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神の箱庭へようこそ!~創って、護って、派遣して~  作者: 緋桜
第一章 まだ始まってない

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第13話 無償労働はよくない

❀ ❀ ❀


「⋯⋯⋯⋯お前、マジでなにしてんの?どんどん顔色悪くなってるけど⋯⋯大丈夫なのか?」


颯介と顔を合わせると、開口一番に心配された。

それなー。

俺もさっき、鏡を見てそう思った。

あまりの体の不調に、


「⋯これってもしかして呪いかな?」


って言った俺に、明さんが微笑む。


「ただの寝不足ですね。だいたい⋯三徹すると、そうなります。」


⋯⋯⋯経験者だな、きっと。


学校に着くまでのバスでの仮眠も全く足しにならず、颯介に引きずられるようにバスを降りた。

学校に着くなり近寄ってきた山下さんを、華麗にスルーした後、教室に入って席に着くなり、勢いよく突っ伏した。

授業が始まっても、微動だにしない俺を心配した教師と、見かねた颯介に保健室に連れていかれて、そのまま午前中は寝て過ごした。


たっぷり寝たおかげか、昼には復活!

腹の虫が鳴ったので、先生に礼を言って保健室を後にする。

様子を見に来た颯介と連れ立って食堂で昼食を摂る。

その後は、山下さんを避けながら教室に戻り、次の授業が移動教室の為、そそくさと教室を出て移動する。

そしてまた放課後は、山下さんに見つからないうちに、颯介とさっさと帰る。


家に帰ってからは、明さんが居れば、修行を見てもらったり、居ない時は、箱庭の世界へ行ったり、セキュリティについて考えたり、村のセキュリティチェック⋯狐像の置いてある祠をみて周ったりして数日過ごすと、週末になった。


❀


「⋯安産祈願、安産祈願⋯⋯家内安全、家内安全⋯⋯無病息災、無病息災⋯⋯火難除け、火難除け⋯⋯」


俺は今、とても集中している。

片手に1つずつ、祈祷前の御守りを持ち、呟きながら霊力を高め、額に近付けた時に、念と祈りを御守りに込める。

と、いう作業を、社務所の奥の間で繰り返している。


「⋯⋯⋯今日は何を?」


不思議そうに、祈祷前の御守りがたくさん入ったダンボールと、念を込め終わった後の御守りが入ったダンボールを見比べる明さん。

ああ、明さんが居る時にこれをやるのは初めてかもしれない。


「これは、善意のボランティアです。」

「⋯⋯ボランティア?」

「はい。中学入った頃から年に2回、浅間大社の方から、祈祷というか、御守りや御札へ祈念?を頼まれてるんです。」

「ああ、浅間大社の宮司殿は神格のことを神託によって知っているのでしたね。⋯それで⋯⋯この量を?」

「本当は、もっとやって欲しいみたいですけど、さすがに無理なので、これは神職さんや特別な方へお渡ししたり、浅間大社や分院に置いたりする分だそうです。」

「⋯⋯それを無料で?」

「はい、ボランティアです。」

「⋯⋯⋯⋯これ、後で郵送するんですか?」

「明日の夕方、取りに来るそうですよ。本当は先週受け取っていたので、コツコツやってれば良かったんですけどねー。」

「いえいえ、問題はそこじゃないので。これ、明日、私が、お渡ししておきますね?」

「え?でも」

「お渡し、しておきますね?」

「よろしくお願いします!」


ニコッと笑った明さんの後ろに、般若の幻覚が見えた気がした。

浅間さん、ご愁傷様ですーー。


浅間大社は富士山にある、本家本元の「木花之佐久夜毘売」を祀る神社だ。

全国に分院も沢山ある、大きな神社。

うちは、そことは関係は無い。

けど、俺は「木花之佐久夜毘売」の神格を受け継いでいる。


しかも、原初神直々に。


そして、後々問題にならないように、天之御中主神様は浅間大社にも神託を降したのだった。

だから、代々の宮司さんはいずれ桜庭家に「木花之佐久夜毘売」の神格持ちが生まれることを知っていたのだ。

そして、俺が生まれた時に、それを知らせる神託が、浅間大社にもう一度もたらされた。

これは、いずれ訪れる役目の為だそうだ。


だからといって、浅間大社に祀られている「木花之佐久夜毘売」が偽物な訳ではない。

偽物ではないが、今現在、この身に神格を備えている俺が御守りや御札に念を込めた方が、効き目が良い気がする。

⋯ということで、宮司さんに「申し訳ないですが、少しだけ手伝って貰えないでしょうか?」と頼まれ、早4年⋯年々数、増えてない?と、思っていたところで、明さんに見つかった。


⋯⋯⋯もしかしたら、来週辺りにバイト料が入るかもしれない。

神様、仏様、明様。

いつもありがとうございます。


そんな風に、のんびり?週末を過ごしていた俺は、少しずつ暗雲が立ち込め始めていることなど、この時はまだ、知る由もなかった⋯。


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