5話『わたし、平和主義なので〜』
倉庫の裏へと少女を誘導し、木箱の上へ座らせた。
「手出せ」
「へっ⁉」
いきなりのリオルとの発言に、またもや目をまんまるにする少女。
けれども素直に聞くのはなんと可愛らしいことか。
出された手を優しく包み込み、魔術を発動した。
「…っ、これって、治療魔術⁉」
(それなりの知識はあんのか)
少女が驚いている間にも、リオルトは魔術式を直し、傷を完治させた。
「はい、終わり。他に痛むところはあるか?」
「…え⁉あ、ない、です」
「そう、良かった」
これでやることは終わったとリオルトは立ち上がった。
「じゃあ、ここで休んどけ」
「ど、どこ行くんですか?」
なぜか少女はリオルトの行き先を聞いてきた。
答えれやらないほど頑固でもない。
素直に答える。
「帰る」
以上だ。
「じゃ。また彼奴等になにかされたら言えよな。お前はひとりじゃないから」
まぁ優しい言葉をかけ、リオルトは少女に背を向け自室へ帰ろうとしたが、少女に呼び止められた。
「あのっ‼‼」
「…何」
リオルトの冷たい言いように、少し怯えながらも拳を握り聞いてきた。
「あ、あの、お名前はなんというのですかっ?」
「…リンネって呼ばれてる」
そう返せば、少女はぱぁっと笑顔になった。
「わ、私っ、メーアって言います‼‼た、助けていただき、ありがとうございました‼‼」
「ああ。気をつけて帰ろよ」
なぜかそんな少女…メーアを見て微笑ましくなってしまい、普段絶対言わないような遣いの言葉が出た。
(私は生粋の平和主義だ。巻き込まれたら困る…がまぁいいか)
瞳を輝かせるメーアに背を向け、今度は自室に戻った。




