↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の箱庭へようこそ!~創って、護って、派遣して~  作者: 緋桜
第一章 まだ始まってない

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/45

第17話 世界が違ったら、うちはヒロイン(side:由美)

❀ ❀ ❀

(side:由美)


2030年4月——。

うち、ゆ(・)ん(・)こと、山下由美。

花の女子高生でぇすっ!

この4月で、2年生になりましたっ!

うち、言葉を考えて喋るとか苦手だから、話が飛んだりしても許してね!

日本語って難しいっ!


聞いて聞いて!

ゆん、もの凄くカッコ良い人、見つけちゃったっ!きゃっ!

その人の名前は、2年A組の桜庭晴人くん♡

晴人くん⋯ううん、愛を込めてハルくんって呼ぼう。

ハルくんのお友達も呼んでるから、大丈夫!


ハルくんは1年生の時から有名人だった。

「にこやかなのに人を寄せつけないオーラの王子様系イケメン」として。

ゆんが入ってる、あんまり行けてない演劇部でも、よく名前が上がってた。

なんでも、近くにいると微かに花の香りがするって事で、「花の王子」って、女の子達は陰で呼んでたの。


⋯⋯柔軟剤じゃない?それか、シャンプー?


花の香りの男の子なんて、居るわけないじゃん!!

男の子って、汗の匂いか、柔軟剤の匂いでしょ?


気にはなったけど、1年生の時はクラスどころか校舎も違ったから、ゆんは会ったこと無かったの。

けど、2年生になって、コース選択で文系コースを選んだら、彼も文系にしたみたいで、クラスが近くなって見掛けるようになったのっ!


穏やかな目元、白い肌、茶というより黄色に近い薄い髪。

お友達の風間くんといる時に見せる、明るい笑顔。

“華やいだ”とか、“花のような”って言葉がぴったりな凄く綺麗な笑顔。

ボーッと見惚れてる間に、彼が横を通りすれ違う。


⋯!!は、花の香り!!

確かに、彼から微かな花の香りがした。

薔薇のような強い匂いじゃない。

つい最近もどこかで⋯⋯⋯⋯⋯あ!桜だっ!

もう、ほとんど散ってしまったけど、学校前の桜並木を歩いた時に嗅いだ匂いだっ。


やだぁーもぉー凄くかっこいい!!

ドキドキ、バクバク、心臓が鳴りっぱなし。

これ⋯⋯“恋”だっ!

変じゃないよ、恋だよっ!!

ゆんは今日!恋に落ちましたっ!!


それからのゆんは、用もないのにA組の前を彷徨い(うろついて)てハルくんを探してみたり、A組の男の子に声を掛けて友達になったり(残念ながら、ハルくんのお友達の風間くんは、あんまり反応してくれなかったの)、通学時間を探ったり、A組の子に頼んで、ハルくんの教科書を借りてもらったり、A組の子と話すついでに声掛けましたぁー的に話し掛けたりと、1ヶ月の間、陰ながら努力したの。

けど、ハルくんは無関心で⋯⋯くすんっ。

どうやらハルくんは、恋愛に興味が無いんだってA組の子から聞いた。

え?!なにそれっ!


ちょっとびっくりしたけど、よく考えたら、そんな人いるわけ無いよっ!

ハルくんはモテるから⋯⋯きっと、断る口実だねっ!

だったら、ゆんが目を覚ましてあげちゃうっ!

ゆん⋯⋯自慢じゃないけど、結構可愛いと思うの。

髪もふわふわでぇー、目もぱっちりとした、クリクリお目目。

小柄なのに、出るとこは出てるしー、お胸とかねっ!

今までだって、男の子達はすぐに仲良くなれちゃうしぃー。

女子はイマイチだけどぉー、ハルくんは男の子だしぃ。

ゆんが本気を出せば、ハルくんも恋に目覚めるに違いないよっ!

きゃぁぁぁーーっ、どうしようっ!ハルくんの初恋、ゆんが貰っちゃうかもぉ~♡

そうしたら、責任取って⋯卒業したら結婚しちゃうかもぉ~!


というわけで、ゆんはその日から、ハルくんに猛烈アピールを始めたの♡

でも⋯⋯⋯結果は全敗。

何度告白しても、何度デートに誘っても、断られ続けた。

なんでぇ~?!

ゆんとハルくんは赤い糸で結ばれてるはずでしょ?!

こんなのおかしいっ!

