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神の箱庭へようこそ!~創って、護って、派遣して~  作者: 緋桜
第一章 まだ始まってない

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第14話 晴れのち曇り

❀ ❀ ❀


「ハルくん、見ぃ~つけたぁ~~っ!」


ぞわぞわぞわっ


その甘ったるい声を聞いた瞬間、背筋をぞわぞわと寒気が這い上がる。

全身に鳥肌が立ち、それを抑えるように両手で腕を摩る。


(勘弁してくれよ、もう⋯)


せっかく見つからないように、あちこち場所を変えてお昼を食べていたのに、どうやったのか、結局山下さんに見つかってしまった。


「ハルくん、なんでゆ(・)ん(・)とご飯食べてくれないの?!ゆん、彼女なのにぃ~!」


(⋯めんどくさい⋯⋯)


「⋯⋯ゆん⋯⋯?」

「⋯なんか、自分のことらしい⋯。」

「へぇ⋯⋯。」


聞くだけ聞いて、どうでも良かったらしい。

颯介は既に興味をなくし、弁当の残りを食べ進める。

さっきまでだって、大した会話をしてたわけじゃないけど、今の俺達の空気は急激に冷え込んでいってる。

今日の天気は快晴だけど、俺達の頭上だけ暗雲が立ち込めている。

さっさと避難しなければ。

1.5倍速で、食べ進める。


「ねぇねぇ、ハルくん。ゆんも、ここで食べていい?ね~え~、いいよね?」

「あ、もう食べ終わるから、居てもいいけど、俺達は行くよ。」

「ええ~!⋯じゃあ、明日は?あ、明日、お弁当作ってきてあげるぅ~!」

「いや、明日は食堂行くから。」

「ええ~!ゆんも行くー!」

「⋯⋯ごめんだけど、昼は颯介と食べるから。」


颯介の名前を出すと、隣で颯介がビクってなった後、食べ物を喉に詰まらせて、噎せている。

悪いとは思うけど、巻き込むからな。

山下さんを見ると、明らかに不機嫌な顔。


「風間くんばっかり、ずるいっ!」

「ずるい?」

「ずるいって⋯」


山下さんの言いように、不快感が湧き起こる。

⋯もう、湧いてはいたけど、更に。

噎せていた颯介も、怪訝な顔だ。


「だって、いっつも一緒じゃない!⋯ゆんだって、ハルくんと一緒にいたいのにっ!うち、彼女なんだよ?!」

「⋯⋯⋯はぁ⋯⋯。」


俺は、望んでない。

ちょっと面倒だったから頷いただけ。

それが、こんな事になるとは⋯⋯考えが足りなかったな。

あれだけ付きまとわれたんだから、お試しでも付き合えば、更に酷くなるって、なんで思わなかったんだろう。


「⋯山下さん。俺の条件、覚えてる?」

「⋯条件?」


なにそれ、みたいな顔しないでください。


「俺に恋人らしいこと求められても困るし、する気もない。今までと変わる気もない。それを強要しないなら、1ヶ月だけ。けど、それを破るなら、この話は無かったことに。そう、言ったよね?それで良いって、言ったよね?」


山下さんの勢いが萎えていく。


「で、でも⋯こんなに放置されるなんて、思ってなかったし⋯」

「俺はね、何度も断ったよ?恋愛に興味が無いって。」

「だけど⋯」

「⋯ふぅー⋯。1週間経って、残り約3週間。どうする?続ける?やめる?」


是非、やめると言って欲しい。

そんな俺の願いは、彼女の言葉に虚しく散ってしまった。


「そんなの⋯や、やめないっ!」

「ええー⋯⋯。」

「絶対、好きにさせてみせるんだからぁぁぁぁっ!!」


そのガッツは別の所に発揮しては如何でしょうか⋯?

本当に、もしあの日に戻れるなら、1週間前の自分を揺さぶって、「おい、自分。諦めんな!めんどくさいからって考えを放棄するな!もっと面倒になるぞ!」って言ってやりたい。

さすがに、いくら陰陽術でも、過去に戻ることは出来ない。


「はぁー⋯。」


大きな溜息を吐くと、横から視線を感じる。


「⋯ん?どうした?」

「お前⋯⋯あんまり山下さんを邪険にするの、良くないかもしれない。」

「⋯え?まさか⋯お前まで、クラスの皆みたいに「ちゃんと相手してやれ」って、言うんじゃないよな?」

「いや、俺は思わないけど⋯。ただ、お前、嫌な噂が流れ始めてるぞ?」

「噂?」

「うん。⋯お前が、山下さんを弄んでるって。」

「⋯はあ?」

「ほら、山下さん、お前と付き合ってるって言いふらしてるって言っただろ?けどお前⋯先週ずっと避けてたじゃん。彼女もお前を探し回ってたし、お前が構ってくれないって、泣いて愚痴ってたみたいでさぁ⋯。」

「それで?」

「山下さん、俺達や一部の女子には、煙たがられてるけど、男子には割と人気あるらしいんだよ。金曜に部活で聞いた話だと、既にあの子の周りの取り巻きがかなり怒ってるって⋯言ってたぞ?」

「そんなの、いい迷惑なんだけど⋯。」

「まぁ、そうだろうけど⋯。俺はお前のこと知ってるし、山下さん苦手だから、お前の気持ちは分かるけど、このままだと⋯⋯かなり面倒な事になりそうだぞ?」

「えぇー⋯。」


颯介に、哀れみのこもった目を向けられる。


怒りにも似た、なんとも言えない負の感情が、俺の中に蓄積された。


挿絵(By みてみん)

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