9話『リオルト、高速頭下土下座をする』
そうして、リオルトはエミアスとメーアと対峙する。
一応、この二人には『リンネ』として身分を偽りながら接していた。
恨みを持たれ、背中から刺されても文句は言えない。
なので…。
「い、いままですみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
地面に頭が勢いよく衝突し、鈍い音がする。
結構痛いがしょうがない。
リオルトは少し涙目になりながら土下座姿勢をキープする。
「はあぁ…」
大きなため息が聞こえた。
もしかして、リオルトに失望したのだろうか。
(…っ)
唇を噛み締めたとき…リオルトの手はメーアに掴まれていた。
リオルトは思わず目を見開いてメーアを凝視してしまった。
「え…」
「はぁ…びっくりしましたよ…‼‼リンネさんがこの家のお嬢様なんて…」
「本当にね」
そんな様子な二人におずおずと顔を上げて聞く。
「…怒ってないのか…?」
「怒ってないですよ‼‼‼」
「私は怒ってるよ」
エミアスはふんっとそっぽを向く。
リオルトが焦り、口を開こうとしたが、エミアスはそれを遮るように続ける。
「けど、あんたがいたおかげでいろんな人が助けられたのは事実だよ」
流石に、身分が身分だからそういうのは迷惑だけれどね、と笑いながらいう。
リオルトは唇を噛み締め、震える口でなんとか言った。
「あ、ありがとう…」
「ふふ、なんかリンネさんが赤くなってるの可愛いです」
「そうね、年頃の女の子って感じがするわ」
「くっっ、、、」
何も言い返せずに、目をそらした。
そこにメーアがポツリと言った。
「じゃあ…もう、これないんですね…」
「え…?」
「そうだな、バレたし」
便利上リンネを名乗って下働きについたため、その正体がリオルトだとバレてしまったいま、元の関係に戻ることができなくなってしまった。
けれど、一応考えはあった。
流石に考え無しで行動するなど心臓に悪い。
リオルトは二人を見、決意したように口を開いた。
「…そこで二人に、一生のお願いがあるんだけど」