断り文句はやっぱり「恋愛に興味無いから」だった。

何度めかの告白からは「恋愛にも君にも興味無いから」になって、「しつこくて迷惑」まで言われた。

⋯⋯⋯これは、試練よっ!ハルくんみたいな王子様を手に入れるには、それだけの苦労がいるのよっ!

絶対に、ゆんは、諦めないっ!!


その後も一日に何度も突撃した結果、約1週間前、ついに!ハルくんが!OKしてくれたっ!

やったぁぁぁぁーっ!!

ゆんの勝ちよぉーーっ!!

これで、晴れてゆんはハルくんの彼女!!

ハルくんはゆんの彼氏!!

何故かとても疲れた顔のハルくんが、なんだか「お試しなら」って言って、色々約束させられたけどもっ!

今は良いの!


付き合ったら、すぐにゆんのこと好きになるんだからっ!

せっかく恋人になれたのに、金曜日だったから、すぐに土日になっちゃって、会えなくてすっごく寂しかった。

ぴえん。

けど、会えない時が二人を強くするって言うしね!


そして、待ちに待った月曜日っ!

一緒に教室へ行こうと、正門を入った所で、ハルくんを待つ。

びっくりするかなっ?!

感激して、抱きしめられたらどうしようっ?!

ワクワク、ドキドキしていると、ハルくんがいつも登校する時間っ!

あ、来たっ!

何故か、こっちを見てピタリと足を止めるハルくん。

あれ?

照れてるのかな???

私は両手を振ってハルくんに話しかける。


「ハッルく~ん!おっはよぉ~♡⋯⋯きゃあ!」


突然の突風で、髪の毛が顔に張り付き、前が見えなくなる。

あ!やだ!スカートもめくれてるっ!

慌てて、手で押えてハルくんに笑いかけると、反応も無く、挨拶も無く、さっさと教室に行ってしまった。

⋯⋯なんでぇ?


お昼や長い休み時間に会いに行っても、全然会えなくて、結局、また週末を迎えた。

⋯⋯⋯え?なんで?前よりも会えないんだけど?


週末は、ハルくんのこの1週間の行動分析に当てた。

来週はっ!絶対っ!!

ラブラブするんだからぁ!!


そして迎えた、月曜日。

ようやく、お昼にハルくんを見つけたっ!

ご飯、一緒に食べたかったのに、ハルくん達はもう食べ終わるところだった。

えーん、せっかく見つけたのにぃ!

もっと一緒に居たいって甘えてみたら、1週間前の約束の話をされた。

え?あれ、⋯本気だったの?!

そんな、まさかっ!

全然一緒に居られないし、こんなんじゃ、好きになってもらえないじゃないっ!!


悲しくなって教室で泣いてたら、男の子達が寄ってきて、励ましてくれたっ。

そのうち、一人の男の子が言ったの。


「既成事実、作っちゃえば?」


って。

え?なにそれ?

私がよく分からない顔をしてると、

「だから、うーん、とりあえず、キスでもぶちかましてみたら?」


キス⋯⋯⋯キス?!


「え?!キス?!そんな⋯⋯ゆん、自分からしたことないよっ!そんなの、男の子がするもんでしょ?!」


顔を赤くして言ったら、男の子達が、次々に、その男の子に賛成してくる。

⋯⋯えっと、皆、名前なんだっけ?


「いやいやいや、俺、ゆんちゃんにそんな事されたら、イチコロだよ!」

「俺も俺もっ!嬉し過ぎて舞い上がっちゃう!」

「桜庭も男なんだしさ、口ではなんて言っても、忘れられなくて惚れちゃうよっ!」


皆の意見に、少しずつ心が傾く。

ハルくんが⋯⋯イチコロ?

やだ⋯⋯⋯そんなの、嬉しいっ!!


「そ、そうかな⋯⋯?⋯で、でも、ハルくん、そういうの嫌だからしないって約束が⋯⋯。」


さっき、ハルくんに言われたことを思い出してシュンとなる。

あの時のハルくん、冷たい目をしてた⋯⋯。

あんな目、もう見たくないよ⋯。


「大丈夫だって!!絶対に、ゆんちゃんの気持ち、届くよっ!」

「そうだよ!あ、でも、気になるならさぁ、場所とか考えてさぁ⋯」

「そうだな。あと、風間だな。いつも一緒に居るし。」

「あ、あいつ、部活入ってるだろ?確か⋯合気道!明日は活動日だ!」

「じゃあ、チャンスだ。ね?ゆんちゃん。どうする?やるよね?それとも⋯やめる?」

どんどんと話が進んでいく⋯。

どうしよう⋯⋯嫌われたくない。

けど⋯⋯⋯⋯。


「⋯⋯⋯⋯⋯ゆん、やってみるっ!」

「おおー!その意気だよっ!」

「よし、作戦立てよう!!」



その後は、皆で作戦会議。


遠くの席に居る女子達が「桜庭くん、かわいそう⋯」って言ったような気がしたけど、聞こえないっ!

