3話『いや〜、もう乙女ゲーとかどうでもいいですわ。どうぞご勝手に』
(お、お、お、)
「面白い‼‼」
本を読み終わり、率直な感想が口から出た。
前世では『魔法』というのは二次元の世界のものであったため、実際に魔術基礎の構造を見てみると面白い。
『魔法』の他にも、いろんなバリエーションがあったが、それも、全て面白いと感じる。
前世でどれくらい勉強できたか知らないが、こちらの世界の勉強は好きかもしれない。…いや、好きだ。
(…もしかして…これが、糧になるんじゃね?)
そうも頭の隅で考えながらも、眼の前にある素晴らしいものを進めるのに精一杯だった。
その日から、リオルトは勉学漬けになった。
使用人及び家の者たちも、今まであれほど勉学を嫌がり、我儘お嬢であったリオルトの変わりように顎が外れかけるようにも見えていた。
リオルトにとっては、そんなことどうでも良くて、ただひたすら勉学に勤しんでいた。
(この式の構造が…__よしっ)
リオルト必要最低限の勉強量でと思ったが、つい、欲望に負けてしまい1日中机と向き合っている。
今日は、魔術式の構造について学習していた。
リオルトはここ最近でなんと、上級魔術のいくつかを使えるまでになっていた。
(こんな才能あんなら、悪役令嬢と一緒に処刑レッツならなかっただろ…)
そう思いながら、魔術式の構造を見直す。
「ふはぁ…、こんなもんだな…」
んんっっ…と背を伸ばし、窓の外を見る。
そこでは、メイドたちがいそいそと働いていた。
「そーいや、メイドたちにはまだ嫌われてんのかなぁ…」
そう、リオルトは平民ながら成り上がった貴族。
メイドからは毛虫のごとく嫌われている。
けれどリオルトは自分のことがよぉくわかったとこなので、多分今ならわかり会えるはず。…多分。
「よっし、ここはやっぱ魔法の使いどこだろ」
リオルトは不敵に笑った。
現在。
リオルトはメイドに扮している。
変身魔法…よくある魔法の一つを使って扮してみた。
(いや、全っ全ばれねぇな)
「あら、貴女初めて見る顔ね。新人?」
「あ、はい」
初めて人に声をかけられた。
かけてくれたのは、人が良さそうなお姉さんだ。
「暇ならこっち手伝ってくれないかしら?」
疑問形なのに、リオルトはお姉さんにズルズル引っ張っられていく形になっていった。
「はい、じゃあこれ洗って」
「おわっ」
手に大量のにもつをもたされ、少しよろっと傾く。
その様子を見、お姉さんは呆れたように目を細める。
「貴女、ご飯はちゃんと食べているの…?」
「ああ…まぁ、それなりに」
そう言いつつも、本当は勉強のせいで軽食ぐらいしか食べていないなんて言えない。
「ふぅっ」
「今日も多いわねぇ…」
洗濯物を洗う仕事を任されたリオルトはせっせと仕事をこなす。
(そういや、前世でも家庭科とかいう意味不明な教科あったよなぁ…)
考えながらも仕事をこなす。
そして、洗濯物のピークが収まった。
「ちょっと、貴女こっちきて」
さっきのお姉さんが、リオルトに向かって手を降ってる。
「はい」
ついていくと、木陰だった。
「…?」
「ここね、私がよく休憩につかってる場所なの」
「へぇ」
こちらへ座れと合図するので横に座る。
「はい」
「え、」
突如手に持たされたのは、おにぎりだった。
「こんなもんしかないけど、よかったら食べてくれるかしら?」
「え、あ。ありがとうございます…」
「敬語はいいのよ。堅苦しいわ」
そう言いながら、自分もおにぎりを取り出し食べる。
「そういえば、貴女。名前はなんというの?」
「あ…えっと、、リ…ンネ」
「そう、リンネって珍しいわね。私はエミアスよ。よろしく」
適当につけてしまい、日本風よりになった名前だ。
それでも批判せずに、ニコニコしながら答えてくれるお姉さん…及びエミアス。
(この人、いい人だ…)
眼の前にいるエミアスに、尊敬の眼差しを向けるリオルトであった。




