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乙女ゲームに転生したけれど、すべて投げ出したい令嬢は私です。  作者: 律樹


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4話『そんなやつには…〇〇に変わってお仕置きよ‼‼』


「リンネ‼、こっちも手伝ってくれるかしら」

「あ、うん」


リオルトは、今日も働く。

そしていつの間にか、みんなからリンネと呼ばれるようになってきた。


(とりあえず、これでオッケ…)


つかの間の休憩をもらったリンネは、エミアスと一緒に仕事場にあるベンチに座る。

その時。


『ばしゃんっっ』

「きゃっ…」


水の入っているバケツを引っくり返したような音と同時に、女の子の小さな悲鳴が聞こえた。

みんな、何があったのかと音がなったほうに振り向く。


リオルトもそこへ視線が行った。

そこには、水浸しの少女とそれをかけたと見られる取り巻きに囲まれる女性がいた。

皆が呆然とする中、その女は口を弧に描き少女を見下ろした。


「なんて見苦しいのかしら。けれど、平民である貴女には似合っているわね」


「…」


少女は何も言えずにうつむき、唇を噛み締めている。

その様子を遠目で見るエミアスは女性を侮辱の目で見ている。


「あの…」

「あの人はクローヴ・メジェット。元貴族で、落ちたらしいわ。同じ仕事場に平民を見かけるといつもあんなふうにするのよ」

「平民…」


リオルトも同じ元とはいえ、平民であるため平民だからという理由で差別されるのには疑問しかない。

他の人の中にも平民がいるのだろうが、その中で発言すれば、彼女たちの新しい標的になってしまうのだろう。


「あら?何も言わないの?」

「やっぱり、平民というのは可哀想ですね」


取り巻きからの追加攻撃がある。

流石にここまで平然を保っていたリオルとでも、次の発言で怒りがこみ上げた。


「ふふ、平民というものは哀れなのね。平民があるがゆえに何も恵まれず、何もできない。そんなものを見ていると、私、ものすごく気持ちが良いのですよ」

「っ…」


さらに少女が唇を噛み締めたのがわかった。

その様子を見ながら、エミアスはリオルトに忠告をしてくれた。


「あの子達にはかかわらないほうがいいわ」

「…はい、そうですね」


そう答えながらも、リオルトはベンチから立ち上がった。


「ちょっと、わからせないとだめだよな?」


久しぶりにはたしない言葉が出てしまった。

だが今はそんなことどうでもいい。

彼奴等だけは絶対に許すな。

そう本能が告げている。


(許せないなぁ…そんな事言われちゃぁ)


歩み寄ってくるリオルトを見、怪訝そうな顔をしたモブ1とモブ2。


「なに、貴女。私になにか御用かしら」


ニコニコそう言いながらも隠しきれていない侮辱の表情を浮かべるモブ1とモブ2のリーダー格、モブ3。

リオルトは、その3人をガン無視し倒れている少女へと手を伸ばす。


「大丈夫か?」

「…あ、え?」


少女は、焦げ茶色の目を丸めて驚いたようにリオルトを見た。

手を掴んで起き上がらないその少女にリオルトは少〜し、ほんの少しだけイラッとき無理やり手をひっつか

んで起こした。


「怪我はないのか?」

「…えあ、は、い…」


リオルトの質問にぽかんとする少女は、無理やり立たされてもどこか表情がパッとしない。

それ故、「怪我はないのか」とリオルトがいいているのだが、思いっきり頬に擦り傷ができている。


(はぁ…ほんっと最近の若者はいつもこんなんだよなぁ〜)


後で治療魔術をかけてやってもいいかな、そんなふうに考えているとき少女とリオルトの間に、主犯モブ3

が割り込んできた。


「ねぇ、貴女。聞いているの、答えてくださってもいいのでは?」

「え…」


思わずリオルトは焦った声を出してしまった。


(やべぇ、こいつ私に何聞いてきたっけ…)


覚えていない。

ここは素直に聞く場面だ。…知らんが。


「何聞かれたっけ?」

「っ」


(あ、やばい。モブ3の口角が2センチ上がった)


選択をミスったことに遅れて気づき、まあこれは不可抗力だと笑い返した。


「ふふ、どうやら貴女は立場というものをわかってないようね」


(お前が言うな)


すぐさま突っ込みたくなるのを抑え、表情を崩さない。


「そうなんですか?へぇ、立場」

「わかってくださるなら退いたほうがよろしいかとよ?貴女もそのドブネズミみたいになりたいのかしら?」

「ドブ…」


(ひどいいいぐされだな)


そう思いながらも、リオルトはニコニコしモブ3への煽り攻撃を始めた。


「ほうほう、立場ですか…。けれどですね、それ貴女も言えますか?だって今同じ仕事場にいる時点で私達と同類じゃないですか?」


「…何が言いたいのかしら?」


「貴女、貴族でしたっけ?」

「ええ、そうよ」


胸を張るように言い返すモブ3。

リオルトはそれをあざ笑うように口角を上げた。

これこそ悪役令嬢の取り巻きだ。


「あぁ、違った。“元”・貴族」

「っ‼‼」


その瞬間、周りの空気が冷えたのがわかった。

リオルトはそれに乗り、さらに追加攻撃をする。


「否定しない…ってことはもう認めてらっしゃるんですね。認めながらもその行動を取るとは…ふ、なんて見苦し___」


言い終わる前に、リオルトの頬に平手打ちが炸裂し、言葉が散った。


「貴女、何様のつもりかしら?」


(だから、お前が言うなって)


頬を引きつらせたモブ3がリオルトを見下ろす。

心のなかで突っ込みをするが、決して口に出そうとは思わない。

だが…


(これはナイスチャンスだ)


「これで満足ですか?満足できるまで殴ってくださいよ」

「…っ」


いきなりのM発言にモブ3は後退りする。


「ねぇ?」


モブ3は後ずさりながら恐怖を目の前に表したときの死にそうな顔をしている。

そこにモブ3の耳元で小声で囁いた。


「…分をわきまえろ底辺が。お前なんてたかが落ちた貴族だし、今は平民と同類だ。次、己をわきまえなかったら…どうなるだろうな?」


そう囁いてから、それを見ていた観衆に「失礼しました」と礼儀を忘れず少女を連れ仕事場から退散した。




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