だって、ゆんはハルくんの、彼女なんだからっ!

きっと、明日から素敵な恋人になれるよっ!

きっと⋯⋯!



結果は⋯⋯⋯⋯⋯⋯失敗に終わった。

キスは出来た。

けど、その余韻に浸るまでもなく⋯⋯⋯突き飛ばされた。

お付き合いも終了した。


ハルくんは⋯⋯⋯⋯物凄く、怒ってた。

あんな怖いハルくんは初めて見た。

ハルくんの近くに行くと、あまりの拒絶に、全身がビリビリしたように感じた。

まるで、ハリネズミが、全力で威嚇しているみたい。


ハルくんが去った後、口を血だらけにしたハルくんが心配になってこっそり後を追うと、⋯⋯そこには風間くんが居た。

そのまま、風間くんが、ハルくんを連れて校舎の中に戻って行く。

保健室に連れていくんだろう。

良かった、風間くんがいて。


さっき、ほんの少しだけ見えたハルくんの横顔は、泣いてるようで、とても傷付いた顔をしてた。


私は、一人になりたくて校舎裏に戻る。

様子を見に、ついてきてくれてた男の子達は居なくなってた。


⋯⋯⋯私がハルくんを傷付けた。

⋯⋯⋯私は、ハルくんとの約束を破った。

⋯⋯⋯私が悪い。



⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯でも。


『⋯⋯生理的に嫌悪する。』



なんで、そんな事言われなきゃいけないの?

どうして、そんなこと言われなきゃいけないの?

なんで、付き合ってくれるって言ったのに、会ってくれないの?

なんで、私を好きになってくれないの?

なんで? なんで?

なんで!!?


「っ⋯⋯うぅっ⋯⋯うわぁぁぁ~~~んっ⋯⋯!!」


なんで、なんで、なんで⋯⋯と頭の中はそればっかりが駆け回る。

なんで?どうして?と。


どれくらい、そうしてただろう⋯。

泣き疲れてくると、ハルくんを想う気持ちが、段々と憎らしく思えてくる⋯。

私が、こんなに好きになってあげたのに。

こんなに、可愛い私のどこが不満なの?

恋愛に興味が無いとか言って、本当は不能なんじゃない?!


どんどんと、気持ちがマイナスへと傾いていく。

⋯⋯⋯ゆんに、恥をかかせたこと、いつか絶対、後悔させてやるんだから⋯⋯。


ジャリッ


その時、後ろで土を踏む音がした。

振り返ると、見たことのない知らない男性が立っていた。

⋯⋯⋯大学生くらいかな?それとも、もう少し上?


「⋯⋯⋯君、山下由美さん?」

「⋯⋯そうですけど⋯⋯なにか?⋯⋯あなたは誰?」


この人、なんで私のこと知ってるの?

めちゃくちゃ怪しいじゃない⋯。

なんで、こんな時に皆居ないのよっ!


「怪しいものじゃないよ。」


怪しい人は、自分で怪しい人だなんて名乗らないでしょ!


「⋯⋯うち、もう帰るんで⋯⋯」


横を通り抜けようとしたら、手を伸ばして防がれる。

なんなのこの人⋯。

絶対、危ない⋯。


一歩後退った時、男はまた口を開いた。


「君、桜庭晴人と付き合ってるんだって?」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?」


ハルくん⋯?

この人、ハルくんの事まで知ってるの?


「あなたには関係無い⋯」

「さっき、こっぴどく振られてたみたいだけど⋯」

「見てたの?!⋯だいたい、あなた部外者でしょ?!何でこんなところにいるのよ!」

「まぁまぁ。君にとっても悪い話じゃないと思うんだけどな。」

「⋯悪いけど、胡散臭い人の話を聞いてる暇なんてないのよっ!どいてっ!」


うちが声を荒らげると、その男はニヤッと笑った。


「⋯⋯君さぁ。桜庭晴人に⋯⋯復讐、したいと思わない?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。