2026年9月20日
## 2026年9月20日
朝から、空が少し暗かった。
カーテンの隙間から入ってくる光も弱くて、いつもの日曜日より部屋の中が静かに感じる。
ありさはベッドの上でスマホを眺めながら、しばらく考えていた。
「……どうしよう」
隣の部屋から、ゆいの声がする。
「何が?」
「今日」
「今日?」
「せっかく休みなのに」
ありさはスマホの画面を見せた。
天気予報には、雨の予報。
台風の進路も表示されている。
「外、行けないかなあ」
「無理して出かけなくてもいいんじゃない?」
「でも、昨日はあんなに楽しみにしてたのに」
「何をするか決めてなかったじゃん」
「決めてたよ」
「何を?」
「……楽しいこと」
「それは予定じゃないよ」
ゆいが笑う。
ありさは少しだけ頬を膨らませた。
「じゃあ、ゆいは今日どうしたい?」
「私は……」
ゆいが窓の外を見る。
風で木の葉が揺れていた。
「家でゆっくりしたいかな」
「えー」
「だって雨だよ」
「雨だけならまだいいけど……」
ありさも窓を見る。
しばらく考えてから、急に顔を上げた。
「じゃあ、家で遊ぼう!」
「何して?」
「それは……今から考える!」
「結局そこは決まってないんだ」
二人で笑う。
ありさはリビングへ行くと、棚を片っ端から開け始めた。
「ゲーム……ない」
「この前やったじゃん」
「じゃあ、カード!」
「どこ?」
「……ない」
「ありさ、片付けたの?」
「片付けたよ」
「どこに?」
「……分かんない」
「それは片付けたって言わない」
ゆいが呆れながら棚を探す。
すると、奥から小さな箱が出てきた。
「あった」
「何それ?」
「カード」
「えっ、本当に?」
ありさが駆け寄ってくる。
箱を開ける。
二人で中を覗き込む。
「……これ、二人でできる?」
「たぶん」
「じゃあ決定!」
「まだルール確認してないよ」
「大丈夫!」
「その『大丈夫』は信用できないんだけど」
「ゆい、ひどい」
ありさは箱を抱えて、床に座った。
外では、風が少し強くなっていた。
でも二人のいる部屋は、いつも通りだった。
「ねえ、ゆい」
「なに?」
「こういう休みもいいね」
「まだ始まったばっかりだけど」
「だからいいんじゃん」
ありさはカードを一枚引いた。
「これ、どうするの?」
「説明書読んで」
「ゆいお願い」
「自分で読んで」
「……漢字多い」
「高校生でしょ」
「今日は休みだから」
「関係ないよ」
また笑う。
外の天気は、これからどうなるか分からない。
でも、今日の二人には、とりあえずやることができた。
カードゲームの説明書を読む。
それだけだった。




