組が帰ってきてたんだけど、ここ2組くらい帰ってきてないんだって。」

「⋯⋯⋯⋯出発前に、なんて不吉な⋯⋯。」

「だから、気にして中を見てきて欲しいって。俺達の後は女子だけだし。」

「⋯はぁ⋯了解。」


あぁ⋯⋯なんだか嫌な予感がする。

要するに、帰ってこない何かがあるんだろ?

旧校舎は防犯の意味もあって、窓は全部、ベニヤ板で塞がれてる。

昼間でも中は真っ暗だ。

そんな中に留まって、仲良くお喋り、なんてこと、あるわけない。


「⋯⋯どうせ出るなら、妖狐とかさ、あとは河童とか小豆洗いとか、無害な妖怪が良いな⋯⋯」


妖狐なら話せば分かるだろうし、河童や小豆洗いなら圧でお帰りいただく。


「⋯⋯妖狐が無害かは知らないけど、河童がなんで川じゃなくて山にいるんだよ⋯⋯」

「⋯⋯⋯気分転換?」

「どんな妖怪だ。頭の皿どうするんだよ。」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」


手に持っていたマイボトルを掲げると、「文明に染まりすぎだろ⋯」と呟いていた。


そんなことはどうでも良くて。

憂鬱な気分で、旧校舎のある裏山へ視線を向けるのだった。


❀


「はーい、じゃあ次は桜庭くん達ねー!⋯⋯大丈夫だと思うけど、気を付けてね。」

「はーい。」

「行ってきまーす。」


同じグループになった山田さんと中村さんが元気よく返事をする。

怖がらせるといけないから、彼女達にはまだ帰ってこないグループの事は話していない。

張り切って進む2人の後を、ゆっくり進む。


「⋯また1組帰ってきてないらしい。これで3組か⋯。」

「⋯って事は、12人?⋯結構いるな。」

「な。⋯⋯まじで何か起きてるのかなぁ⋯。」

「⋯お前、噂すると本当になるからやめろよ。」

「⋯⋯⋯あー⋯仕込みだと思いたい。」

「仕込み?」

「怖がらせるためのさ。実は隠れて脅かしてるだけでーす、とか。」

「⋯⋯それ、誰得なんだ?」

「だったら良いなーっていう、俺の希望的観測だよ。⋯ほら、妖怪や幽霊よりも、生きた人間の方が、マシだろ?」

「⋯⋯それは⋯⋯どうかな⋯⋯⋯。」


最近、嫌な話を聞いたり、嫌な事があった俺は、颯介の話に頷けない。

昨日も、那智から人の持つ欲や悪意、悪霊や怨霊について話を聞いたばかり。

悪戯が好きな小妖怪の方が断然可愛いだろう。

妖狐は、話しても分からなければ、環さんか千里を呼べば良いもんな。

今朝も、「学校の怪異程度なら、出てくることすらなく、問題無いとは思いますが⋯万が一何かあれば、召喚を。」と言っていたしな。

なんなら、玄と輝も強くなってきた。

うん、大丈夫な気がしてきた!


校舎裏を通り過ぎ、裏山への山道に入る。


「そういえば、山下さん。まだ休んでるみたいだぞ。」


⋯⋯⋯山下さん。

⋯⋯⋯ああ、あの⋯。


「⋯⋯⋯⋯そう。」


俺の中では、もう終わったことだったのに、思い出させないでよ。

まぁ、さっき現場通ったからな。

俺の中では既に切れた縁。

彼女がどうしてようが、どうでも良い。

唇も、昨日完治。

治癒力高いから、本当はもっと治りが早いけど、繰り返し傷が出来たから、3日もかかった。

颯介には「⋯治り早いな?」って言われたけど。

いやいや、遅いくらいだよ。


そうこうしているうちに、旧校舎が見えてきた。

古い、木造二階建ての校舎。


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?」


驚きで、思わず足が止まる。


ーー旧校舎が、異様な陰の気で覆われている。


⋯⋯なんで?

⋯どうして?

いつの間に?!


背中に、悪寒が走る。

これは、何かが起きているレベルじゃない。


⋯⋯⋯でも、待てよ?

4日前に、俺、ここに近い校舎裏に来てたよな?

それに、今だって⋯⋯旧校舎が視界に入るまで、この異様さに気付かなかった。

何が起きてる?


この気配⋯⋯まず間違いなく、悪霊がいる。

複数か、単体なら⋯怨霊化?


この場所で?

一度は祓われ、封印だってされていたのに?


⋯⋯⋯もしかしたら、悪霊を呼ぶ何かが、ここにある?


「⋯⋯?どうした?晴。⋯⋯お前、やっぱり、怖いのか?」

「⋯⋯⋯⋯そう、かもしれない⋯⋯。」


いや、怖いです。

皆、この真っ暗な靄(もや)見えなくて良かったね⋯。

この中にいる、生徒達⋯⋯無事なのか?


あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙ー!

こんなに真っ黒なの、初めて見るよ!

やっぱり、参加するんじゃなかったぁ!!

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