第12話 風と共に去ってはくれない
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ザッパァーーンッ
「ふぅーーーーっ⋯⋯。」
お湯に浸かりながら夜空を見上げる。
他人が立ち入れない区域だからこそ出来る、我が家自慢の露天風呂。
夕飯の間にひと雨去ったようで、今は少し欠け始めた月と満天の星。
雲が去って輝く夜空を見ていると、少しだけ気分も晴れる。
(面倒なことも、雲みたいに流れて行ったらなぁ~⋯。)
長かった今日一日を、振り返る。
まずは学校。
⋯あー⋯行きたくない⋯。
明日もまた逃げないと⋯。
なんで、あの時折れちゃったんだろ⋯。
後悔しかない。
早く1ヶ月経たないかな⋯⋯。
それから⋯今後は通学時も、気を付けなきゃなんだよね。
相手が呪術師なら、術を発動する時に気付けると思うんだけど⋯こればかりはその時にならないと分からないな。
なにせ、俺はまだ、父親以外の誰かに悪意を向けられたことも、誰かに呪術を向けられたこともない。
そういえば、俺の霊力制御が雑だから、今度明さんに、修行を手伝ってもらうことになったんだった。
少しでも経験積めると良いな⋯。
あとは、相手が一般人だった場合。
家にいる時なら、セキュリティは万全だけど、村としては、今の状態なら万全とは言えない。
それに、もしも相手が村の人なら⋯最悪、神社の中ですら安全とは言えなくなる⋯。
けど、悪意で判断しないならどうやってセキュリティ強化する?
血脈で判断すると、糸川さんは村に入れなくなる⋯。
(⋯朝はのんびりしてたのになぁ~⋯⋯。風と共に去りぬ⋯⋯⋯。あ゙ぁ゙~⋯ダメだ⋯頭が考えるのを放棄してる⋯⋯。)
大きく溜息を吐いた後、のぼせないうちに風呂を後にする。
5月下旬といえど、夜の露天風呂は少し肌寒い。
(⋯熱出たら、明日休めるんじゃ⋯。)
何とか、学校を休もうと画策しながら、長い一日がようやく終わろうとしていた。
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ここ最近とほぼ同じ夢を見て、翌日の朝を迎える。
「またか⋯。」
起きたばかりなのに、身体の疲労は取れてないし、眠気は昨日よりも酷い。
起き上がりたくても、身体が重い⋯。
何故毎日見るのだろうか?
今まで、こんなに続けて同じ夢を見ることは無かった。
(⋯何かの暗示のようにも思えてくるな⋯⋯。)
それに、今日はいつもより長い夢だった。
昨日までは、崩壊した地上を空から見下ろしていたのに、今日は、その後に、何故か自分が富士山に向かい、
火口の中に飛び込んでいったのだ。
(いや、普通に有り得ないし。そんなことしたら、陰陽師とか関係無く死ぬ⋯⋯⋯。)
頭を振りながら、何とか布団から抜け出した。
考えても、分からないものは分からない。
夢のことは、この際考えないことにしよう。
起きてもいないことだし、起きたとしても、実際、どうしようもないことなのだ。
夢は夢。
今は、現実問題と向き合わなくては。
そう、グダグダしてると、朝ごはんが食べられない。
(頑張れ、俺!)
動きたくないと、駄々を捏ねる身体に鞭を打ち、時計を見ながら朝の支度に取り掛かった。




